記事検索
バックナンバー

第417回:書類をどこからでもクラウドへ
PFU「ScanSnap S1100」


 PFUから、重さわずか350gという超小型スキャナ「ScanSnap S1100」が発売された。単に小さいだけでなく、クラウドとの連携機能も備えた注目の製品だ。その実力を検証してみよう。

使いたいときにサッと使える

 スキャナは欲しいが、ちょっと置き場所が……。そんな悩みを抱えている人にとって、今回、PFUから発売された「ScanSnap S1100」はまさに注目の製品だろう。

わずか350gのコンパクトなドキュメントスキャナ。PFU「ScanSnap S1100」

 細長い棒状の本体は、幅273×奥行き47.5×高さ34mmとなっており、重さに至ってはわずか350gと非常にコンパクトな設計になっている。一般的なスキャナの場合、プリンタとまでは言わないが、30cm四方ほどの置き場所を確保しないと利用できないが、本製品であればデスクのわずかなすき間にも設置することができる。

 サイズ的には、ちょうどテレビのリモコンと同じくらいになっているため、普段は机の引き出しにしまっておいて使いたいときにキーボードの手前に設置して使うことはもちろんのこと、極端な話、鞄に入れて持ち歩き、新幹線のテーブルの上に置いて使うなんてことも可能な製品となっている。電源もUSBからの給電で動作するようになっており、ケーブルを1本つなげばすぐに利用できるため、モバイル用途でも十分に実用的な製品と言えるだろう。

手元にあったテレビのリモコンとほぼ同じサイズ USBからの給電で動作するためケーブルをつなぐだけですぐに使える

 もちろん、小型になった分、従来のScanSnapシリーズと比べると、スペック的には見劣りする部分もある。たとえば、自動給紙方式(ADF)ではなく、書類を手動で挿入する必要があるうえ、読み取りも同時両面読み取りには対応せず、片面のみとなっている。

 このため、一度に大量の書類を読み込むという使い方には向いていないが、数枚の書類を読み取る程度であれば、サッと取り出して、どこにでも置いて使える分、むしろ手軽に利用することができる。

 個人的には、すでにADF搭載のスキャナや複合機を持っている人でも、普段の利用やモバイル用として、ScanSnap S1100がもう1台あると重宝するのではないかと感じるところだ。

 しかも、本製品は単に小さいだけでなく、クラウドとの連携にも対応している。具体的には、付属のソフトウェアによって、読み取った書類をそのままGoogle DocsやEvernoteに転送することができる。

 そのうち、モバイルルーターとノートPC、そしてScanSnap S1100で、外出先や移動中に書類をクラウドに保存している光景を実際に見かけることにもなりそうだ。

持ち歩き用のケースもオプションでラインナップする ケースなしの状態

複数枚のスキャンも意外にスムーズ

 では、クラウド連携機能を中心に、実際の使い心地を検証していこう。

 まずはセットアップだが、これは一般的なスキャナと何ら変わりはない。本製品にはドライバやユーティリティが収録されたDVDが同梱されているので、これをPCにセットしてソフトウェアをインストールする。

 インストーラーで「ScanSnap」という項目を選択すると、ドライバーや基本ユーティリティに加え、Google Docsとの連携機能もセットアップされるが、Evernoteとの連携を利用するにはクライアントが別途必要になる。すでにインストールされている場合は必要ないが、Evernoteとの連携を利用する場合はインストールしておくといいだろう。

 なお、蛇足だが、現在、NTTドコモのAndoroid搭載スマートフォン向けのキャンペーンでEvernoteのプレミアム会員へ1年間無償でアップグレードができる。スキャンしたデータを転送するといった使い方をする場合、月間のアップロード上限が40MBだと少々心許ないため、こういったキャンペーンもうまく活用すると良いだろう。

 セットアップが完了したら、ScanSnap S1100をUSBケーブルで接続し、本体前面のカバーを開くと電源がオンになって機器が認識される。これで書類のスキャンが可能だ。

 試しに書類を本体前面から差し込むようにセットし、本体横の「Scan」ボタンを押すと、「ウィーーー」という感じの駆動音とともにスムーズに書類が読み込まれていった。

 スキャンの時間は、スペック通り、A41枚あたりほぼ7秒。上位機種と比べるのはさすがにかわいそうだが、小型のスキャナのわりにはなかなかスピーディな印象だ。

ソフトウェアをインストール後、本体を接続するという流れになる。Evernoteクライアントなどは別途インストールが必要 PCに接続後、カバーを開けると電源がオンになる。厚手の用紙やプラスチックカードも読み取り可能

 なお、上部の排出ガイドを立てておくとスキャンした書類が手元に戻ってくるため少ない設置スペースでの利用に便利だが、そのままストレートパスで利用すると、複数枚が重なった用紙や厚みのあるプラスチックカードなども読み取ることができる。こういった用紙も気にせず読み取れるのは、S1100ならではのメリットでもあるだろう。

