清水理史の「イニシャルB」
上りも下りも、Wi-Fiも、ギガで余裕のスピードへ
~NTT東日本「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」
(2014/9/1 06:00)
東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)から上り、下りともに1Gbpsへと速度が向上した光ファイバーインターネット接続サービス「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」が開始された。従来の下り200Mbpsサービスとの違いを中心に、実際の使用感をお届けする。
「メガ」の一歩先へ
自宅のインターネット接続環境を、今後、どうしていくべきか?
漠然とながら、そんなことを考えている人も少なくないのではないだろうか。
もちろん、今のまま使い続けるのも1つの選択だし、思い切ってスマートフォンなどのモバイル環境中心の生活にシフトしてしまうという考え方もあるだろう。しかし、将来的に、と言ってもそんなに長くはない2~3年先を考えると、むしろ自宅のインターネット接続環境は、より高速かつ安定したものとなっていないと困る時代が必ず訪れる。
実際、家族それぞれが自分のタブレット端末をいろいろな部屋で同時に使っている場合があるだろうし、テレビのインターネット接続機能を使って映画などの配信サービスを楽しんでいる人も少なくないはずだ。ゲーム機だって、もはやインターネットからのゲームのダウンロードは当たり前、対戦やコミュニケーションを楽しむことも簡単にできるようになっている。
時計型や眼鏡型のウェアラブル端末、家中に配置されあらゆる情報を収集する各種センサー、さらにはロボットまでも、もはや未来のものではなく、現実のものとして存在している状況を考えると、もはや1世代前のメガクラスの回線では、自宅にあふれかえった大量の機器からの、大量の通信をさばききることは難しくなるだろう。
そんな中、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)から登場したのが、今回取り上げる「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ(以下、ギガファミリー)」だ。
これまで、NTT東日本が提供してきた「フレッツ光 ネクスト ハイスピードタイプ」で下り200Mbps、上り100Mbpsだった通信速度が、下り・上りともに1Gbpsにまで大幅に高速化されており、これからの家庭向けインフラを担うにふさわしい回線となっている。
これまでの回線は、主に動画などのリッチなサービスに対応するために高速化が図られてきた。いわば瞬間的な加速性能の向上だ。もちろん、今回のギガファミリーでも、その側面はあるが、加えて家庭内に増え続ける大量の機器を、常時、安定してインターネットに接続し続けるという時代のニーズに応えた回線となっている。すべての機器がインターネットにつながる時代ならではのサービスと言えるだろう。
200Mbpsから1Gbpsへ
というわけで、筆者宅でも将来的な接続機器の増加を見越して、ギガファミリーを導入してみた。
と言っても、新規の敷設ではなく、これまで下り200Mbpsのフレッツ光 ネクスト ハイスピードタイプを導入していたため、既存の回線からの変更となる。料金的には、従来のフレッツ光 ネクスト ハイスピードタイプの月額4500円(にねん割加入時。通常料金は5200円)から、月額5000円(にねん割加入時。通常料金は5700円)へと上がったが、+500円のワンコイン分で下りが5倍、上りが10倍に向上するのだからコストパフォーマンスは高いと言えるだろう。
今なら、フレッツ光の新規申込者、既存の利用者、オプションサービス加入者を対象としたキャンペーンも2014年9月30日まで開催されているので、これを活用するとさらにお得だ。
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ちなみに、ギガファミリーを使ってインターネットに接続するには、プロバイダーとの契約も必要だが、変更の場合、現在利用中のコースがギガファミリーに対応していれば、特にプロバイダー側の手続きは必要ない。筆者の場合、ぷららのサービスを利用していたが、契約中のコースがギガファミリーに対応していたため、そのまま利用することができた。
それでは、実際のサービス申し込みの流れを見ていこう。
1)Webページから申し込み
2)工事日の確認
3)工事・開通
まずは申し込みだ。フレッツ光のWebページから、住所や建物の形態、オプションサービス(ひかり電話や映像サービス)などを選択して申し込みをする。Webページからの申し込みが簡単だが、もちろん電話での申し込み(0120-116116)もできるので、相談しながら申し込みをしたい場合は電話を使うといいだろう。
申し込みが完了すると、数日後に担当者から連絡があるので、工事日の調整をする。平日だけでなく、土日・休日でも工事を依頼できるため(別途3240円費用が発生)、会社などで平日の工事に立ち会えない場合も安心だ。
最後に工事をする。工事と言っても、筆者のように既存のフレッツ光から変更の場合は、非常に簡単だ。すでに光ファイバーは引き込まれているため、宅内に設置されている機器を置き換え、通信状態をチェックするだけとなる。状況にもよるが、1時間程度と考えておけばいいだろう。
ちなみに、筆者宅の場合、ひかり電話、フレッツテレビに加入していたが、これらも問題なくギガファミリーの環境へと移行することができた。ただし、工事中に、一瞬、電話がかかってこなくなったり、テレビが受信できなくなるのが注意点なので、録画したい番組などがある場合は、あらかじめ工事の日程を調整するといいだろう。
IEEE 802.11ac対応の無線LANも一緒に配備
