インタビュー

"聞こえ"だけでなく生活そのものも変える――、インターネット接続が可能な初めてのIoT補聴器「Oticon Opn」が拓く未来

 普通に耳が聞こえている人にとって縁遠いと思われる「補聴器」。しかし、これからのIoT時代はそんな考え方も変えていかなければならないかもしれない。大手補聴器メーカーの1つであるオーティコンが発表した新世代の補聴器「Oticon Opn(オーティコン オープン)」シリーズは、11コアという他に類を見ない独自のマルチコアチップセットを搭載し、高い処理能力で難聴者の"聞こえ"を最大限にサポートするだけでなく、機器やネット上のサービスを連携させる米国発のWebサービス「IFTTT(イフト)」ともつながって、補聴器自体がIoT機器として扱えるという特徴も備えている。

 1月5日から米国で開催される国際家電ショー International CES 2017において、「Tech for a Better World」および「Wearable Technologies」の2部門で受賞を果たすなど、Oticon Opnの注目度は高まりつつある。

 これまでの補聴器から大きく進化したというこの製品、具体的にはどのように変わったのだろうか。同補聴器の製造および販売などを手がけるオーティコン補聴器プレジデントの木下聡氏に、補聴器を取り巻く現在の環境や、IoT時代にOticon Opnが果たしていく役割なども含め、話を伺った。

オーティコン補聴器 プレジデントの木下聡氏

“自然に聞こえる音”にこだわったオーティコンの補聴器

――まずはInternational CES 2017での受賞、おめでとうございます。しかし補聴器というと、健聴者にとってはやはり馴染みの薄い機器で、オーティコンという会社自体も耳慣れない人が多いと思います。ですので、最初にオーティコンという企業について教えていただけますでしょうか。

 たしかに、補聴器は皆様あまり身近に感じたくない装置だと思います。言葉自体が高齢者というイメージと重なってしまっているので、ご自身が必要性を感じない限り情報は集めないでしょうね。

 オーティコンは、補聴器を含む、"聞こえ"に関するさまざまな製品を開発しています。親会社のWilliam Demant Holdingはデンマークにあり、創業は1904年、112年の歴史があるデンマークでは非常に有名な会社です。デンマークは小さな国ではありますが、補聴器産業における世界の6大メーカーと言われているうち、3つがデンマークに本社を構えており、国にとっても重要な産業となっています。

 もともとオーティコンは補聴器の輸入販売からスタートしました。創業者であるハンス・デマントは、彼の妻が難聴だったこともあって、当時イギリス王室の方が補聴器を付けたという話を聞いて、妻のために補聴器を持ち帰り、会社で補聴器の取り扱いを始めました。

 1910年以降、息子のウィリアム・デマントが父ハンスの事業を継承し、補聴器の開発も始め、現在は複数の補聴器ブランドを抱える大手メーカーとなりました。日本進出からは43年が経過していますが、当社では主に本社が開発した製品を日本に輸入し、補聴器専門店や眼鏡店に卸す事業などを展開しています。

――世界と日本におけるオーティコン製補聴器のシェアはどれくらいなのでしょう。

 オーティコンを含む3つのブランドを抱えるWilliam Demant Holdingのシェアは25%近くで、全世界の4分の1を占めています。断トツではありませんが、世界で1、2位を争う状況です。日本は、現状のシェアはオーティコン単体で12%前後となっていて、日本市場ではシェア2番手グループに位置するかと思います。

――オーティコンの補聴器は、他社製品と比べてどういったところに特徴やメリットがあるのですか。

 一番の特徴は、音が自然だということですね。補聴器ユーザーは先天的な難聴のお子さまもいらっしゃいますが、圧倒的に多いのは高齢者です。加齢によって聴覚が衰え、補聴器を付けることになるわけですが、その場合はご自身の"聞こえ"というのは脳の記憶やご自身の経験などと関係しているんです。そのため、補聴器を付けて重要なことは、耳や脳に入ってくる音の情景が、もともとご自身が健聴だった頃、若かった頃と同じような感じで聞こえるかどうかです。

