第175回:4ポートハブ搭載で着せ替えもできる新11aコンバータが登場
NECアクセステクニカ「AtermWR7850S ワイヤレスセット(SE)」
NECアクセステクニカから、新11aに対応した無線LANコンバータ「WL54SE」が登場した。4ポートハブ搭載で、パネル交換が可能といった特徴も備えるこの製品を実際に検証していこう。
●サイドパネルのデザインを自由にアレンジ
「Aterm WR7850S ワイヤレスセット(SE)」に付属の無線LANコンバータ「WL54SE」。新11a対応に加え、デザインが一新された |
今回、NECアクセステクニカから発売された「Aterm WR7850S ワイヤレスセット(SE)」は、これまでの通信機器とはひと味違う印象的な製品だ。
基本的には、無線LANルータとイーサネット接続タイプの子機のセットモデルで、無線LANルータは従来製品と同じ新11aに対応したIEEE 802.11a/b/g同時通信対応の「WR7850S」だが、子機が新製品の「WL54SE」へと変更されている。WL54SEは、従来モデル「WL54TE」の後継製品だが、機能やデザインともに大幅な変更が図られた点が特徴だ。
具体的には、IEEE 802.11aが従来のJ52対応からJ52/W52/W53対応へと変更されたほか、背面のLANポートも2ポートから4ポートへと拡張。また、本体のデザインがWR7850S/WR6650Sと共通のものへ変更され、さらに側面にクリアのサイドパネルが配された。
このサイドパネルは、「着せ替えパネル」と呼ばれるもので、背面側にスライドさせるだけで簡単に取り外せる。標準ではミントグリーンのパネルが装着されているが、初回出荷分のロットにはランダムで「アクアブルー」「クリアーグレイ」「サンセットオレンジ」の3色のうちどれか1色が同梱されており、手軽に交換できるようになっている。筆者が試用した製品には「アクアブルー」のパネルが同梱されており、自分の好みのデザインに変更できた。
標準で装着されているサイドパネル(ミントグリーン)は、後方にスライドさせるだけで手軽に取り外すことができる | 特典として同梱されていたアクアブルーのサイドパネルに交換し、さらに同社のホームページから「おめかシート」をダウンロードして挟み込んでみた。サイドパネルやシートを変えるだけでイメージがガラリと変わるのが面白い |
しかも、この着せ替えパネルの内側には、「おめかシート」と呼ばれるデザインシートを挟み込むことができる。同社のホームページからダウンロードすることも可能なので、手軽に好みのデザインに変更してみるのも面白いだろう。もちろん、サイズの指定がなかなか難しいが、カラープリンタなどを利用して自分でシートを作成することも可能なので、自分の写真などを挟み込んでみるのも良いアイデアだ。
これまでの通信機器は、どちらかというと無骨なデザインの製品が多かったが、WL54SEは着せ替えパネルとおめかシートによって、通信機器らしからぬスタイリッシュなイメージだ。無線LANコンバータという性質上、ゲーム機やネットワーク家電など、リビングにある機器の接続に利用する機会が多いと思われるが、そういった使い方でも部屋のイメージを損なわないように工夫されている。
●W53をネットワーク家電で活用
もちろん、WL54SEの特徴はデザインだけではない。機能面での注目は、LANポートが4ポートに増え、さらに新11a(W52/W53)に対応している点だ。
ゲーム機やHDD&DVDレコーダー、ブロードバンド放送サービス、テレビなど、ネットワークを利用する製品が次々とリビングに進出してきていることを考えると、もはや2ポートでは機器を接続しきれない。筆者宅もそうだが、ハブを増設して機器を接続していたというユーザーも少なくないことだろう。しかし、WL54SEであれば4台まで機器を接続することが可能だ。
背面のLANポートは従来(WL54TE)の2ポートから4ポートに増加された。従来モデルとほとんど変わらぬサイズながら、4ポートのハブを内蔵したのは秀逸。ネットワーク家電などを多数接続できる |
新11aへの対応だが、これはブロードバンド放送などの映像配信に利用するのに最適だ。映像配信サービスで途切れなくスムーズに映像を再生するには、無線LANの干渉を避けることが重要なポイントと言えるが、普及が進んでいるだけでなく、Bluetoothや電子レンジの影響も受けるIEEE 802.11b/gの2.4GHz帯では、干渉を防ぐことが難しくなっている。また、IEEE 802.11aでも従来のJ52とチャネルが変更されたW52が近接したことで、利用しているチャネルが知らず知らずのうちに干渉を受けている可能性もある。
