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TwitterコストロCEOが来日「人々のライフラインに」、バルスにも言及


 Twitterは16日、同社CEOのディック・コストロ氏の来日にあわせて記者会見を開催。世界と日本でのTwitterの利用状況を紹介するとともに、人々のライフラインとしての役割を果たしていく方向性などを語った。映画「天空の城ラピュタ」のテレビ放映中に行われた「バルス」ツイートについて言及する一幕もあった。
Twitter CEOのディック・コストロ氏

Twitterが使われる理由は「距離を近づける力」

 コストロ氏は、2004年にRSSフィードサービスを手がける「FeedBurner」を創業し、2007年にGoogleに売却。その後、2009年9月にCOOとしてTwitterに参加し、2010年10月にCEOに就任した。1990年代初頭からインターネット業界に携わってきたというコストロ氏は、過去を振り返ってみてもTwitterがいかに大きな現象であることがことがわかると話す。

 多くのユーザーが使う理由については「Twitterが距離を近づける力を持っているから」と説明。「アラブの春」を引き合いに出し、かつてはデモをテレビで見ても「非常に遠く感じられた」出来事が、Twitterを通してデモ参加者の声が届くことで「自分との距離が縮まった」とした。

 「アラブの春がエジプトからチュニジアに波及したが、Twitterを通じてデモの周知が行われた。Twitterを見れば、世界中でこの動きが支持されていることがわかった。これによってアラブの春の出来事が加速化した。Twitterを使うことで、世界中の人々が支援していることが肌で感じられたからだ。」

 Twitterの現状としては、1日あたりのツイート数が3億4000万ツイート、アクティブユーザー数は1億4000万人に上り、そのうち55%がモバイル経由から利用している。アクティブユーザー数は2011年初頭は5000万人程度だったが、順調に伸びているといい、その中でも日本は「世界の成長率をはるかに凌駕している」とたたえた。
Twitterの現状データ
世界と日本の成長率

 日本の利用状況に関しては、1秒あたりツイート数(TPS)の記録が何度も更新されていると指摘。女子サッカーワールドカップ決勝戦でなでしこジャパンが米国代表を破った瞬間にTPSの記録を更新したほか、「天空の城ラピュタが放映された際には2万5000件という世界で最も高いTPSを記録した」と振り返り、人々が同じ体験を共有し、距離を縮められるのがTwitterのすばらしい力だと誇った。
バルスツイートについても言及した

Twitterが3.11で学んだ3つの教訓とは

 自然災害のような不測の事態にもTwitterは力を発揮すると語るコストロ氏は、東日本大震災からTwitterにとって3つの教訓を得たという。1つ目は「人々をつなげる力があること」、2つ目は「ライフラインとしての役割になること」、3つ目は「ハッシュタグを使うことで必要な情報を得られること」だ。

 人々をつなげる力については、家族や友人だけでなく、他人ともつながることで国家的な災害を乗り越えたと指摘。ライフラインとしての役割では、電話などのコミュニケーション手段の代わりとなったほか、電車の運休状況や電力の供給状況といった情報を入手する手段になったと評価した。

 特にライフラインとしての役割を改めて認識したというコストロ氏。今回の来日の目的は、東日本大震災でTwitterがどのように活用されたかを正しく理解するためだという。「日本のTwitterチームと話し合い、ライフラインとしての機能をどう強化できるか検討する」。

 なお、日本のTwitterチームは英国政府と共同で、英国の学校がTwitterを活用するためのプロジェクトを進めている。Twitterを活用していた日本の学校は、東日本大震災においても生徒の安否情報を瞬時に発信しており、コストロ氏は「こうしたベストプラクティスを世界で共有していきたい」と話した。

 人と人の距離を近づけたり、ライフラインとしての役割を果たすTwitterだが、デマが拡散するなど悪意のある使われ方もある。この点についてコストロ氏は、善意を持っている人が多ければ多いほど、デマはすばやくTwitter上から払拭できると反論。すべてのデマは公に晒され、検索可能であることからも、Twitterが犯罪の温床にはならないとした。「今後は政府当局と協力し、デマをすぐ検知できるようにしていきたい」。

Twitterは今後どこに向かうのか

 Twitterは今後どこに向かうのか。この問いに対してコストロ氏は、ユーザーが必要とする情報をわかりやすく表示していくことだと語る。「コンテンツが増え続ける中、ユーザーがフォローしていないアカウントであっても、必要な情報であれば表面に浮上させることが重要だ。ユーザーごとにパーソナライズしていくことが大事だと考えている」。

 Twitter上での出来事を共有しやすくすることも目指す。「例えばサッカーの試合であれば、両チームの選手のツイートを前面に出すようにすることでリッチな体験につながるだろう。ハッシュタグで情報を探さなくても、情報を一元化されるようにイベントのディスティネーションサイトを設けていく」。

 世界で最も重要な市場の一つである日本には、今後も投資を継続していくとコメント。具体的にはエンジニアをさらに増やすとともに、Twitterのライフラインとしての役割を推進するための製品担当者も採用していく。同時に、広告などの企業向けサービスに従事する営業担当も増強するという。

 コストロ氏はこのほか、一部の国でTwitterへのアクセスが規制されていることについても言及した。例えば中国ではTwitterに接続できないが、一部の国民はアクセスする方法を見つけていると指摘。その上で、本名で政府を批判することで罪に問われる可能性はあるが、そうした事態を避けるために本名を使わずに投稿できるようにしているという。

 「Twitterがニックネームでも投稿できるようにしているのは、政治的な言論が重要だと考えているからだ。今後もニックネームで投稿できる環境を提供し続ける。また、ある国でビジネスを続けたいがために、こうした価値観をあきらめたり譲歩したりすることはない。」


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(増田 覚)

2012/4/16 15:37