 "自然さ"というのが最も重要で、弊社製品のユーザーからは最初の感想として「すごく自然な音ですね」と言っていただけることが多い。そこがオーティコンの大きな特徴だと思います。補聴器が作る音は、最終的には耳で聞くのではなく、耳という感覚器を経由して脳で認識させるもの。ですので、脳がどういう形で音をとらえるのかというメカニズムを理解して、その人が聞きたいと思っている音声をいかに聞こえるようにするか、という考えが根幹にあります。

 今の日本市場においては、多くの場合ユーザーが製品を選ぶというより、お店の方が取り扱うブランドを決めて、お客さまにおすすめする形になっています。そこで一番大事なことは、補聴器を取り扱っている販売店が、その製品の良さをしっかり理解し、お客さまにおすすめできるようにすること。当社としてはそこをしっかりサポートすることが鍵になります。

――海外メーカー製品ということで、我々日本人との体格の違いによるサイズ感の差、という面で難しい部分はないのでしょうか。

 たしかに日本人の外耳道の形状は欧米の人と違うとか、カーブがきついと言われています。しかし補聴器には主に2つのタイプがありまして、既製の耳栓をつけて耳に掛けるタイプと、耳穴に補聴器を入れるオーダーメイドタイプがあります。

 後者の耳穴に入れるタイプは日本国内で作っています。店舗で耳の型を取り、その型をこちらで受け取って、3次元スキャナーでスキャンしてコンピューターで造形したうえで、3Dプリンターでシェルをプリントし、その中に部品を配置して完成品にするという流れです。そのため、個人の耳の形に合わせて作ることが可能です。

 補聴器は、できれば付けたくないもの、というのが万国共通の心情です。欧米の方もやはり見えにくいことを望んでいますので、なるべく小さいサイズが求められます。できるだけ小さく目立ちにくく、さらにデザインもカッコ良くカラフルに、という方向に進んでいますが、人間工学にも基づいた北欧デザインは、日本人の方にとってみれば抵抗なく受け入れられるデザインでもあるかと思います。

Orticon Opn
耳に装着したところ。耳の穴や影に隠れ、ほとんど目立たない

周囲360度の音を秒間100回スキャンし、必要な音を聞こえやすく

――現在の国内の補聴器ユーザーの数と、補聴器を使っていない難聴者の方の数はどれくらいいるのでしょうか。

 JapanTrakという業界団体が数年に一度行っている調査(2015年)によると、日本の全人口のうち11%くらいの方が難聴を抱えているとのことです。約1300万人ですね。日本では、そのうち13~14%くらいの方が補聴器を使用していると言われています。聞こえにくい自覚はあっても補聴器を装着せずに過ごしているという方が多い状況です。

 米国は補聴器装着率が25%と言われていて、13~14%の日本と比べると格段に高い。これは、欧米だと補聴器の購入に当たって国からの補助を受けやすいことも関係しているためと考えられます。

――日本人の補聴器装着率が低いことの主な理由として、他に何が考えられるでしょうか。

 これは私たちにも責任があるとは思いますが、補聴器そのものに対する認知が低いこと。それに、公的な補助が日本では限定的であるということです。両耳の聴力レベルの平均が70dB以上の方は聴覚障害者として認められ、障害者総合支援法対象の補聴器の購入補助を受けることができます。ですが、補助を受けることが可能な人は全体の10~15%くらいですから、大半の人は自費で購入しなければなりません。

 一方で、欧米の場合はオージオロジストという聴覚専門家の大学コースがあり、そういう職業もあり、国によっては医者とほぼ対等の立場にある専門家として認められている場合もあります。日本にはまだそのような聴覚ケアを専門とした国家資格がありません。補聴器の専門家として業界の認定技能者資格をもった販売店も増えていますが、十分にその存在が知られていないこともあると思います。

 また、その他にもさまざまな社会的な制度、フレームワークの問題があり、広まっていかないというのが大きな原因と考えられています。

国内の補聴器利用者の少なさには、補助金制度や医療制度など、社会的な面にも原因があるのではないかと語る木下氏

――そんななかで今回発表された新しい「Oticon Opn」は、世界初のIoT補聴器として注目を浴びています。まずはその特徴を教えていただけますか。

 補聴器の基本的な機能は、話している声をしっかり増幅して聞こえるようにする、というものです。ただ、人の声を聞くシチュエーションは、雑音がない状態の会議室もあれば、さまざまな交通騒音が存在する屋外、あるいは人がたくさん集まって話をしているなかなど、常に好条件ではありません。

