GREE田中社長、利用者1億人目指して「スマートフォン対応・海外展開を強化」


グリー株式会社 代表取締役社長の田中良和氏

 グリー株式会社は24日、開発者向けセミナー「GREE Platform Forum 2011」を都内のホテルで開催した。同社代表取締役社長である田中良和氏らが列席し、ソーシャルアプリ開発・運営プラットフォーム「GREE Platform」の現状を説明。スマートフォン対応や、海外展開などを強化していく方針が示された。

 GREE Platformは、SNS・モバイルゲームサイト「GREE」内で楽しめるアプリを外部デベロッパーが開発するための基盤として2010年3月に公開。同年6月には第1弾となるゲームの提供が開始された。

 セミナー冒頭で登壇した田中社長は「GREE Platformを開設したのはもうずっと昔に思えるが、実は公開からわずか半年。驚くべきスピード感の中で発展を続けている」と発言。その発展の功労者と言えるセミナー参加者に対しての感謝を表明した。会員数や課金サービスの売上も順調に推移しており、この傾向は今後も続くと田中氏は分析している。

 GREEでは今後、スマートフォンへの対応を強化していく。「すでにPCの出荷台数をスマートフォンが上回る状況が生まれた。5年、10年後にはコンピューターと言えばスマートフォンを指すことが当たり前になっているだろう」と田中社長は予測。すでに1月18日からスマートフォン対応アプリの提供をスタートさせたが、その他さまざまな面で利用者増加を図る計画だ。

 また、今年2011年の挑戦として掲げたのが海外進出だ。同一のハードウェアで国際的に普及するスマートフォン時代であれば、国際展開は比較的容易。「同じプラットフォームのままでグローバル展開を目指せる千載一遇のチャンス」と田中氏は指摘する。米国での自社拠点の開設、中国で大手サイトを運営するTencentとの提携など、本格的に展開していくという。

 田中氏は「人口やGNPが将来的に減少していく中で、日本のインターネット企業も海外展開を目指すべきだとしきりに言われている。GREEはこれらの課題に実際にチャレンジし、時には他の業界とも協力しながら(その実力を)1つ1つ証明していきたい」ともコメント。国際的に通用するサービスを日本から発信する重要性に触れ、まとめの言葉としている。


GREE Platformのパートナーは着実に増加同プラットフォーム対応アプリの利用者も順調に推移している

今後はスマートフォン対応を強化世界進出も狙う


グリー株式会社 執行役員 マーケティング事業本部 本部長の小竹讃久氏

 グリー株式会社 執行役員 マーケティング事業本部 本部長の小竹讃久氏からは、GREE Platformのサービス強化方針が具体的に示された。2月25日からは、統計分析機能が改善され、ユーザーの継続利用率、アイテム別消費量および消費金額の集計などが可能になる。また、アプリ内で広告を表示する「GREE Ad Program」を開始。集客のための広告出稿に加え、広告の掲出による収益化などにも道が開かれた。

 スマートフォン利用者の獲得に向けて、テレビCMも投入。この上で、各社からリリースされるスマートフォンにGREE用アプリをプリインストールする施策も始める。KDDIとは24日付で提携を発表。GREE対応アプリを探すためのサービス「GREE マーケット(仮称)」が、2011年夏以降発売予定のau製Androidスマートフォンにあらかじめ導入される予定だ。

 会場では、KDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏がここで登壇。「フィーチャーフォン中心の時代と比べて、スマートフォンは100倍くらいのスピードで進化している」と難しさを語りつつも、「ユーザーの嗜好が多様化していることもあり、アプリを普及させるにはAndroidマーケットやau oneマーケット以外にもさまざまな入り口を用意する必要があるだろう」と説明。GREE マーケットへの期待を寄せた。

 小竹氏は最後に「米サンフランシスコに当社として初の海外拠点を設置し、海外展開も進める。スマートフォン対応の強化をあわせて、早期の1億ユーザー達成を目指す」と宣言。さらなるサービス規模拡大に取り組むとしている。


スマートフォンの対応強化を進めるグローバル戦略の詳細

海外展開に向けてのロードマップKDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏もゲストとして登壇した

 セミナーでは、このほかにもグリー株式会社と提携する中国・Tencent社のDavid Guo氏が講演。また、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの上原和彦氏、株式会社コーエーテクモゲームスの襟川陽一氏が登壇し、アプリ開発者の立場から自社製品の特徴、GREE Platformの魅力などを語った。

 なお、セミナーと当時に「GREE Platform Award 2010」も開催された。登録ユーザー数や課金アイテム売上額、サービス利用状況などをもとに優秀なGREE Platform対応アプリを選出し、表彰するイベントで、今回が初の開催。総合大賞にはコナミデジタルエンタテインメントの「ドラゴンコレクション」が輝いた。


「GREE Platform Award 2010」各賞受賞者の皆さん表彰式の模様




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(森田 秀一)

2011/2/25 06:00