イベントレポート
コンテンツ東京2016
「冴えカノ」加藤恵のめざましアプリ、モーションキャプチャーでリアルタイムにアニメを制作するシステム「KiLA」など、先端コンテンツ技術を多数展示
2016年6月30日 16:45
コンテンツ関連企業やクリエイターが集結するコンテンツビジネスの総合展「コンテンツ東京2016」が、東京ビッグサイト(東京都江東区)で7月1日まで開催中だ。「第5回クリエイターEXPO」「第6回キャラクター&ブランドライセンス展」「第4回プロダクションEXPO」「第4回制作・配信ソリューション展」「第2回コンテンツマーケティングEXPO」「第2回先端コンテンツ技術展」が併催されているが、本記事では主にキャラクターを用いた製品・技術を紹介する。
ソニーミュージックコミュニケーションズのブースでは、TVアニメ「冴えない彼女の育てかた」(原作:丸戸史明氏、イラスト:深崎暮人氏)のヒロインである“加藤恵”の音声対話エージェントアプリを参考展示している。同社ではこれまでに、Android専用アプリとして「ソードアート・オンライン」の“アスナ”、「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」の“Liko”を起用した2種類のアプリを配信している。
“加藤恵”を採用した理由として、キャラクターの声のトーンが波打たないため、音声合成が作りやすいこと、熱烈なファンが多いことを、同社コミュニケーションカンパニープランニングオフィスの松平恒幸氏は挙げる。3月に開催されたアニメイベント「AnimeJapan2016」では、4Kテレビに表示する参考展示を実施したところ大変好評だったという。
このシステムは、音声認識、対話エンジン、合成音声、Live2Dの4つの技術を用いる。会話には生声と合成音声が交互に使い分けられており、キャラクターの声質を損なわず合成音声を作成するためには高い発声技術が求められる。以前、実在するアイドルで収録を行ったところ、思った結果が得られなかったようだ。「“声のプロ”である声優だからこそ高いクオリティを実現できる」と松平氏は語る。
「めざましマネージャー 加藤恵」の提供は未定だが、今後は本技術を活用し、受付やサービスと連動したインターフェースとして展開することも考えているという。
クリプトン・フューチャー・メディアのブースでは、リアルタイム3DCGコントロールシステム「R3」とスマホ用音楽カード「SONOCA」などを展示。
R3システムは、リアルタイムで3DCGのモーションをMIDI信号で制御できるもの。これまで、ライブ「雪祭初音鑑 in SNOW MIKU 2014」や冨田勲氏の「イーハトーヴ交響曲」、BUMP OF CHICKENの楽曲「ray」のプロモーションビデオでの導入実績がある。主に、キャラクターを専用のモニターに投影して、オーケストラやバンドのパフォーマンスで利用する用途に用いられるという。
スマホ音楽カード「SONOCA」は、カード型音楽メディア。カード裏面のシリアルコードを専用アプリ「SONOCA Player」に入力することで、楽曲をダウンロードできるもの。カードにはオリジナルのイラストを付けることができるため、高いコレクション性も持っている。7月6日からはBtoC向けのオンライン受注サービスを開始。個人の音楽販売メディアとして利用することができる。
「きぐるみライブアニメーター・KiLA」はモーションキャプチャーを利用してリアルタイムでCGキャラクターを動かすシステム。顔・手・指のキャプチャー機能や、マイクごとにキャラクターのリップシンクを合わせる機能を備えており、生放送アニメの配信・制作にも向いている。
BtoBのサービスで、料金は本アニメーションシステム費に演出・構成費と音響制作費を加えても、30分アニメ1~2話分程度の予算で1クール12話分の番組を作れるという。
これまで、マチ★アソビの講談社ブースでウェブマンガ「Hop Step Sing!」のキャラクターを使ったデモや、ボーカロイド「Rana」のステージイベントなどで導入された。7月からはKiLAを使った生放送アニメ「魔法少女?なりあ☆がーるず」(TOKYO MX)が開始される予定だ。
このほか、「第2回先端コンテンツ技術展」の展示については、別記事『今年の96ch「音響樽」はHMDで映像付き、体験型ブースが勢ぞろいの「第2回先端コンテンツ技術展』、新設された「AI・人工知能ワールド」の展示については『心を持つAI「レイシア」、新設された「AI・人工知能ワールド」で一際高い注目』も参照してほしい。