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第409回:iPhone/iPad用アプリで外出先からNASを活用
バッファロー「WebAccess i」


 バッファローから同社製のNASを外出先から利用できるiPhone/iPad用アプリ「WebAccess i」が公開された。外出先からのデータアクセスだけでなく、動画や写真のアップロード、ファイル転送サービス的な使い方もできる面白いアプリだ。

「NAS+スマートフォン」という使い方

 「会社に戻ってから、ファイルを送ります」。外出先で受けた電話に、そう答える機会も少なくなりそうだ。

 バッファローから提供が開始されたiPhone/iPad用のアプリ「WebAccess i」と同社製のNASを組み合わせれば、社内のNASに保存されているデータを参照できるだけでなく、そのファイルをダウンロードするためのリンクをiPhone上で生成してメールで送ることができる。

 これまでのNASやホームサーバー製品でも、外出先から自宅や社内のデータにアクセスする機能は搭載されていたが、今回の「WebAccess i」の登場によって、このような機能をiPhone/iPadからも手軽に利用可能になったうえ、単にファイルを表示・再生できるだけでなく、転送したり、スマートフォンのカメラ機能と連携して写真や映像をアップロードできるようになった。

 最近では、NASを家庭内や社内のストレージとして利用しているケースも少なくないが、今回のWebAccess iの登場によって、NASを単なるファイルの保管庫としてだけ使うのではなく、スマートフォンなどと組み合わせて、実際の生活やビジネスシーンに活用しようという動きが広まっていきそうだ。

iPhone/iPad用アプリとして無償での提供が開始された「WebAccess i」。自宅や会社のNASにiPhone/iPadからアクセスできる

Webアクセス3.x搭載NASで利用可能

 では、実際の使用感を見ていこう。今回、バッファローからの提供が開始された「WebAccess i」は、前述したようにiPhone/iPad(iPad向けはWebAccess i HD)向けのアプリとなっており、AppStoreから無償でダウンロードすることが可能となっている。

 機能的には、ブラウザから利用するWebアクセスとほぼ共通となっているが(PC/iPhone/iPad/Andoroidのブラウザから利用可能)、PC版で利用可能なファイルのダウンロードはできない仕様となっている。具体的には、以下のような機能を利用可能だ。

    ・ファイルの表示(PDF、DOC、XLSなど)
    ・ファイルの再生(写真・音楽・映像)
    ・ファイルの転送(時限一時URLの生成とメール送信)
    ・ファイルのアップロード(写真・映像など)
    ・ファイルの操作(削除・移動・コピー・名前変更・フォルダー作成)

iPhone/iPadからNASのデータにアクセス可能。ファイルの表示・再生はもちろんのこと、転送やアップロードもできる

 利用環境は、Webアクセス機能を搭載した同社製のNASとなっており、具体的な対応機種は同社のWebサイトで公開されているので、事前に参照すると良いだろう。

 ただし、これらの機種の場合でも搭載されるファームウェアが古い場合は利用できない。同社製のNASに搭載されているWebアクセス機能は、今年の春以降に行われたバージョンアップで、大幅に機能が強化されたWebアクセス3.xに進化したが、このバージョンのWebアクセスが搭載されていることが必須条件となる。

 このため、対応機種でもファームウェアが古い場合は、事前にアップデートが必要となる。実際、今回のテストでは、筆者が以前に購入したLS-XHLを利用したが、ファームウェアのバージョンアップをしばらくしていなかったせいで、Webアクセスのバージョンが2.xで止まっていた。Webアクセスのバージョンが古いと、WebAccess iでアクセスしたときに接続が拒否されてしまうので、事前にアップデートしておこう。

今回テストに使用したLS-XHLシリーズ。ファームウェアをアップデートしてWebアクセス3.x以上にしておく必要がある 最新のWebアクセス3.1に対応した製品であればWebAccess iを利用できる

