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第461回:PCもAVもおまかせの最上位NAS アイ・オー・データ機器「HDL2-A2.0」


 アイ・オー・データ機器から、個人向けNAS製品の最上位モデルとなる「HDL2-Aシリーズ」が発売された。PC向けの機能に加えて、スマートフォン向けのリモートアクセアス機能、スカパー!HD録画などのAV向け機能も搭載した「全部入り」だ。その実力を検証してみた。

迷ったらコレと言える全部入り

 アイ・オー・データ機器から登場した「HDL2-Aシリーズ」は、友人などに「NASが欲しいんだけど……」と相談されたときに、とりあえず候補として挙げることができる一台だ。

 PCのデータ保存やバックアップ、テレビ録画、DLNA、リモートアクセス、プリンタ共有など、NASの用途はいろいろ考えられるが、HDL2-Aには、実に多彩な機能が搭載されており、ほとんどの用途に対応できるようになっている。

アイ・オー・データ機器の「HDL2-Aシリーズ」。豊富な機能を搭載した全部入りNAS

 これまで、同社製のNAS製品は、一般的なPC向けの製品であるLANDISKシリーズと、テレビ用の周辺機器として位置づけられるRECBOX(HDL-AV/AVR)シリーズの2つの系統のライナップが存在し、機能的にもそれぞれ区別されていたが、今回のHDL2-Aシリーズは、この2シリーズの機能が統合されたいわゆる「全部入り」の製品となっているのが特徴だ。

 具体的には、以下のような機能を搭載している。


    ・ファイル共有(ActiveDirectory/FTP対応)
    ・メディア共有(iTunes/DLNA)
    ・デジカメコピー/USBメモリコピー
    ・バックアップ(Windows/TimeMachine※)
    ・BitTorrent
    ・リモートアクセス(PC/スマートフォン)
    ・REGZA/Woooからの録画
    ・スカパー!HD録画
    ・レコーダーなどとの間の録画番組のムーブイン/アウト
    ・DTCP-IP対応機器での録画番組再生
    ・net.USBによるUSB機器共有(プリンタ/DVD/地デジキャプチャなど)
    ※TimeMachineはMacOS X 10.5〜10.6(Lionは現状は未対応)

 ここまで多機能だと価格が心配になるが、2TBモデルのHDL2-A2.0の価格は、直販サイトのアイオープラザ(http://www.ioplaza.jp/)の販売価格は2万9800円と、3万円を切っている。PC用、AV用を一台でまかなえるうえ、後述するパフォーマンス面も悪くないので、決して高くはないだろう。

 

非常に静かでリビングにも最適

 実際の製品について見ていこう。筐体は、標準機能版のHDL2-Sシリーズとほぼ同じで、エントツ型の縦置きタイプとなっている。つや消しのブラックのデザインは非常にシンプルで、余計な主張がなく、どこに設置しても違和感がない。

 背面には、1000BASE-T対応のLANポート×1、USB2.0×2、電源コネクタなどのインターフェイスが搭載されており、その上に、おそらく50mmだと思われるが、小型のファンが搭載されている。

側面 背面

 最近のNASは、非常に静音性が高いため、ほとんど音を気にする必要がなくなったが、本製品も動作音は非常に静かで、ファンの音はほとんど聞こえてこない。ディスクへのアクセスが発生すると、「ココッ」というアクセス音が僅かに聞こえるが、アイドル時などは動作していることを忘れるほどの静けさだ。AV用として使っても、視聴の妨げになるようなことはないだろう。

 ちなみに消費電力も低く、起動時、および録画番組の視聴時でも、ほぼ13〜16W前後となっていた(ワットチェッカー利用)。カタログスペックでは、最大48W、平均23Wとなっているが、通常時はもっと低い電力での運用が可能だろう。

 ハードディスクについては、本体に縦方向に2本搭載されており、上部のカバーを取り外すことで簡単に取り出せるようになっている。今回試用した製品では、SeagateのBarracuda LP 1TB×2が搭載され、RAID0で構成されていた。

内蔵ハードディスクは簡単に取り外せる

 同一ハードウェアで法人向けのモデルとなる「HDL2-AHシリーズ」では、出荷時設定がRAID1のミラーリングになっているが、コンシューマー向けの本製品では出荷時設定がRAID0となっている。

 ファイル共有などの用途を考えるとHDD障害が心配になるが、録画用に使うことを考えると、なるべく多くの容量を確保できるRAID0が好ましい。個人的にはRAID1に変更したいところだが、データに関しては、外付けのUSB HDDにバックアップすることもできるので、標準のRAID0+バックアップでの運用でもかまわないだろう。

 

パフォーマンスも大幅改善

 パフォーマンスについては、標準モデルのHDL2-Sシリーズなどと比べると、かなり高速化された印象だ。

 以下の画面は、1000BASE-Tで接続されたクライアント(Core i7 860 2.8GHz/RAM8GB/SAMSUNG HD501KJ/RealTek8168/Windows 7 Professional 64bit)からHDL2-A2.0のdiskフォルダをネットワークドライブに割り当て、CrystalDiskMark 3.0.1bを実行したときのものだ。

