イー・モバイル講演、DC-HSDPAやLTEも「早く、安く提供」


 東京ビッグサイトで22日、無線通信の専門イベント「WIRELESS JAPAN 2009」が開幕した。会期は24日まで。開場時間は午前10時から午後5時30分(最終日は午後5時終了)。展示会の入場料は3000円(事前登録者は無料) 。

 会議棟およびレセプションホールでは、コンファレンスを行っている。今回はプログラムを大幅にリニューアルしたとのことで、キャリア各社のトップが登壇する基調講演をはじめ、無線通信技術やスマートフォン、AR(Augmented Reality:拡張現実)など先端技術に関するものまで、幅広い内容をカバーしている。

イー・モバイルのエリック・ガン代表取締役社長兼COO
日本の通信事業の流れ

 基調講演では、イー・モバイルのエリック・ガン代表取締役社長兼COOが、事業戦略について話した。

 ガン氏は、日本の通信事業の流れについて触れ、固定一般電話の普及、長距離電話(LCR)の普及、携帯電話の普及、固定ブロードバンドの普及を順番に挙げ、「これからは、モバイルブロードバンド市場が拡大する」とした。

 「固定ブロードバンドの場合は、普及するのに苦労したが、モバイルブロードバンドは1人当たり(1端末)の商売になる」とし、世帯単位で増える固定回線よりも市場は大きいと説明した。

 続いて、イー・モバイルの累計加入者数について説明。「平日では2000契約、祝祭日では3000契約のペースで加入者が増えている」とのことで、6月末時点での加入者数は167万2300契約となった。「昨年度同様に今年度も加入者数100万を目指す」。第1四半期は予想を若干上回る結果だったという。

 また、モバイル市場におけるシェアも順調に伸びていると説明。「他社は、音声通話の利用がほとんどだと思うが、イー・モバイルは多くがデータ通信の契約。データカード販売だけで見ると、純増数は25週ナンバーワンを維持している」とのこと。また、解約率の推移では、「1%の水準を維持している。固定より半分の解約率になる」とした。

 イー・モバイルのネットワークについては、「ERICSSON」と「HUAWEI」を主要ベンダーとして採用し、全国的な3/3.5G(HSPA)ネットワークを構築していると紹介した。東名阪はERICSSON、その他のエリアはHUAWEIを採用している。基地局については、イー・モバイル独自の3G無線機にすることで、設備・運用ともに低コスト化を実現。「小型化したことで、小さなビルでも設置でき、場所の優位性もある」とした。

累計加入者数の推移ネットワーク構築基地局の新旧比較

 サービスエリアについては、全国で人口カバー率90.5%。今後は、東北、中国、四国エリアなど地方も強化する。また、「全国の地下街の43%をカバーしている。年度末には100%を達成したい」と話した。「地下街に関しては、データ通信よりも将来の音声通話に向けての先行投資だと考えている」という。

 ネットブック市場についても言及。「当初はメーカーが少なく大変だったが、現状は15社以上がネットブックを発売しており、4万円台のPCは50機種以上に増えた。売り場も広くなり、ユーザーの選択肢も増えた」とし、ネットブックとデータカードのバンドリングモデルが成功していることを紹介した。

 さらに、7月24日からは、HSPA+規格を採用し、下り最大21Mbps(理論値)を実現したデータ通信サービスを開始するほか、今後のロードマップとして、「2010年9月には、DC-HSDPA(HSPAを二重化する方式)、2年後にはLTEを採用したサービスを予定している」と説明した。

 イー・モバイルでは、これら3.9Gの導入に向けた基地局開設計画の認定を、6月に総務省から受けている。「周波数帯域は、1.7GHz帯で現在持っている割り当て幅の隣りになる。設備投資も抑えられるため、新しいサービスを早く、安く提供できる」とアピールした。

これまでのサービスHSPA+サービスの概要3.9G新周波数帯割り当て


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(野津 誠)

2009/7/22 19:02