インテル副社長がWiMAXアピール、UQの渡辺CTOも登壇して現状説明


 「CEATEC JAPAN 2009」で6日、インテルコーポレーションのロビー・スウィヌン氏(モビリティー事業本部副社長ウルトラ・モビリティー事業部グローバル・ビジネス担当ディレクター)が、「インテルによる『コンピューティングのコンティニュアム』シームレスなコンピューティング環境の発展に向けて」と題した講演を行った。

5年後には多くのSoCがAtomベースに

インテルコーポレーションのロビー・スウィヌン副社長

 スウィヌン氏は、シームレスなコンピューティング環境を実現するための要素として「ムーアの法則」「プラットフォーム・アーキテクチャ」「ソフトウェア」の3点を説明した。

 「ムーアの法則」では、インテルのテクノロジーの発展について語り、その最新事例として、同社の開発者向けイベント「Intel Developer Forum」で初披露した22nmプロセスウェハーの試作を紹介。これの生産については、「2011年後半の予定」とコメントした。

 「プラットフォーム・アーキテクチャ」では、プロセッサの開発ロードマップである「Tick-Tock」を紹介し、PCおよびサーバーに搭載されているプロセッサ(Nehalemなど)と、ネットブックなどに搭載されているAtomを説明。実際にNehalemとAtomの大きさを比較して見せた。

 Atomについては、ネットブックだけでなく、スマートフォンやネット家電など、さまざまなデバイスに用いることが可能とし、「コンピューティング環境の連続性をPCを超えて実現できる」と述べた。現在、32nmのAtom SoC(System On Chip)を開発中とのことで、「5年後にはさらに多くのSoCをAtomベースで出荷しているだろう」とコメントした。

 スウィヌン氏は、ノートPCの市場は今後も拡大していくことを説明した上で、ユーザーがインターネットで見るコンテンツの多くは他のユーザーが投稿した動画などであり、昨今では撮影だけでなく編集も主流になってきたと話す。「つまり、ノートPCにはパフォーマンスが求められている」。

 さらに、最高水準のモバイル体験には、パフォーマンスだけでなく、バッテリー持続時間や本体の厚さ、いつでもインターネットを利用できる接続性が重要になっていると説明。それに対し、インテルが提供する技術として、Nehalemアーキテクチャの「Core i7モバイル・プロセッサー」を紹介した。

22nmプロセスウェハーの試作Nehalem(右)とAtom(左)

UQ WiMAX、2012年には人口カバー率93%を目指す

モバイルWiMAX内蔵PCを持つUQコミュニケーションズの渡辺文夫CTO

 接続性については、さまざまな通信規格がある中で、「WiMAXはモバイルブロードバンドを考える上で極めて重要。日本は商用として耐えうるWiMAXの先端を行っている」とコメント。続けて、UQコミュニケーションズの渡辺文夫CTOが登壇し、「UQ WiMAX」の現状と今後の展開について説明した。

 「UQ WiMAX」に対するユーザーの反応について渡辺氏は、「10Mbpsの速度をかなりの割合で体験していただいており、そのアクセススピードに満足してもらっている」と述べた。サービスエリアについては、「東京、名古屋、大阪を中心に展開し、9月現在で基地局を2300局開設した。今年度末には6000局以上に増やしたい。2012年には、人口カバー率93%を目指す」とした。

 また、ターゲットユーザーについては、「1つ目は外出先で仕事をする人、3Gの速度に不満だった人に満足してもらっている。2つ目は家での利用。ワイヤレスで高速インターネットが利用できると、家に帰ってイーサネットに接続しない人も増えている」という。利用できるデバイスについては、「従来はUSBタイプなどが主流だったが、今夏からWiMAX内蔵PCが増えている」とした。

 今後、想定しているデバイスとしては、「モバイルインターネットデバイス」を挙げた。「2010年は、スマートフォンよりは少し大きいサイズで、スクリーンも大きく、アクセススピードが速いデバイスが普及するのではないか」と語り、「インテルの新しいチップセットであるMoorestownに期待している」とした。

 このほか、スウィヌン氏は、シームレスなコンピューティング環境を実現するための3つ目の要素として「ソフトウェア」を説明。インテルが開発するモバイルデバイス向けLinuxディストリビューション「Moblin」を紹介した。続けて、Moblin搭載のタッチスクリーン型モバイルインターネットデバイス「X3」を初披露し、iPhoneのように画面をなぞって、アプリケーションを選択するデモを行った。

 スウィヌン氏は、まとめとして、「ムーアの法則、プラットフォーム・アーキテクチャ、ソフトウェアを成功裏に組み合わせることによって“コンティニュアム(連続したコンピューティング環境)”を構築でき、それによってチャンスがもたらされる。チャンスとは、テクノロジーとユーザーの経験をまとめて、ユーザーに新しいベネフィットを提供すること」と説明。「インテルは“パーソナルコンピュータ企業”から“パーソナルコンピューティング企業”に生まれ変わっていく。それによって、新しいデバイスでも“コンティニュアム”を提供したい」と述べた。

Tick-TockビジネスモデルAtomの開発ロードマップ

世界の商用モバイルWiMAXモバイルインターネットデバイス「X3」


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(野津 誠)

2009/10/6 17:42