 そこで、これまでの補聴器は主に正面にある声を増幅し、それ以外の方向にある雑音は抑えて声を聞こえやすくする、といったように、環境の変化に応じて機能をコントロールしてきました。かなりデジタル化が進んだ製品ではありますが、一方でダイナミックに動く雑音と会話の声をどう届けるかに関しては、まだ大きなハードルがありました。

 特に難しいのは、例えば周囲で複数の人が食事をしていて、みんながしゃべっているなかでウェイターが食事メニューを聞いてきたりした時です。これまでの補聴器は、自分の正面に座っている人が会話相手だと定義して、その周りの方々の声は雑音とみなし、指向性を高めて周囲の音を抑えるというやり方でした。これは、一人の相手と会話を交わす限られた環境では都合が良いのですが、正面に座っている人のすぐ横に音声があった場合、騒音に紛れて聞き取りにくくなってしまいます。あるいは、隣に座っている人が急に話しかけてくるケースもあるでしょう。

 そういう時には本来、人間の脳は聞きたい音を無意識に判別して、もし自分にとって大事な隣の人が話しかけてきたら、ふっと注意をそちらに向けて話を聞くことができます。ところが、従来の補聴器ではそれが難しくなります。他社製品には声の大きさなどに応じて補聴器が判断して切り替える"環境適応型"のものもありますが、切り替えには時間がかかってしまうので相手の声が途中からしか聞こえないこともあります。

 しかし、感覚器である耳の代わりの補聴器が、どの音声を聞くのかを決めるのは本来おかしな話です。そこでOpnでは、そういった制約を全て取り払い、1秒間に100回周囲の音をスキャニングしながら、装用者の周りにある全ての音をまずしっかり捉えます。そのなかで「騒音」と「会話」を区別し、不必要なノイズを極力抑えつつ、言葉と言葉のなかに紛れ込んでいる雑音成分も取り除きます。そうすることによって、全ての角度から話しかけてくる声をしっかり聞き届けることができるのです。

 人は従来両耳で聞いていますが、Opnを両耳に装用いただくことでは、音の方向が前なのか、斜め後ろなのかといったような音源の位置をさらに立体的に捉えることができます。このOpnの聞こえを、360度開かれた音の世界「オープンサウンドエクスペリエンス(開かれた音の体験)」と呼んでいますが、Opnによって補聴器を付けている人が、健聴者が聞こえているような自然な聞こえに近づけることができる、ということが大きなポイントです。

 Opnではまた、世界初となる2つのワイヤレス通信システム「ツインリンク」を搭載しています。より自然な聞こえを可能にする補聴器間の通信には、省電力で近距離間での安定した通信を可能にするNFMI(Near Field Magnetic Induction:近接場磁気誘導)を使います。OpnはMade for iPhoneでもありますが、iPhoneと補聴器との直接接続やテレビアダプターという通信デバイスとの併用ではテレビの音声をワイヤレスで音を直接耳に届けることもできます。これらのストリーミング接続には2.4GHzのBLE(Bluetooth Low Energy)採用しています。2つの通信システムを必要な処理に応じて使い分けることで電池消費を抑えることに成功したのも特徴の1つです。

Opnコンセプトムービー(YouTube Oticon Japanチャンネル内)

――そもそも補聴器は音をどのように処理して耳に届けているのか、教えてください。

 難聴者の方は小さい音が聞こえづらい一方で、大きな音は十分な大きさで聞こえているので、聞こえる範囲が狭くなります。従って、大きな音も一律に大きくしてしまうと不快に感じます。ですので、小さい音も、大きい音も丁度よい音量で聞こえるように音を圧縮して届けます。Opnの場合は、会話はより明瞭に保ちつつ、騒音は煩わしくないように抑える機能に加え、一つひとつの音の特徴を、メリハリをもって処理します。どういう音が周囲に存在しているのか、クルマが走っているのか、自転車のベルが鳴っているのか、音楽が流れているのかなど、音の世界をよりありのままに感じ取れるようにしています。