WL54SEの設定画面。ただし、「Aterm WR7850S ワイヤレスセット(SE)」の場合、出荷時状態で親機との接続が設定済み(暗号化も設定済み)のため、実質的にはつなぐだけで利用できる。もちろん、らくらく無線スタートによる設定も可能 |
これに対して、WL54SEであれば、現状ではそれほどユーザーがあまり多くないW53の帯域を利用できる。もちろん、W53も気象レーダーの問題があるが、窓際などで利用しなければ、ほとんどの場合干渉を受ける心配はないだろう。映像などの高い速度を要求するデータ伝送に最適と言える。
筆者は、これまでWR7850SとWR6650SをWDSモードで接続して1Fの仕事場と2Fのリビングを接続し、リビングのネットワーク家電を無線化していたが、WDSの場合W53のチャネルを利用することができなかった。しかし、WL54SEを利用すれば、この環境をW53へと移行することができる。個人的にはこの点が何よりうれしい。
なお、WL54SEには、無線LANのチャネルの使用状況を簡単に確認するための機能も備えられている。設定画面にアクセスし、「情報」メニューにある「チャネルの状態」を選択すると、2.4GHz、5GHzの各周波数帯のチャネル状況が表示される。これを参照すれば、W53に限らず、空いているチャネルを選んで、無線LANの干渉を確実に避けることが可能だ。
WL54SEの設定画面から使用中のチャネル状況を確認可能。空いているチャネルを手軽に選択できる |
●MACクローンモードでIPv6機器も無線化可能
このほか、今回のWL54SEでは、従来のWL54TEの欠点であったIPv6の問題も解消されている。従来のWL54TEでは、通常のIPv4機器の接続は問題なかったものの、4th MEDIAやオンデマンドTVなどのチューナー、フレッツフォン用機器のVP1000など、IPv6(Flet's.Net)での接続が必要な機器をうまく利用できなかった(WL54TEでもVer1.0.8であれば、1台だけ接続した環境であれば、IPv6機器も正常に通信できることを確認した)。
今回のWL54SEでも、標準設定のままではこれらの機器を無線LANで接続できないのだが、設定画面で「無線クライアントモード」を「標準モード」から「MACクローンモード」に切り替えれば、IPv6機器でも問題なく通信することが可能になった。
無線クライアントモードを「MACクローンモード」に切り替えるとIPv6機器の接続も可能。ただし、最初に接続した機器のMACアドレスを利用するため、接続可能なIPv6機器は1台に限られる(IPv4機器との併用は可能) |
標準モードの場合、LANポートに接続した機器がWL54SEのMACアドレスを利用して通信するが、MACクローンモードの場合、最初にWL54SEに接続された機器のMACアドレスを利用して通信が行なわれる。これにより従来の問題が回避できるわけだ。
ただし、IPv6対応機器をWL54SEに複数台接続する場合は注意が必要だ。前述したようにMACクローンモードでは、最初に接続した機器のMACアドレスを利用する。このため、たとえばWL54SEに、4th MEDIAのチューナーとVP1000の両方を接続した場合などは、どちらか最初に電源を入れた方のMACアドレスが利用されるため、後から電源を入れた方の機器は通信エラーが発生する。複数台のIPv6対応機器を利用したい場合は、WL54SEを複数台用意するか、WL54SEではなく、WR7850SやWR6650Sなどのアクセスポイントを2台利用してWDSで接続した方が良いだろう。
●セットモデルがお買い得
このように、新しいETHERNET接続タイプの子機「WL54SE」は、従来製品の欠点がきちんと克服され、さらにデザインにも凝った製品だと言える。パネルの着せ替えやシートの交換に関しては、誰にでも受け入れられるかどうかはわからないが、試みとしては面白いと言えるだろう。
価格はWL54SE単体で12,800円(実売)と少々高いが、WR7850Sとのセットモデルなら21,800円(実売)で購入できる。WR7850Sの単体は実売で14,800円なので、実質7,000円でWL54SEを購入可能だ。ノートPCに無線LANが内蔵されることが多くなってきたことを考えると、将来的な家電の接続も考慮し、WL54SEが付属した「Aterm WR7850S ワイヤレスセット(SE)」を購入しておくのも1つの選択肢だろう。
関連情報
2005/12/6 10:58
-ページの先頭へ-