イベントレポート

コンテンツ東京2016

心を持つAI「レイシア」、新設された「AI・人工知能ワールド」で一際高い注目

 6月29日から7月1日まで東京ビッグサイトで行われた「コンテンツ東京2016」では、「AI・人工知能ワールド」コーナーを新設。その中でも一際高い注目を集めていたのが、「人工知能に心を持たせる技術を開発した」というモノゴコロのブースだ。SF小説「BEATLESS」(著:長谷敏司氏、イラスト:redjuice氏)に登場するアンドロイドのヒロイン「レイシア」と同社のAI技術を組み合わせたデモを行っていた。

 キャラクターに「レイシア」を採用した理由として、「BEATLESS」がシンギュラリティ(技術的特異点)を題材にした物語で、AIと関係していることを挙げた。今回初披露ということもあり、ブースには大勢の来場者が押しかけ、あまりの人の多さにデモを休止することがあったという。

 「レイシア」はディスプレイ上部にある「Kinect」から話者の動きを認識して、手を振ったり、微笑むなどのリアクションを見せてくれる。また、別途設置されたカメラで話者の顔と名前を紐付けて記憶することも可能だ。会話のやり取りも可能だが、今回のデモでは定型文で決まった質問・返答のみを繰り返したり、「はい」といったシンプルな言葉が正しく入力されても、正常な返答ができない場面が多々見受けられた。

 AIに加え、音声認識機能、合成音声技術、Live2Dを用いている点はソニーミュージックコミュニケーションズのめざましアプリ(別記事『「冴えカノ」加藤恵のめざましアプリ、モーションキャプチャーでリアルタイムにアニメを制作するシステム「KiLA」など、先端コンテンツ技術を多数展示』参照)に似通っている。しかし、モノゴコロは人間以外の“もの”にもAIを組み込むサービスを展開していくという。

 将来像としては、今回レイシアと組み合わせたような同社のAIを例えばドローンに搭載したり、五感で感じたことを捉えられるような自我を持つ“人工意識”を作りたいとしている。また、カーナビや、介護などのメディカル/ヘルスケアの分野への参入も検討している。

【お詫びと訂正 2016年7月5日 13:10】
 記事初出時、将来像の例として「レイシアのAIをドローンに搭載」としておりましたが、これは誤りです。お詫びして訂正いたします。

会場の騒音や人混みによる誤認識を防ぐため、エンジニアが常に付き添った状態で調整を行う必要があった
“アンドロイドとパートナーになる時代が来るかもしれない”という近未来のイメージとしてドールを展示していた

囲碁・将棋ゲーム開発で培われたAI技術を提供

 「銀星将棋」「銀星囲碁」シリーズなどのテーブルゲームの開発を主に手がけているシルバースタージャパンのブースでは、囲碁・将棋のAIエンジンの販売、ゲームソフト開発受託の商談を行っていた。iOS/Android/PC、コンシューマーゲーム機など、各プラットフォームに合わせたAI思考エンジンを提供している。

囲碁AIはディープラーニング対応版(アマ九段相当)で1000万円から。モンテカルロ版(アマ七段相当)は300万円から。スマートフォン用のAIエンジンも提供している
1998年にPC向け囲碁ソフトの開発に着手。これまで培ってきた技術を提供するという

AIでウェブサイト改善案を提示

 WACULのブースでは、Google Analyticsのデータをもとに、サイトの改善案を人工知能が提案するサービスを紹介。デバイス(PC/スマートフォン)、流入元、入り口・経由ページを分析し、サイト全体の訪問数、コンバージョン数・率を前月と比較した実績を一覧で表示。ページごとの課題の提示や、改善した場合の効果検証も行う。同社サポート担当による改善案、設計案のコメントも受けられ、AIと連動したサービスを展開。将来的には全自動化による処理を目指すという。

用途多様な音声・言語データの収集・作成サービス

 アイアールアルトのブースでは、サービスの開発者、研究者向けの音声・言語データの収集・作成サービスを紹介。音声データ収集には5000人ほどの登録モニターで収録を行うという。子供から高齢者などニーズに合わせて話者を構成。標準語、方言、外国語やさまざまなシチュエーションにおける話者の対話データを収集している。

 このほか、「第2回先端コンテンツ技術展」の展示については、別記事『今年の96ch「音響樽」はHMDで映像付き、体験型ブースが勢ぞろいの「第2回先端コンテンツ技術展」』を参照して欲しい。