記事検索
イベントレポート

出版社向け電子書籍ソリューションは「マルチ展開」を各社がアピール


 「第17回 東京国際ブックフェア」と同時開催されている「デジタルパブリッシングフェア2010」の展示会場では、出版社向けの電子書籍制作ソリューションが多数展示されている。各社の展示では、複数の電子書籍端末やフォーマットに向けた電子書籍の作成への対応を意識した製品やサービスが多く見られた。

マルチプラットフォーム、マルチフォーマットを各社が強調

 大日本印刷のブースでは、iPhone/iPad、Androidに対応するアプリ「Image Viewer」を展示。出版物をそのままのレイアウトで表示できる点が特徴で、サンプルとしては「秀英体見本帖」を既にApp Storeで公開している。また、今後はマルチデバイス対応のプッシュ型コンテンツ配信にも取り組んでいく予定としており、展示ブースにはiPadやソニー・富士通などの電子書籍端末、Android端末などが並べられ、多様な端末に向けて配信を行っていく姿勢をアピールしている。

 凸版印刷も同様に、電子書籍のソリューションでは「マルチフォーマット展開」を強調。電子書籍のフォーマットは現状ではXMDF、.book、EPUBなど様々で、どのフォーマットが今後主流となるかは未確定な状況にある中、凸版印刷ではInDesignなどのDTPで使用しているデータを中間フォーマットとしてXMLデータ化し、それを各種の電子書籍フォーマットに変換していくソリューションを提案している。

 組版データをすぐに販売できるソリューションとしては、モリサワが「MCBook」を展示している。MCBookは、Adobe InDesignなどの組版データから、簡単な操作でiPhoneアプリが作成でき、アプリにはモリサワのフォントを埋め込むことが可能。出版社にとっても導入が容易で、校正作業を効率化するためのツールなども提供する。

 MCBookは、現状ではiPhoneアプリ作成のみのソリューションとなっているが、既にiPadとAndroid端末への対応に向け開発を進めているという。また、現状では電子書籍1冊ごとに1つのアプリが作られる形となっているが、今後はビューアーソフトを分離し、電子書籍コンテンツのみをオンライン書店で購入する分離型の開発も進めていくという。

大日本印刷の「Image Viewer」。複数のスマートフォンに対応 大日本印刷のブースには多数の端末が参考展示されている
凸版印刷もマルチフォーマット展開をアピール iPadやSONY Readerなどでの表示例を参考出展

「KeyringPDF」は出版社・電子書店向けソリューションの「bookend」に

 電子書籍にDRM(デジタル著作権保護)の仕組みを提供する製品としては、アイドックの「KeyringPDF」が広く使われている。アイドックのブースでは、このKeyringPDFをベースとして、さらに出版社や電子書店向けの機能を強化した「bookend」の紹介を行っている。

 従来のKeyringPDFは、Windowsのみの対応となっていたが、bookendではMacやiPadなどにも対応。また、コンテンツはダウンロードして閲覧するだけでなく、ウェブブラウザー内でのオンライン閲覧にも対応。また、ユーザーは最大3つまでの専用書庫を持つことができ、書庫はクラウドによって同期されるため複数の端末で同じコンテンツの閲覧が可能となる。

 既に、電子書店パピレスがbookend方式への移行を予定しており、今後さらにKeyringPDFを採用している他の企業にも移行を呼びかけていく。また、従来のKeyringPDFについては、企業内での閲覧制限などのソリューションとして展開を続けていくという。

アイドックは新たなDRMシステム「bookend」を展示 従来の「KeyringPDF」は主に企業向けの利用で展開

セルシスとボイジャー、新ブランド「BS Reader」をアピール

 セルシスとボイジャーのブースでは、携帯電話向けコミックなどで多数のサイトが採用している「BookSurfing」と、その制作ツールを紹介している。

 「BookSurfing」は、セルシスの「ComicSurfing」とボイジャーの「T-Time」を統合・発展させた電子書籍ビューアーで、現在ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルの5キャリア、1000サイト以上が採用。携帯電話向けでは90%以上のシェアを占めるという。

 セルシスとボイジャーでは今後、2011年夏までにフォーマットを「BS Format」として統一するとともに、ビューアーソフトを「BS Reader」に名称変更、コンテンツ制作ツールを「BS BookStudio」として一元化していくことを発表。ブースでは「BS Reader」を新たなブランドとして打ち出すとともに、携帯電話やスマートフォンに加えて、PCやゲーム機など多くの端末にもサービスを展開していくことをアピールしている。

セルシスとボイジャーは新ブランド「BS Reader」を展示 携帯コミックでの高いシェアを背景に、マルチデバイス展開をアピール

関連情報

(三柳 英樹)

2010/7/9 14:59