ひかりTVの次の一手は、YouTubeのような形? NTT Com副社長講演


NTTコミュニケーションズの有馬彰代表取締役社長

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が東京都内で開催したプライベートイベント「NTT Communications Forum 2009」で29日、同社の有馬彰代表取締役副社長が講演し、NTTぷららから提供しているIPTVサービス「ひかりTV」の今後の拡充方針などについて言及した。

 有馬副社長はまず、ひかりTVの契約が9月末で76万世帯になったことを報告し、今年度末までに110万世帯を目指すとした。また、地デジのIP再送信サービスについて、NGNのエリア展開をふまえ、今年度内に17都道府県に拡大すること、さらにBSデジタル放送の再送信サービスを年内に開始することなどを紹介した。

 その一方で、機能面では「まだまだ拡充しなければならない点も多い」と述べ、今年度内に専用STBで録画機能を追加するという。さらに長期的には、ひかりTVのB2Bへの応用も模索するとし、難視聴地域や学校での実験を通じて、法人向けIPTV事業を検討するとした。

 講演の後半には、MM総研代表取締役所長の中島洋氏との対談形式で、今後の方向性などが紹介された。

 中島氏の「ひかりTVやNGNを普及させる次の一手は?」との質問に、有馬副社長は、ひかりTVでFTTHやNGNの特徴である高速性を生かしたサービスを実現できたと評価しながらも、「流している中身はテレビやVOD」と指摘。ユーザーにとっては放送などとの違いがあまりないことを認めた上で、「せっかく通信ネットワークで提供しているのだから、上り・下り100Mbpsの双方向機能を生かした新しい映像サービスを出さなければいけない」と述べ、YouTubeを引き合いに出し、「ああいう形で視聴者参加型、あるいは視聴者が制作する、今までのテレビ配信にないサービスを1日も早く作りたい」とした。

 また、日本がブロードバンドインフラでは世界最先端でありながら、電子政府や医療、教育などの分野で利活用が立ち後れていることに対しては、高齢化社会が進展する中、こうした公共サービスをテレビの大画面で提供できれば大いに意味があるとし、ひかりTVのプラットフォームをB2Bモデルで提供することにあらためて意欲を見せた。

 「NTT Communications Forum 2009」では、同社グループが提供している法人向けソリューションを紹介する展示やセミナーも行われた。展示会場では、SaaSやクラウドといった昨今の動向を反映したコーナーのほか、今年は新型インフルエンザの流行を受け、「パンデミック」のコーナーも設けられ、Web会議システムや在宅勤務ソリューションなどを紹介していた。


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(永沢 茂)

2009/10/30 11:00