 どれを抑えてどれを聞こえやすくするかは、周波数だけで判断しているのではありません。人の声であっても、大勢が寄り集まって話しているような場面では雑音になりますから、そういうものはノイズとして扱って抑えることになります。そういったAI的な判断は、補聴器のなかのソフトウェアが処理を行っています。

R&Dを重視し、自社開発した独自の11コアチップセット

――Opnに搭載されているチップセットはコア数が計11個と、マルチコア化が進むスマートフォンをも圧倒しています。

 我々の最新のチップセットである「べロックス」は11のコアを搭載した次世代ネットワークチップ(NoC)です。8つのコアは音のセンシング、増幅、バランス調整、ノイズ除去をはじめとする補聴器搭載機能の処理を担当しています。残りの3コアは主に通信機能の処理に用いられています。

 チップは、どんなデバイスにとっても非常に重要なポイントになると思っています。補聴器市場には6大メーカーがあると冒頭で申し上げましたが、米国に1社、デンマークに3社、ドイツに1社、スイスに1社。それらのなかでチップの設計・開発までやっているのは今は当社だけです。デジタルサイクルは非常に速く、開発にはマンパワーを要しますが、毎年売上の7~10%をR&Dに向けてきたおかげでチップを生み出すことにつながりました。

 補聴器コンセプトの発案から始まりこれを実現させるチップの完成までには8年ほどの年月をかけていますが、数々の補聴器新技術の実現は、また全く新たなチップの研究開発によってはじめて可能になるものでした。べロックスの寄与もあって、画期的な製品Opnに仕上がったと思っています。

 そして、OpnとiPhoneのアプリ「OnAPP」との組み合わせにより、「IFTTT」を通してインターネットの世界とつながります。補聴器のOpnをトリガーとして、さまざまなIoTデバイスと結び付くことで、補聴器を使った生活がこれまでとは大きく変わってくることになると考えています。

Opnの電源を入れた瞬間にほかのIoT機器と連携。連携したことをメールで通知する、というレシピを実行したところ

 例えば、朝起きた時に補聴器の電源を入れると、部屋のLEDライトがオンになり、マイクスピーカーに向かって発言するとテレビの電源がつく。そして、先ほどお話ししたテレビアダプターを通して補聴器に音が入ってくる、といったことが可能になります。補聴器を1つのきっかけとした生活レシピができるというわけですね。よりよい生活を実現するためのテクノロジーとして、補聴器がようやく表舞台に出てきたとも言えます。

――チップセットの自社開発はチャレンジングなことだと思いますが、既成のチップでは不十分だったのでしょうか。

 難聴者の耳や脳にどういう形で信号処理して音を入れるのかは、非常に特殊な世界なんです。さまざまな新しいアイデアを入れていくためには、そのアルゴリズムを作って、回路設計のなかに活かしながら入れていくことが大事で、我々はそこに対する開発投資にこだわっています。

 歴史の非常に長いデンマークの著名企業ということもあって、若い優秀な技術者を採用しやすい点も自社開発を有利にしています。R&Dにかける人員採用はどんどん加速していますし、今後5~10年くらいで人的な投資額はさらに高くなっていくのではないでしょうか。

――「生活レシピ」というお話がありました。IoT機器として活用する便利な生活シーンを提案するためには、御社や販売店による積極的なサポートが必要になるのではないかと思いますが、どのように広げていくことを考えていらっしゃいますか。

 IFTTTが米国発のサービスということもあり、日本語環境がそろっていないという現実もあります。そこはこれから実際にレシピ集を作っていこうと思っています。生活のなかで連携させて使うには、お客様が補聴器とスマートフォン上のIFTTTを設定する作業が必要です。医療機器である補聴器は個人がネットで購入してすぐに使えるという性質の製品ではありません。まず販売店で聴力やその方の聞こえの好みの反映など、個人にあった調整を行って初めて機能するものです。その調整を手がける補聴器販売にかかわる方々の存在が非常に重要で、専門スタッフがアドバイスやサポートを行っていくことが期待されます。我々も販売にかかわる方々へ必要なサポートやツール類の提供を行っていく、そこをしっかり押さえつつ進めたいと考えています。

