第210回:社内利用だけでなく個人での利用にも最適
サーバーインストール型のRSSリーダー「フレッシュリーダー」



 「フレッシュリーダー」は、RSS自動生成サービスの「MyRSS.jp」などを運営するサイドフィードが提供するサーバーインストール型のRSSリーダーだ。今年のはじめの提供開始から、モバイル機能の追加、ホットキーへの対応など、バージョンアップによって完成度が高められた最新版の実力を検証した。





社内の情報収集とグループの知識共有を実現

 最新ニュースや人気のブログ記事などを効率的に収集するだけでなく、社内掲示板や社内ブログの情報も効率的に収集しよう。そんな発想から生まれたRSSリーダーが、サイドフィードが提供する「フレッシュリーダー」だ。


サイドフィードの「フレッシュリーダー」。見た目はブラウザから利用するASP型のRSSリーダーと同じだが、サーバーインストール型であることから、社内での利用が想定されている

 RSSリーダーではブラウザやメーラーなどのアプリケーション型、ポータルサイトなどによって提供されているASP型のサービスが一般的だが、フレッシュリーダーは言わばASP型の発展系とも言えるサーバーインストール型の製品だ。社内のサーバーにインストールすることで、ASP型と同様に社員のPCからRSSリーダーとして利用することが可能となっており、社外の情報はもちろんのこと、社内の情報も効率的、かつ安全に収集できるのが特徴だ。

 RSSリーダーというと、個人が情報の収集と整理のために利用するというのが一般的だが、フレッシュリーダーではグループで利用することが考慮されており、たとえばどのサイトが社内のほかのユーザーに多く購読されているかといった関連情報がユーザーに通知されるようになっている。これにより、社員が情報ソースとして目を通しておくべきサイトが明確になり、社員の情報レベルを向上させることが可能だ。


ユーザーごとの管理が可能で、ログインしたユーザーごとに個別のページを利用できる。ほかのユーザーによってよく登録されている人気のサイトなどが表示されることで、社内での情報ソースの共有が可能となっている

 企業によっては、自社に関係のある新聞記事などを切り抜きにして社員間で回覧するケースがあるが、そのデジタル版のようなものをイメージするとわかりやすいかもしれない。要するに、有用な情報を発見した誰かが、それをほかの社員に伝える環境を手軽に作れることになる。そういう意味では、社員教育的な役割も担っているとも言えるだろう。





個人ユーザーにも人気の理由

 このように、社内での利用が主な目的とされている「フレッシュリーダー」だが、実は個人利用者も非常に多く、どちらかというと個人ユーザーの口コミで広がりを見せている製品となっている。

 その理由は単純で、フレッシュリーダーが既存のRSSリーダーに比べて使いやすいからだ。

 まず動作が軽快だ。RSSリーダーとして人気のある「livedoor Reader」や、先日サービスが開始されたばかりのエキサイト「エキサイトリーダー」など、最近ではいわゆるAjaxベースのインターフェイスが多く採用されている。個人的にはこれらのサービスは確かに使いやすいものの、操作の軽快さが失われると感じている。また、ASPサービスで多くのユーザーが利用することもあり、場合によっては混雑して遅くなたり、肝心なときにメンテナンス中だったりすることもある。


Ajaxベースのリーダーと比べると、だいぶシンプルな印象のデザインだが、動作が軽快で使いやすい。サイトの更新チェックもボタン一発で即座に可能だ

 これに対してフレッシュリーダーは、インターフェイスはオーソドックスなスタイルでありながらも、とにかく軽快に動作する。記事の更新動作も高速で、画面上の「最新記事を取得」ボタンを押せば登録サイトの更新状況がチェックされる。もちろん、登録するサイトが増えればタイムラグは発生するし、インストールするサーバーの環境も影響するだろうが、一般的なレンタルサーバーなどで動作する分には他のサービスと比べても早いだろう。

 ちなみに、フレッシュリーダーには高性能なクローラーも搭載されており、サーバー側にcronの設定を行なうことで、設定された間隔ごとに購読サイトの自動巡回させることが可能となっている。これにより、たとえば1時間置きにクローラーを動作させれば、ページを開いたときにわざわざ手動で更新を行なわなくても、すぐに未読の記事を把握することが可能だ。また、crom設定ができないサーバー環境向けに、1~3時間間隔で更新をチェックしてくれるクローラーオプションも無料で提供されている。

