Twitterの活用進むテレビ局、理由は「ソーシャルと視聴率の相関性」


Twitter Japan株式会社でビジネスデベロップメントディレクターを務める牧野友衛氏

 東京ビッグサイトで開催されているIT関連の展示会「2012 Japan IT Week 春」で11日、Twitter Japan株式会社でビジネスデベロップメントディレクターを務める牧野友衛氏が講演し、同社のこれまでの製品展開やパートナー戦略の展望について語った。

日本法人はTwitter初の海外拠点、独自の製品開発も進む

 牧野氏によれば、世界の1日あたりのツイート数は3億4000万件、アクティブユーザー数は1億4000万人に上り、そのうち半数以上が毎日ログインしているという。また、アクティブユーザーの55%はモバイル経由から利用し、新規にアカウントを開設する6人に1人がモバイル経由だとしている。

 1秒あたりツイート数(TPS)のランキングでは、映画「天空の城ラピュタ」のテレビ放映中に2万5088件に到達したのが1位だったほか、女子サッカーワールドカップ決勝戦でなでしこジャパンが米国代表を破った瞬間をはじめ、トップ10のうち4件が日本からの記録だった。

 牧野氏は「日本は世界で2番目にアクティブユーザーが多い国」といい、そうした背景から2011年3月、Twitter初の海外拠点として日本にオフィスを構えたと説明。日本法人は独自の製品開発も進めており、携帯向けサイトの開設やハッシュタグの日本語対応、話題のキーワードを抽出する「トレンド」の日本主要都市への対応などを行ってきた。

Twitterユーザー数の推移モバイルの活用が多いTwitter
世界の瞬間ツイート数ランキング日本向けの製品開発

 続いて牧野氏は、Twitterのパートナー戦略について言及。まず力を入れているのはTwitterをさまざまな端末で利用可能にすることだといい、その成果としてはAppleの「iOS 5」にTwitterを組み込んだり、数多くのAndroid端末にもTwitterをプリインストールしたことで、Twitterを利用しやすくする環境を作ってきた。

 さまざまな端末で利用できるようにすることに加え、企業とのパートナー戦略も重視しているという。国内ではNTTドコモと提携し、災害時に「dメニュー」「iMenu」のトップページにおいて、Twitterを利用して情報発信を行っている公共機関や報道機関などのアカウントを一覧表示できるようにした。

 さらに、2011年6月にはヤフー株式会社と提携し、Twitterが持つ全ツイートのデータを提供し、Yahoo! JAPANの「リアルタイム検索」でツイートを表示できるようにした。3月にはYahoo! JAPANのトップページにTwitterの注目キーワードを表示する「話題なう」を開始、最近ではYahoo!ニュースのコメント欄にリアルタイム検索の結果を表示している。

NTTドコモとの提携についてヤフーとの提携について

ソーシャルの口コミが9%上がると視聴率が1%上がる

 今後のパートナー戦略としては、Twitterのデータを分析する企業との提携にも注力していくという。これは“ソーシャルリスニング”と呼ばれる分野で、ツイートをもとに企業の広告キャンペーンやブランド認知度などの調査を行うもの。最近ではテレビ局をはじめとするメディアでもツイートを分析するケースが出てきているという。

 テレビ局のTwitter活用について牧野氏は、日本でも番組中に募集したツイートを紹介する取り組みなどが増えてきたと指摘する。

 さらに米国の事例として、人気番組「SURVIVOR(サバイバー)」の放映中にホスト役のタレントが番組内容をツイートするケースを紹介。この取り組みは「Live Tweet」と呼ばれており、これを実践する前のシーズンと比べて、番組に関するツイート数が3~4倍増える反響があった。

 ほかにも、ハッシュタグを使って番組中に意見を募集したり、ツイート数で人気投票を行うなどの事例があるという。

米国テレビ局のTwitter導入事例

 テレビ局のTwitter活用が進む背景には、2011年10月に調査会社の米Nielsenが発表したレポートの影響がある。調査は「視聴率とソーシャルの関係」をテーマにしたもので、ソーシャルメディア上の口コミが9%増えると、視聴率が1%上がったという。この点に注目したTwitterは12月以降、Nielsenと共同で「Twitterと視聴率」というテーマで調査を続けている。

 また、米国では“ソーシャルTVレーティング”という指標作りも進んでいる。「番組の視聴率が同じでも、ツイート数が10倍違うケースもある。その意味では視聴率だけでなく、番組がどれだけネットに波及効果があったかがわかる『ソーシャルレーティング』があれば、視聴率とは違う指標として番組の価値が変わるかもしれない。まだトライアル段階だが、いずれ日本でもこういった取り組みは進んでいくだろう」。

視聴率とTwitterの関係ソーシャルTVレーティングについて

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(増田 覚)

2012/5/11 15:48