第199回:「ひかり電話」でFAX環境の統合が可能に
NTT東日本のFAX代行受信サービス「FAXお知らせメール」
NTT東日本から、ひかり電話向けの新サービス「着信お知らせメール」「FAXお知らせメール」が開始された。一見地味なサービスだが、後者のサービスはFAX環境を大幅に改善できる。実際にサービスを利用してみたので、レビューをお届けしよう。
●長年の悩みのタネだったFAX環境を改善
一般的な家庭では、FAXその存在意義は極めて薄れてしまっていることだろう。筆者も同じで、連絡や書類などのやり取りのほとんどがメールへと移行しているのだが、ごくまれにFAXで情報をやり取りするケースも発生する。この原稿を書いている今も、ちょうど編集部から紙面のラフレイアウトをFAXで送信したという連絡が届いたところだ。
これまで筆者宅では、紙で出力されてしまうとその後の利便性が低いことから、PCを利用してデータとしてFAXを受信するようにしていた。ただし、月に1回受信するかどうかというFAXのためにPCを1台起動させておくのは効率が悪い。PCは普段サスペンドさせておいて、Wakeup On RingでFAXが着信したときだけ起動するなど工夫してはいたが、それでもFAX用にPCを用意しなければならないことに無駄を感じていた。
理想はFAXでの情報のやり取りを一切なくし、メールなどでのやり取りに移行できればいいのだが、筆者のように個人で仕事をしている場合や小規模なオフィスなどでは、まだ完全にFAXをなくすというわけにもいかない。
そんな中、NTT東日本からひかり電話向けの新サービス「FAXお知らせメール」が開始された。ひかり電話に着信したFAXをNTT側で代行受信し、その結果をユーザーにメールで知らせるというサービスだ。まさに、前述した長年の悩みのタネであるFAX環境を改善できるということで、早速申し込んでみた。
ひかり電話の番号でFAXお知らせメールを有効に設定すると、センター側でFAXを代行受信し、設定したメールアドレスへと通知する。ユーザーは自宅側にFAX受信環境を用意することなく、FAXの受信が可能になる |
●申し込み後の設定が必要。マイナンバーとの併用が現実的
まず、サービスの利用条件を確認しておこう。このサービスはひかり電話向けの付加サービスとなるため、あらかじめBフレッツとひかり電話の契約が必要になる。
また、電話番号にも注意が必要だ。FAXお知らせメールを利用可能にすると、着信した電話がすべてセンター側へ自動で接続し、即座にFAXでの受信が開始される。要するに、家庭用のFAX機のように音声とFAXを自動的に判別して使い分けるということはできないわけだ。ひかり電話を通常の音声通話としても利用する場合は、複数番号が利用できるマイナンバーを契約してFAX用の専用番号を用意しておくのが現実的だろう。
事前の準備が整ったら、「0120-116116」へ通話してサービスを申し込む。次に、FAXお知らせメールを利用したい電話番号でFAXの受信代行を有効にする、転送先のメールアドレスを登録するといった設定が必要になる。
詳しい設定方法は、申し込み後に送られてくる利用ガイドに記載されているが、この設定はなかなかユニークだ。まず、FAXお知らせメールを設定したい電話番号が設定されている回線から、仮パスワード設定用の電話番号へと電話をかける。ここで音声ガイダンスに従って、設定したい電話番号と仮パスワードを電話機のボタン操作で入力する。
設定した電話番号と仮パスワードが、FAXお知らせメールを設定するためのIDとパスワードになるので、PCからFAXお知らせメール設定用のホームページにアクセスし、電話番号と仮パスワードを入力すれば、実際の設定ができるというわけだ。
FAXを通知したいメールアドレスを送信先は最大5件まで設定でき、複数のユーザーにまとめて通知を送ることなども可能だ。メールアドレスの登録が完了したら、トップメニューからFAXお知らせメールサービスの開始/停止設定画面で、FAXの受信を開始に設定すればいい。これで、指定した電話番号にかかってきた電話は、自動的にセンター側で受信され、FAXを受信したことが登録したメールに通知されるようになる。
電話機から仮パスワードを発行後、PCからブラウザで設定ページにアクセス。着信したFAXを転送するメールアドレスの登録とサービスの開始を行なえば、サービスが利用可能となる |
●FAXの閲覧はホームページから。最大10MBの容量まで保存できる
設定完了後、実際にFAXを受信すると、登録したメールアドレス宛にメールが届く。と言っても、メールに受信したFAXが添付されるわけではなく、受信したFAXを閲覧するには、ブラウザを利用してサービス設定ホームページにアクセスする必要がある。
サービス設定ホームページにアクセスすると、受信したFAXの一覧が表示されるので、そこからリンクをクリックすれば、受信したFAXを表示でき、データをPCに保存することもできる。受信したFAXはTIF形式(マルチページ)となっており、1枚あたりの容量は受信したFAXの用紙サイズや内容にもよるが、おおむね100KB前後となっている。FAXお知らせメールサービスでは、最大10MBの受信ボックスが利用可能となっているので、約100枚前後のFAXを保存しておける計算になる。
FAXの受信は前述したサービス設定ホームページから簡単に開始/停止を切り替えることができるので、常に自動受信にしておくことはもちろん、必要なときだけ受信代行するように設定することも可能だ。たとえば、商店や個人事務所などであれば、普段は回線に接続したFAX機で受信しておき、閉店後や休日にには自宅などで受信したFAXを見るといった柔軟な運用も可能だ。
●受信専用環境としては非常に便利
このように、NTT東日本のひかり電話向けサービス「FAXお知らせメール」を実際に利用してみたが、FAXを頻繁に利用するユーザーはもちろんのこと、筆者のようにFAXの利用頻度があまり高くないものの、FAXを無くすわけにはいかないという場合に、受信環境として利用するのに最適なサービスと言えそうだ。料金も、初期費用として基本工事費が1,050円、交換機等工事費1,050円がかかるが、月額料金は105円とリーズナブルに設定されている。
ひかり電話は、正直なところ、サービス開始当初はただの安い電話でしかなかったが、ダブルチャンネルやマイナンバーといったサービスの提供で、かつてのISDNに匹敵する電話サービスとして成長し、さらに今回のFAXお知らせメールサービスによって、ISDNを越える電話サービスとして付加価値を高めることに成功している。
もちろん、送信も行なう場合はFAX機の方が効率的だが、このサービスであれば前述したようにFAXのリモート受信、留守番FAX的な使い方にも活用できる。固定電話自体があまり注目を集めていないのも確かだが、確実に使いやすいサービスに成長していることは高く評価したいところだ。
関連情報
2006/6/13 10:55
-ページの先頭へ-