工事が終われば、いよいよ開通だが、その前に設置された機器を確認しておこう。
今回のギガファミリーで設置された通信機器(ホームゲートウェイ)は「PR-500KI」という沖電気製のモデルであった。サイズ的には、従来の200Mbpsのサービスで利用していたPR-300SEと同等で、それなりに大きいが、光ファイバー接続用のONUが内蔵され、フレッツテレビ用のアンテナ接続端子を搭載した一体型の製品となっている。
特徴的なのは、やはり上部に用意されたExpress Card/34スロットだろう。ここに付属の「SC-40NE『2』」という無線LANカードを装着することで、無線LANに対応させることができる。
各製品の仕様を見ると、どうやら5GHz帯のIEEE 802.11ac/a/nに関しては本体に内蔵されており、Express Card/34スロット側の「SC-40NE『2』」は2.4GHz帯(IEEE 802.11n/g/b)対応と役割が分かれているようだが、内蔵の5GHz側を単体で動作させることはできず、無線LAN機能を利用する場合は必ず「SC-40NE『2』」を装着する必要がある。
市販の製品とは少々異なる仕様だが、「SC-40NE『2』」はギガファミリー契約者に無償で提供される。現状、IEEE 802.11ac対応の無線LANルーターの実売価格は1万円強といったところなので、この費用を節約しつつ、最新のIEEE 802.11ac対応の無線LANを利用できるのは大きなメリットだ。
古くなった無線LANルーターの買い替えを検討している人は、思い切って、その先の回線まで含めて、ギガファミリーを導入してしまうのも悪くない選択だ。
速度に関しては、IEEE 802.11acが3ストリームMIMOで80MHz幅対応の最大1300Mbps、IEEE 802.11nに関しては5GHz側が450Mbps(3ストリームMIMO/40MHz幅)、2.4GHz側が300Mbps(2ストリームMIMO/40MHz)となっている。IEEE 802.11ac対応といっても、シングルストリームの433Mbpsや2ストリームの867Mbpsではなく、1300Mbps対応となるので、無料で使える無線LANとしては、かなりお得感は高いだろう。
ちなみに、余談となるが、無線LAN機能に関しては、「SC-40NE『2』」の型番や取扱説明書に登場する「らくらく無線スタート」という言葉からも分かる通り、NECプラットフォームズ製と考えられる。本体と無線部分でメーカーが異なるというのは、なかなか興味深いところだが、無線LAN製品では安定性が高く評価されているNECプラットフォームズ製というのは安心感が高いところだ。
このほか、PR-500KIには、VPNサーバー機能を使って外出先からL2TP/IPsecで自宅に接続することなどもできる。このあたりの詳細な機能については、別途、機会を設けてレポートすることにしよう。
実効で800Mbpsオーバーを実現
パフォーマンスについては、期待を裏切らない品質と言って良さそうだ。以下は、有線LAN(1000BASE-T)で接続したPCから、Radish Network Speed Testingを利用して、速度を計測した結果だ。参考として、回線移行前に取得した下り200Mbpsの「フレッツ光 ネクスト ハイスピードタイプ」の値も掲載しておく。
工事の前後となる平日昼間の時間帯に計測したため、混雑の影響もほとんど受けることなく、下りで813.7Mbps、上りで638.5Mbpsの値を計測することができた。従来の200Mbpsの回線は、下りが183.5Mbps、上りが90.69Mbpsであったので、下りで約4.4倍、上りで約7倍の向上となる。
また、今回はRadish Network Speed Testingのマルチセッション版を利用したが、今回のギガファミリーの計測では、この接続数が10となっている。このように、1Gbpsというトータルの回線容量の大きさによって、複数のアプリケーションや端末からの同時接続を余裕を持って処理できていることになる。
単純計算でも1セッションあたり80Mbps以上を実現できていることになるので、実効183.5Mbpsのフレッツ光 ネクスト ハイスピードタイプと比べて、いかに余裕があるのかがわかるだろう。
冒頭でも触れたように、今後、ネットワークに接続する機器が増えてきた場合、複数の機器、それぞれに対して十分な帯域を確保する必要が出てくる。そういった意味では、まさにギガのキャパシティが生かされているという印象だ。
ちなみに、筆者宅には、ギガファミリー以外にも1Gbpsの回線が存在するが、そちらと比べても同等か、それを若干上回る速度が実現できている。もちろん、計測環境や時間帯による違いがあるため、一概には言えないが、品質に関して心配する必要はなさそうだ。
いつでも普通に使える安心感がより大きく
以上、NTT東日本の「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」についてレポートしたが、高速なギガの回線を使えるのはもちろんのこと、IEEE 802.11acも一緒に使えるようになることで、家庭内のインフラを“オールギガ”にできるメリットが大きいと感じた。
実際に使ってみても、回線や無線LANのボトルネックを感じるようなことが、ほとんどなくなった。従来の環境では、大容量のファイルをダウンロードしている端末があると、他の端末でもその影響が感じられることがあったが、ギガファミリーでは、そういった他の端末の状況を意識することは、ほぼなくなった。
最近では、回線のオフロードということで、スマートフォンなどでも無線LAN経由で家庭の回線を利用する頻度が高くなっているが、今後はさらに自宅の回線と無線LANへの依存度が高くなることは確実だ。そう考えると、ギガファミリーのような家庭内のインフラを一新できるサービスを導入するメリットもありそうだ。