 また、フレッシュリーダーでフォルダを作り複数のサイトを管理した場合、そのフォルダをクリックすることで配下の複数サイトの未読記事を一覧表示できる。これにより、特定のカテゴリの新着記事だけを効率的に読むことが可能だ。たとえば、「ニュース」というフォルダに、本サイトやINTERNET Watch、ほかのニュースサイトなどを登録しておく。この状態で「ニュース」というフォルダをクリックすると、各サイトの最新記事が右側の画面に一覧表示される。「ニュース」などのフォルダをクリックし、あとはマウスのホイールをクルクルしてさえいれば各サイトの最新記事がチェックできてしまう。朝一番などの記事チェックなどは極めて快適だ。


フォルダで管理すると、配下のサイトの最新記事を一覧表示可能。朝イチで最新記事をチェックしたい場合などに、まとめ読みがしやすい

 このほか、同社の「フレッシュフィード」というサービスとの連携により、気になるキーワードのブログ検索結果をRSSで取得することができたり、既読となったサイトでも「最新10件」や「過去24時間」などで記事を表示し直すことができるなど、使いやすい機能が搭載されている。使い慣れると手放せなくなると感じた。


同社のFreshfeedというサービスを利用することで、複数のブログ検索エンジンによる気になるキーワードの検索結果をRSSで取得可能。キーワードにヒットするサイトを定期的に探すのに役立つ。既読の場合も最新10件や過去24時間などの表示が可能




インストールは簡単。携帯電話からも利用可能

 サーバーインストール型ということで唯一の心配は導入の手間かもしれないが、実際の手順は非常に簡単だ。サイドフィード社のホームページからインストールできる仕組みが用意されており、インストールするパッケージの種類(LinuxかFreeBSDかなど)、FTPのサーバーアドレスやユーザーIDなどを指定するだけで、すぐにインストールが完了する。今回、筆者が個人的に契約しているレンタルーサーバーにインストールしてみたがブラウザを利用して、ユーザー情報の登録などの簡単な初期設定をするだけで、すぐにフレッシュリーダーを利用できた。

 若干面倒な可能性があるとすればクローラーの設定だろう。筆者が利用しているレンタルサーバーではブラウザのインターフェイスで簡単にcronが設定できたが、利用するサーバーによっては手動での設定、もしくは設定自体ができない場合もある(設定できない場合は同社の無料クローラーサービスの利用も可能)。このあたりは、多少、技術的な知識が要求されるだろう。cron設定が難しい場合には、無料のクローラーオプションを使うというのも手だ。


直接FTPインストールを利用すれば、自分が契約しているレンタルサーバーのアドレスを指定するだけで自動的にインストールが可能だ

クローラーによって、一定時間置きにサイトの更新を自動チェックするには、サーバー側の設定が必要。cronの設定が可能なレンタルサーバーなどではサーバー側で設定する。設定ができない場合は、同社の無料クローラーサービスも利用可能だ

携帯電話からの利用も問題なく可能。外出先でも最新の記事を手軽にチェックすることができる

 なお、レンタルサーバーなど外部からのアクセスが可能な場所に導入した場合、携帯電話からの利用も可能だ。「http://xxx.xxxx.xxx/インストールディレクトリ/m.php」と指定することで、携帯電話のブラウザからアクセスできる。試しに、EzWebから利用してみたが、問題なく最新のRSSを表示でき、記事を閲覧できた。携帯電話からも手軽に使えるのはかなり便利だろう。





ブロガーライセンスもありお得に利用可能

 このように、フレッシュリーダーは高速、シンプルでありながら、使い込むと手放せなくなるRSSリーダーと言える。個人的には、フォルダでのまとめ読みが手軽にできる点、携帯電話からも利用できる点が特に気に入った。

 ライセンスに関しても、法人向けはユーザー数に応じて、個人向けは3,000円/ユーザーの料金となっているが、個人ユーザーに関してはブロガーライセンスが設定されており、自分のブログサイトで紹介することで無償で利用できる。サーバー環境を持っているユーザーが対象にはなるが、レンタルサーバーなどであれば月額料金さえ支払えば技術的な知識がなくとも契約は可能だ。30日間の無料試用も可能なので、興味を持ったユーザーには利用をお勧めしたい。


関連情報

2006/9/5 10:55


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。