 さて、このように書類を手軽に読み取ることができるS1100だが、なかなか便利なのは書類を読み込んだ後の動作だ。前述したようにS1100にはADFが搭載されていないため、複数枚の書類を手動で読み込ませる必要があるが、1枚読み込むと自動的に次の書類を読み込むための待機状態となり、次の書類を差し込むとそのまま自動的にスキャンしてくれる。

 このため、10枚程度の書類であれば、数秒おきに書類の先端をS1100に差し込むという操作を繰り返すだけで、苦もなくスキャンすることができる。

 フラットベッドのようにいちいち書類を入れ替える必要もないうえ、一枚ずつボタンを操作する必要などもないので、複数枚のスキャンも十分に実用的と言えそうだ。

【動画(Flash:クリックで再生)】
連続スキャンからGoogle Docsへの自動アップロードの様子

PC上のユーティリティでクラウドと連携

 肝心のクラウド連携はどのように行うのかと言うと、PC上のユーティリティを利用する。

 標準では、スキャンが完了すると、画面上にスキャンしたデータをどのように扱うのかが選択肢として表示される。ここで「Googleドキュメントに保存」を選択後、Googleアカウントを設定すると、スキャンしたデータがPC経由でGoogle Docsにアップロードされる。

標準ではスキャン終了後、次の動作を選択する画面が表示される Google Docsを選んでIDを設定するとPDF化された書類がアップロードされる
Google Docsにアップロードされた書類。テキストが付加され検索も可能

 アップロードされた書類は、「2010年11月15日10時02分49秒.PDF」のように日時がファイル名として付けられたPDF形式でアップロードされる。なお、テキスト情報が付加された検索可能な形式PDFとなるため、ブラウザを利用してGoogle Docsから内容を表示できるだけでなく、検索することなども可能だ。

 もちろん、ほかの動作を選ばず、毎回、必ずGoogle Docsにアップロードするというのであれば、ユーティリティの設定を変更しておけばいい。「Scanボタンの設定」で、「Google ドキュメントに保存」を選択しておけば、スキャン終了後、「Scanボタン」を押してスキャン操作を終了するか、ユーティリティ側でスキャン操作を終了すると同時に、自動的にデータがGoogle Docsにアップロードされるようになる。

 つまり、ユーザーは、1)S1100をPCに接続、2)書類をセットしてスキャン、3)「Scanボタン」を押してスキャンを終了、という3ステップの操作をするだけで、書類がGoogle Docsにアップロードされるというわけだ。これは、なかなか手軽だ。

 一方、Evernoteの場合もほぼ同じ手順となるが、直接アップロードされるのではなく、クライアント上のEvernoteアプリに登録されるという流れになる。このため、スキャンしたデータが反映されるにはアプリの同期が必要になる点に注意が必要だ。

 アップロードの手軽さという点ではGoogle Docsの方が好印象だが、登録後のデータの管理や他のデバイスとの連携などを考えると、Evernoteを使った方が便利だろう。

 なお、この機能は純粋にユーティリティによってのみ実現されているため、他のScanSnapシリーズでも、プログラムをアップデートすることで利用可能になる。既存のユーザーも活用してみるといいだろう。

Scanボタンの動作を選択しておけば、以後、自動的にアップロード処理が可能。Evernoteもインストールしておけば選択できる Evernoteではクライアントに登録されるため、アップロードするには同期が必要

N-TRANSFERには未対応

 このように、クラウドサービスとの連携が可能なScanSnap S1100だが、同様の機能は本コラムでも以前に取り上げたNTT東日本、NTT西日本のN-TRANSFERでも実現可能となっている。

 このため、場合によってはN-TRANSFERとS1100の組み合わせで利用したいと考える場合もあるかもしれないが、本稿執筆時点では、どうやら対応していないようだ。実際に試してみたところ、N-TRANSFERに接続したS1100をPCから接続するというデバイスサーバーとしての使い方は可能だが、オンラインの設定画面上でS1100が認識されず、Evernoteへの転送機能は利用できなかった(サポートされていない機器という警告がメールで送られてくる)。PCレスで使いたいという場合は、対応するまで待った方が良さそうだ。

N-TRANSFERではローカルでは利用できるが、Evernote連携には未対応

 とは言え、コンパクトなS1100の場合、どちらかというとN-TRANSFERと組み合わせて使うというよりは、PCと一緒に持ち歩いて、あらゆる場所からスキャンし、そしてクラウドに保存できる環境を整えるという使い方のほうが向いている。

 手軽に使えるスキャナとして個人ユーザーが使うのにも便利だが、紙ベースの書類を外出先で処理したいというニーズを持っている企業などで使うと重宝しそうだ。


関連情報


2010/11/24 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