第76回:これさえあれば外出中も安心!
携帯電話で自宅の様子を確認できる「EZ de DIONモニター」



 自宅に残してきたペットや子供の様子が心配。そんなときに便利なのが、DIONがトライアルサービスを開始した「EZ de DIONモニター」だ。携帯電話を使って、自宅の様子を動画で確認できる。早速、トライアルに申し込んで、利用してみた。





自宅の様子を確認したい!

 ペットを飼っている人に話を聞くと、自分が留守の間、ペットがどうしているかが心配でならないことがあるらしい。特にペットが病気をした翌日などは、無事に過ごしているかが気が気でなく、自宅に帰るまで頭からペットのことが離れないなんてこともあるそうだ。

 他ならぬ筆者も、普段は家で仕事をしているものの、たまに外出すると同じように自宅の様子が気になることがある。ただし、筆者の場合はペットではなく、自分の子供なので、自宅に電話をして同居人に様子を聞けばいいだけの話。何か確認する手段があれば、それほど自宅のことも気にはならない。

 しかし、1人暮らしの場合であれば話は別だろう。まさかペットしかいない自宅に電話をかけるわけにもいかないので、何らかの方法で自宅の様子を確認できれば確かに便利だ。

 そこで利用したいのが、DIONがトライアルサービスを開始した「EZ de DIONモニター」だ。利用できるのはDIONが提供するADSLやFTTHなどの接続サービスを利用しているユーザーに限られるが、PCに接続したUSBカメラなどで自宅の様子を監視。その様子を携帯電話やパソコンで確認できる。

 もちろん、同様のサービスはこれまでにも存在したし、自分でサーバーを用意したり、キャプチャした画像をアップロードするする手段を整えることで、同様の機能を実現することはできた。しかし、このサービスが面白いのは、静止画だけでなく携帯電話向けの動画も扱える点だ。PCに接続したカメラの映像を「EZムービー」形式の動画として保存できるため、EZムービー対応のau携帯電話を使って、動画で自宅の様子が確認可能だ。

 実際に利用するには、カメラを接続したPCを起動させたままにしておかなくてはならないが、比較的、手軽に使えるサービスなので、留守中の自宅を確認したいと切実に思っている人には面白いサービスだろう。





使い方はカンタン

 使い方は簡単で、複雑な設定などは一切必要ない。DIONのWebサイトから、サービスに加入(2004年3月末まで無料)すると、サーバーに動画をアップロードするためのIDとパスワードが発行される。同時にPC用のソフトウェアをダウンロードし、これをUSBカメラなどが接続されたPCにインストールすれば準備完了だ。

 あとは、ソフトウェアを起動し、先ほど取得したユーザーIDとパスワードを入力。メイン画面に用意されている「Start」というボタンをクリックすれば、自動的に動画が撮影され、サーバーにアップロードされる。


EZ de DIONモニターのメイン画面。スタートボタンをクリックすれば、定期的に動画が撮影され、自動的にサーバーにアップロードされる

 サーバーにアップロードされた画像を見るには、サービス加入時に指定されたURLに携帯電話からアクセスするだけでいい。たったこれだけで、自宅の様子を動画で確認することができるようになるほか、過去の映像や履歴も参照できる。また、同じURLにPCやEZムービー非対応の携帯電話からアクセスすれば、静止画も自宅の様子を確認できる。


auのEZムービー対応携帯電話を利用すれば、携帯電話で動画を再生可能。サイズはかなり小さいが、様子を確認できる

PCからアクセスした場合は静止画のみ表示可能。会社のPCなどからでも手軽に利用できる

 なお、撮影される動画は、長さが15秒で、10分間隔で更新されるようになっており、これを変更することはできない。ただし、画像のサイズに関しては「S(96×80)」と「M(128×96)」の2種類を選択可能だ。


動画の長さや更新間隔は変更不可能。サイズを2種類から選択できるのみ

 実際、無線LANで接続されたノートPCをリビングに設置し、自宅の様子を確認してみたが、確認用としては悪くない印象だ。決して画面サイズは大きくないし、Mサイズの場合で15fpsという動画自体もなめらかとは言えないが、自宅で誰が何をしているのかは十分に確認できる。音声も再生されるので、話し声なども何とか聞き取れる。これなら十分に実用範囲内だろう。





ポイントはカメラの設置位置

 ただし、カメラをどこに設置するのかはよく考える必要はある。あさっての方向にカメラのレンズを向ければ、声は聞こえど、姿が見えない動画が再生されることになる。確認したい対象の行動パターンを把握して、もっとも長く居る場所に向けてカメラを設置しておくのが良いだろう。

 また、この画像で撮影対象の表情まで見極めようとするのは難しい。確かに、撮影対象がアップになるようにカメラを設置すればそれも不可能ではないのだが、ペットや1人歩きのできる子供がじっと動かずに居ることはまれだろう。このため、なるべく広範囲を撮影できるような場所にカメラを設置するケースが多くなると思われる。子供なら、まだ声でその様子をうかがうことも可能だが、ペットの表情などから体調を察知するなどといった使い方は難しいかもしれない。

 さらに、撮影場所が明るければ問題なく撮影できるが、夜間、電気が消えた暗い部屋などの確認には、赤外線撮影に対応したカメラやナイトショットモードなどを備えたデジタルビデオカメラなどを使う必要があるだろう。幸い、本サービスではカメラの機種は限定されていないうえ、USB接続に加えてIEEE1394接続のカメラなども利用できる。このあたりは、利用場所に応じて、カメラの機種を工夫する必要がありそうだ。なお、デジタルビデオカメラの場合は一定時間で電源がOFFになることもあるため注意が必要だ。





監視される側の意見も重要

 このように、EZ de DIONモニターは、動画を使った監視が手軽にできる面白いサービスだと言える。使い方によっては、ペットや子供の様子を確認するだけでなく、他の用途にも応用できるだろう。

 ただし、ペットならまだしも、人間の様子を確認する際は、監視される側の気持ちも十分に考える必要がありそうだ。今回のテストで意外に使えるサービスであるとわかったので、自宅のリビングに常時設置しておこうかと考えたのだが、同居人から強固に反対されてしまった。やはり監視されるのは、あまりいい気がしないようだ。自分が監視されるとなれば、やはり反対すると思うので、それも当然のことだろう。

 使い方によっては、単身赴任の父親が自宅の様子を確認するために使えるかとも思ったのだが、監視される家族にとってはあまり気持ちのいいものではない可能性もある。年頃の子供がいれば強固に反対されるのは必至だろう。ペットの様子を確認する、留守中の防犯対策として利用するといった使い方が本サービスではもっとも適しているのではないだろうか。


関連情報

2003/10/28 11:13


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。