 なお、同様のWebアクセス機能は、同社製の無線LANルーターの一部機種(WZR-HP-G301NHやWZR-HP-AG300Hなど)にも搭載されているが、ルーター製品に搭載されているWebアクセス機能のバージョンは2.2となっており、3.xは提供されていない。

 このため、今回のWebアクセス機能はルーター製品では利用できないことになる。ルーターで利用できれば、USBメモリーなどをストレージとして、より手軽に利用できるが、現状対応していないのは非常に残念だ。

 ルーターの場合、処理能力や内部メモリの容量などの制約があるため、今後の対応がなされるかどうかはわからないが、個人的には非常に便利な機能だと考えているので、ぜひ対応をお願いしたいところだ。

ルーター製品もWebアクセスに対応しているがバージョンが古いためWebAccess iからは利用できない ルーター製品に搭載されているWebアクセス2.2。機能的にも簡易なのでバージョンアップが望まれる

サクサクとした軽快な操作感

 実際の使用感としては、非常に快適だ。先にも少し触れたが、Webアクセス3.1以降ではiPhoneやAndoroidなどからブラウザ経由でのWebアクセスがサポートされているが、ブラウザ経由でのアクセスとは比べものにならないほど使いやすい。

 まず、認証の手間が省ける。ブラウザ版でアクセスする場合、一旦、buffalonas.comにアクセス後、buffalonas.comネーム(IDのようなもの)を入力してNASにアクセス(もしくはグローバルIP+ポート番号でもアクセス可能)。その後、アクセス制限を設定している場合は、NAS上のユーザーIDとパスワードを指定してログインするという流れになる。

 しかし、WebAccess iを利用した場合、接続先となるbuffalonas.comネームやNAS上のユーザーアカウントなどをアプリ側にあらかじめ設定しておくことができるため、単にアプリを起動するだけで、すぐに共有フォルダーにアクセスすることができる。こちらの使い方になれると、PC版ですらログインする操作が億劫になってくるほどで、iPhoneのアプリという操作性の優秀さを実感させられるところだ。

 また、操作感も非常に軽快だ。フォルダーの移動などもスムーズなうえ、ファイルの表示もスピーディで閲覧性が非常に良好だ。

WebAccess iでは接続先のbuffalonas.comネームやユーザーIDなどを登録しておくことができる ブラウザを利用したWebアクセスの画面。Andoroidからも利用可能だが、レスポンスなどはアプリ版と比べると劣る

 さすがに3G経由でアクセスすると、大量のファイルが存在するフォルダーの表示に一瞬手間取ったり、サイズの大きなファイルの表示に時間がかかる場合もあるが、写真や音楽なども問題なく再生できるうえ、MP4形式の映像も、最初の読込に若干時間がかかるものの、途中で映像が止まるようなこともなく、3G経由でまったくストレスなく再生できる。

 もちろん、iPhone側の電波状況や自宅側の回線速度が大きく影響するが、予想以上のスムーズさだ。

【動画(Flash:クリックで再生)】
3G経由でアクセス後、動画の再生、ファイルの転送画面の表示まで実行した様子

 このほか、iPhoneで撮影した写真や映像をアップロードすることも手軽にできる。過去に撮影したものをカメラロールから選択してアップロードすることも可能だが、WebAccess iからカメラを利用して、その場で撮影した写真や映像を直接アップロードすることもできる。

 試しに、iPhone4のカメラを利用して1分の映像を撮影してみたところ、3G経由でアップロードにかかった時間は約1分(ファイルサイズ5.7MB)となった。さすがに5分を超えるような映像を3G経由でアップロードするのは現実的ではないが、数十秒程度の映像であれば、外出先から直接アップロードすることも十分可能だ。

 個人的な利用であれば、オンラインアルバムやUstreamなどを使うという手もあるが、ビジネス用途を考えると、クローズドなNAS環境に、外出先から手軽に写真や映像をアップロードできるというのは1つの大きなメリットだろう。

