いまさら聞けない!? ちかごろ話題のサービス・アプリをさくっと解説
月額980円で聴き放題、持ってたライブラリもストリーミングできる「Apple Music」
(2015/9/16 06:00)
サービス名 | Apple Music |
運営 | Apple Inc. |
サービス開始 | 2015年7月1日~ |
URL | http://www.apple.com/jp/music/ |
Appleによる音楽定額サービスがスタート
定額制音楽配信サービスの競争が激化するなか、7月1日から「Apple Music」がスタートしました。6月8日のWWDCで「One more thing...」として発表されたAppleの音楽定額サービスで、「音楽の楽しみ方のすべてを1つに」というコピーのもと、レコメンド機能を持つ定額制のストリーミングサービス、有名なDJの番組が楽しめる24時間オンエアのグローバルラジオ「Beats 1」、フォローしたアーティストが発信する最新情報が読める「Connect」の3要素で構成されているのが特徴です。世界100カ国で利用できる予定となっています。
対応デバイスはiOS 8.4以降が搭載されたデバイス、およびwatchOS(Apple Watch)、Mac(iTunes)、Windowsパソコン(iTunes)となっていますが、2015年秋にはAndroid端末への対応も予定されています。iPhoneとAndroid端末の2台持ちをしている方は、どちらの端末からでも同じライブラリを楽しめるようになりそうです。
価格は2種類。1つのApple IDで利用する「個人メンバーシップ」が月額980円、最大6人がそれぞれのデバイスで自由にアクセスできる「ファミリーメンバーシップ」が月額1480円となっています。個人メンバーシップは同時利用数というわけではないので、1つのApple IDを複数のiOS搭載デバイスで利用している場合は、いずれの端末からでも利用できます。
現在、3カ月のお試し期間が設けられており、キャンセルしない限り、3カ月後から課金される仕組みです。お試し期間中はすべての機能をフルに利用することができます。
Apple Musicのライブラリがすべて聴き放題に
Apple Musicの特長は5つあります。
- 月額固定料金でライブラリが聴き放題
- 「iCloudミュージックライブラリ」を利用できるようになる
- ローカルストレージを使用しないため、ストレージ容量の少ないデバイスからでも、すべてのライブラリを楽しめる。
- オフラインで聞きたい曲は別途ダウンロードできる
- 「iTunes Match」と併用できる
やはりもっとも嬉しいのは、月額固定料金ですべてのライブラリが聴き放題になることでしょう。具体的なライブラリ数は不明ですが、その数は数百万と言われています。これまで購入代金をやりくりしていた方は、今後悩まずに済みそうです。
「Apple Music」に登録すると、「iCloudミュージックライブラリ」が使えるようになります。最大2万5000曲まで保存できるクラウドサービスですが、特に追加料金は発生しません。端末の「設定」、またはiTunesの「一般環境設定」で有効にすると使えるようになります。
設定を有効にすると、パソコンまたはiPhoneの中に保存していた個人所有のライブラリ、たとえばCDから取り込んだ曲や、iTunes Storeで購入した曲などは、「Apple Music」のカタログと照合されます。合致すると、ALAC、WAV、AIFF フォーマットの曲は256kbpsのデジタル著作権管理 (DRM)付きAACフォーマットに変換されて、「iCloudミュージックライブラリ」にアップロードされます(200MB以下または2時間未満の曲に限られます。また、MP3、AACフォーマットの場合、一定基準を満たしていない場合はアップロードされないそうです)。オリジナルデータはローカルに残したまま、自分が所有するライブラリが再生しやすい形式に変換されてクラウド上にもできあがるため、他のデバイスからもアクセスできるのです。
たとえばパソコンから「iCloudミュージックライブラリ」にアップロードすれば、もともとすべてオンラインにある「Apple Music」のライブラリと合わせて、すべてのライブラリがクラウド上にあることになります。従って、iPhoneから「Apple Music」をストリーミングで利用するときは、ストレージが不要になります。プレイリストの共有もできますし、オフラインで聞きたい曲はダウンロードも可能なので、ストレージの容量が限られている場合は、やりくりがしやすくなると言えそうです。
ただし、「iCloudミュージックライブラリ」はデータのバックアップサービスではありません。あくまでも共有用のライブラリスペースですので、メンバーシップの解約後は利用できなくなります。再ダウンロードするとDRM付きになるようですので、アップロードしたからといって、ローカルファイルを削除しないよう気を付けましょう。
購入を迷っていたアルバムを存分に楽しめたり、登録時に申告していた好みのジャンルをもとに、新しいアーティストや曲を推薦されたりと新たな出会いも期待できるApple Music。プロによるレコメンドやプレイリストは、なかなか興味深いものがあります。特に、すでにiTunes Storeを利用していた方には便利なサービスと言えそうです。ただし、ストリーミング再生ですので、利用頻度の高そうな方はあらかじめ通信プランを確認しておいたほうがよさそうです。
「iTunes Match」との使い分けは?
Appleによる音楽系のサービスとしては、年間3980円の「iTunes Match」があります。「iTunes Match」は既存ライブラリをまるごと「iCloudミュージックライブラリ」に保管するサービス。アップロード時にはカタログとの照合が行われ、256kbpsのAAC、DRMフリーの状態で保存されます。他のデバイスからストリーミングで利用できるほか、ダウンロードも可能と、使い方は「Apple Music」と非常に似通っています。
手元のライブラリのみをDRMフリーで、さまざまな環境で再生できるのが「iTunes Match」、自分が所有していなかったライブラリも含め、膨大な曲をDRM付きの定額料金で聴き放題になるのが「Apple Music」と言えます。ということは、「Apple Music」を契約すれば「iTunes Match」は不要になりそうな気がしますが、DRMが付かない分「iTunes Match」のほうがバックアップの意味合いが強くなるようです。
それぞれは補完的であり併用も可能ということですが、これから選ぼうというビギナーに分かるでしょうか。パートナーシップ解約後の挙動も含め、併用時のユーザー側のメリット、デメリットの明確な説明が欲しいところです。