編集注:補聴器を使用する場合は、あらかじめ耳鼻咽喉科専門医の診察を受けることが推奨されているそうです。

 ユーザーのなかには、いきなりパソコンだ、スマートフォンだ、という世界に対してハードルが高いと感じる方もいらっしゃるでしょうから、まず期待しているのは、これから補聴器が必要になるであろう方々に対するメッセージングをしっかり出すこと。これまでの補聴器=高齢者というイメージを変えて、日常生活を充実させる道具の1つとして見ていただく。それができればユーザー層も広がると思っています。

聞こえを補う機器から、生活そのものを変えていく機器へ

――前のモデルから機能、性能は大幅にアップしたことになりますが、価格もアップすることになるのでしょうか。

 価格は前モデルとあまり変わりません。Opnシリーズはオープン価格ですが、最上位機種である「Opn1」は目安としては両耳で100万円くらいになるかと思います。前世代は96万円ほどでしたので、価格はさほど変わりませんが、以前の製品とは性能面でかなりの違いを感じていただけるはずです。人がたくさんいる騒がしい環境での聞き取りやすさも違うと思いますし、長時間使っていて疲れにくい点も実感していただけるはずです。

 というのも、難聴の方は、音の情報が歪んでしまい正確に届かないため、脳が不足した情報を補おうと、聞き取りの努力が余計に必要になってくるのです。Opnでは客観的な研究データに基づき、当社の前世代製品に比べて20%疲れにくく、20%記憶しやすく、30%言葉の聞き取りが改善される、という効果もうたっています。

――効果、という意味では、補聴器を使うことによって認知症の発症も軽減できるという研究結果が報告されているそうですが。

 まだ全ての人、全ての医療関係者が断定しているわけではありませんが、そういう調査研究が盛んになってきています。特に海外は研究が活発です。フランス・ボルドー大学の教授による、フランスのとある地域で25年間にわたって追跡調査を行なった結果、難聴の方と健常者の方を比較すると、難聴と認知機能の低下には関係性が見られた、としています。

参照資料
"Self-Reported Hearing Loss, Hearing Aids, and Cognitive Decline in Elderly Adults: A 25-Year Study", The American Geriatrics Society Oct. 2015, OCTOBER 2015-VOL. 63, NO. 10.

 実際に補聴器を付けることで、それが改善・軽減するといった例も一部で報告されるようになってきています。2、3年後にはもっとクローズアップされるようになる話題かもしれません。

――健聴者にとっては自分には関係ないと思いがちな補聴器ですが、実際のところはどうなのでしょうか。健聴者が補聴器に対して、あるいは補聴器を使う難聴者に対して、今から考えておくべきことはありますか。

 今40~50代の方々は、自分自身の聞こえに対しての不安はなくても、その親世代は難聴とは無関係ではありませんから、補聴器を使うかどうか、という場面に直面されることがあるかもしれません。補聴器に対してそもそもマイナスイメージがあって買いにくく感じている方、もしくは買ったけどよく聞こえないという体験をしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ですが、最近の補聴器は見た目も目立ちにくく、ユーザーの聞こえの好みをより適切に反映できるようになっていることを知っておいていただきたいです。

 補聴器は、ある意味最も歴史の長いウェアラブル端末の1つです。OpnとIFTTTをうまく組み合わせることで、一人暮らしをしている父親や母親が補聴器を使っているかどうか、無事に生活しているかどうかを確認するようなこともできます。介護見守りとまではいかないかもしれませんが、補聴器もインターネットの力をうまく活用できる時代になってきて、単に聞こえを補う機械から、生活そのものを変えていく機械へと進化しています。ドアを開けて新しい時代に出てきた補聴器を、視野を広げて見ていただければ嬉しいですね。

OpnとIoT機器の連携を研究するため、社内にいくつかのIoT機器を導入している
こちらはOpnとドアキーを連動させるデモンストレーション用の機材
Opn:IFTTTムービー(vimeo)

(協力:オーティコン)