ファイルのアップロードも可能。iPhoneでビデオを撮影して、そのまま自宅や会社のNASにアップロードすることもできる

秀逸なファイル転送サービス

 このように、WebAccess iを利用することで、NASとiPhoneの連携が非常に現実的になるが、個人的にもっとも気に入っているのは、冒頭でも紹介したファイル転送機能だ。

 Webアクセス3.xでは、NAS上のファイルに対して、日数限定でアクセス可能なランダムなURLを生成することが可能となっており、これをメールで送信することなどによって、第三者にNAS上のファイルを公開することが可能となっている。いわゆるファイル転送サービス的な使い方が可能となるわけだ。

 従来のWebアクセスの場合でも、同様にインターネット経由でのファイル共有は可能だったが、相手にIDとパスワードを発行し、buffalonas.com経由(もしくはグローバルIP+ポート)でアクセス後、ログインしてもらうという手順が必要だった。

 この方法は、ある程度の長期間にわたってファイルを共有する場合には適しているのだが、一度だけファイルを転送できれば良いという場合に、IDの管理やGuestアカウントのパスワード管理などが煩雑だった。

 今回のWebアクセス3.xでは、従来のIDによる共有に加え、ランダムなURLによるアクセスも可能となったため、転送相手や転送するファイルのセキュリティレベルによって、いずれかの方法を選べるようになったことになる。

Webアクセス3.0ではファイル転送サービスのような使い方が可能。ランダムのURL生成と時限でURLを無効にする機能が搭載される

 しかも、これがiPhoneから利用できるというのだから非常に利便性が高い。データがNAS上に存在しさえすれば、iPhoneを利用して、どこからでも、誰にでもファイルを転送することができる。外出先で、急に顧客からデータの送信を依頼されたり、必要なファイルをうっかり送信するのを忘れてしまったという場合でも、これさえあれば安心だ。

 場合によっては、手元のiPhoneで映像を撮影し、それをNASにアップロードしてから、第三者にメールで送信するといった使い方もできる。これはビジネスシーンでの活用の幅がありそうだ。

 欲を言えば、コンプライアンス対策として、相手がダウンロードしたかどうかの確認ができたり、ダウンロード状況のログを参照できたりするとありがたいうえ、ダウンロードURLの有効期限も日数だけでなく回数で制限できるようにしたり、ダウンロードを確認できたら即座にURLを無効にしたり、ファイルを自動的に削除するといった機能なども搭載されるとうれしいところだ。

iPhone経由でNASのファイルを転送可能。外出先などで急にファイルを送らなければならなくなっても安心

ネットサービスでできることをNASでも実現

 以上、バッファローがiPhone/iPad向けに公開した「WebAccess i」、および最新のWebアクセス3.xについて紹介したが、これはなかなか実用的で便利な機能だ。

 基本的には外出先からの利用が想定されているが、純粋にLAN上で利用すれば、iPhoneやiPadをNASのクライアントとして活用することもできる。現状、対応NASを利用しているユーザー、特に中小・SOHOなどの環境でNASを利用している場合は、ぜひ実際の利用を検討してみるべき機能と言えそうだ。

iPadでは大きな画面で利用することが可能。LAN内でiPadをNASのクライアントとして利用するという活用もできる

 現状、NASやホームサーバーは、ローカルでの利用が一般的だが、今後はオンラインのサービスとの連携、さらにはオンラインサービス自体の取り込みによるプライベート(パーソナル)クラウド化が1つのトレンドになると考えられる。しかも、それをスマートフォンから使えるようになることがユーザーの大きなニーズとなってくるはずだ。

 今後もこういった機能強化が行われ、製品がより使いやすくなることを大いに期待したいところだが、ついでに、というかぜひ、ルーター側のWebアクセスのアップデートもお願いしたいところだ。


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2010/9/28 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