HDL2-A2.0(左)とWindows Home Server 2011(右)のCrystalDiskMarkの結果

 比較対象として掲載した自作PC(Core i5/RAM8GB/HDD2TB)にインストールしたWindows Home Server 2011の結果と比べると劣るが、シーケンシャルで55〜59MB/sの速度が出ているので、実用性としては十分だ。

 これまで、アイ・オー・データ機器のコンシューマー向けNASは、ライバル製品に比べてパフォーマンスが低い場合があったが、今回のHDL2-Aで、この弱点が克服され、同等の戦いができるようになったというわけだ。

 なお、カタログではリードで最大100MB/sの転送速度と謳われているが、CrystalDiskMarkでは、ここまでの値は確認できなかった。同社に問い合わせてテスト方法を確認し、同一のテスト方法で実施したのが以下の結果だ(xcopyを利用してfsutilで作成した4GBのファイルを転送)。この方法の場合、確かに100MB/sを超えることを確認できた。

xcopyによるファイルコピー結果
コピー開始 コピー終了 MB/s(4096÷秒)
ライト(PC→NAS) 15:00:26 15:01:40 63.7 64.3
リード(NAS→PC) 15:03:45 15:04:26 40.9 100.1

 転送速度については、環境や利用方法によって速度が変わるため、他社製品との比較などは難しいところだが、従来モデルに比べて高速化されていることは確実と言えるだろう。

 なお、今回のパフォーマンスアップによって、設定画面のレスポンスも非常に良くなった。画面表示や設定の反映などで待たされる時間が短くなり、非常にサクサク動く印象だ。この点は高く評価したいポイントだ。

 

Webベースに変更されたリモートリンク2

 注目のリモートアクセス機能だが、本製品では、「リモートリンク2」という機能に変更された。

 これまでのリモートリンクの後継というよりは、基本に立ち戻った機能といった印象で、ブラウザを利用して外出先のスマートフォンから自宅のNASにアクセスできる機能となっている。

 スマートフォン向けの機能というと、アプリを利用するケースが増えてきているが、アプリを利用したサービスの場合、プラットフォームが限られてしまう。iPhoneのiOS4、そしてiOS5、Android2.x/3.x、そしてこちらも間もなく登場しそうな4.x、さらにWindows Phone 7.5と、現状、スマートフォンやタブレットのプラットフォームは多彩を越えて、乱立といった印象だ。

 そんな中、使えないプラットフォームが出るよりは……、ということで汎用的なブラウザでのアクセスへと回帰したのだろう。

 このため、機能的には最小限のものとなる。iobb.net経由でアクセスし、HDL2-A上のユーザーアカウントでログオンすると、共有フォルダが見えるので、ファイルを参照したり、ダウンロードすることができる。

 PCを利用した場合、FLASHを利用した高度な機能が利用できるため、ファイルのアップロードなどにも対応するが、スマートフォンの場合、これらの機能は利用できないため、表示とダウンロード、ファイルのリネームのみの対応となる。

ブラウザベースになったリモートリンク2。Android端末やiPhone、Windows Phone 7.5などからアクセスできる
PCからアクセスした場合はファイルのアップロードもできる

 若干物足りない印象もあるが、実際の利用シーンを考えると、ファイルを参照できるだけでも十分とも言えそうだ。それにしても、こういった使い方をすると、Windwos Phone 7.5のメリットとデメリットが明確にわかる。メリットはオフィス文書の互換性の高さだ。NASに保存した文書やプレゼン資料、表などをほぼオリジナルのまま表示することができる。この互換性の安定感はさすがだ。

 一方、デメリットは、その存在が機器側に想定されていないことだろう。ブラウザを使ってHDL2-Aにアクセスすると、モバイル向けのページではなく、PC向けのページが表示されてしまう。これでアップロードできれば、それはそれでかまわないのだが、アップロードなどの機能が使えないうえ、表示が小さくいため何度も画面をズームしたり、スクロールさせる必要が出てくる。「んー、なんかもったいないなぁ」という印象だ。

 話がそれたので元に戻そう。とにかく、リモートリンク2は、シンプルになったおかげで、使い方は簡単になった。HDL2-A側の設定も手軽で、設定画面からiobb.netに登録するだけとなっている。試した限り、ポートの設定もUPnPを利用して自動的に設定できたため、設定の手間が格段に少なくなった。

 個人的には、バリバリに凝ったアプリで、音楽や映像などを標準アプリ以上に便利に使えるようになるまで作り込んで欲しい印象はあるが、現在の状況を考えると、ブラウザを使ったシンプルな方法も悪くはない印象だ。

リモートアクセスの設定も簡単。UPnPでの設定も問題なくできた

 

お買い得なNAS

 以上、アイ・オー・データ機器のNAS「HDL2-A2.0」を実際に使ってみたが、多機能なわりに全体的に使いやすく、パフォーマンスも十分なので、お買い得感はかなり高い。

 今回は詳しく紹介しなかったが、net.USBが使えるのも大きな魅力で、古いUSBのプリンタを無線LAN経由で印刷したいなどといったニーズに応えることができる点も大きい。

 PC用、AV用、そしてスマートフォン用と、さまざまなプラットフォームで使えるNASが欲しいという人にとっては、まさにうってつけの製品と言えるだろう。


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2011/10/11 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