インタビュー

さらに使いやすく、デザインが進化した「BiND7」

フリーカートなど新しいチャレンジを続けるデジタルステージに聞く

 株式会社デジタルステージは20日、HTMLコーディングをすることなくデザイン性の高いWebサイトを構築できるホームページ作成ソフトの最新版「BiND for WebLiFE* 7(バインド・フォー・ウェブライフ 7)」(以下BiND7)をリリースした。

 「BiND7」は、Webの最新トレンドをキャッチアップし、バージョンを重ねるごとに着実に進化を果たしてきた「BiND」シリーズの最新版となる。BiNDユーザー用のサーバーサービス「WebLiFE*サーバー」で提供されてきたカート機能を切り離し、BiND7ユーザーは無料で利用できる形にしたほか、従来バージョンと比べ動きのあるコンテンツを作りやすくし、またそのアニメーションのスピード調整を可能にするなど、多くの面で機能向上が図られている。

「BiND for WebLiFE* 7 プロフェッショナル版」2万9800円(税別)
「BiND for WebLiFE* 7 スタンダード版」1万9800円(税別)

 スマートフォンやタブレットの普及やモバイルも含めた回線速度の向上などでWebサイトに求められるニーズも激変している中、現在のトレンドやBiND新バージョンの狙いについて、開発に携わったデジタルステージ 開発リーダー 四家(しが)和彦氏とプロジェクトマネージャー 弓削(ゆげ)伸弘氏のお2人に話を聞いた。

“原点に帰って”先鋭的な機能の追求へ

株式会社デジタルステージ 開発リーダー 四家和彦氏

――バージョン7まで進化した「BiND」シリーズですが、シリーズ通してのコンセプトとは。

四家氏:
 「BiND」は、個人や中小企業、小さなグループなど、予算が限られた人たちでも大企業に負けないようなWebを作れるように、という考えから生まれたソフトです。

 Webを制作するソフトや環境はいろいろあって、たとえば他社製品のAdobe Dreamweaverは自由に編集できるのがウリですが、初心者にはハードルが高く、WordPressは毎日の更新がしやすいツールですが、やはりカスタマイズするには技術が要る。BiNDはそれらのツールでは手が届かない人でも、使いこなすことができるものだと思っています。初心者でも、デザイン力や技術力がなくても、粘土細工のように試行錯誤してWebを作れる設計になっているからです。

――「BiND7」で最も力を入れたバージョンアップのポイントは?

四家氏:
 「BiND」は、きれいなデザインのWebページを一瞬で作り上げられるのが特長でもありますので、そのデザイン性をさらに強化したところですね。弊社には「LiVE2」というスクロールサイトを作れる先鋭的な機能をウリにした製品があり、動きのあるサイトはこの「LiVE2」に任せるという考え方でした。しかし、「BiND」も7年前に世に出した時には“先鋭的なものを”というコンセプトで始めたものだったんです。

 タブやアコーディオン、画像を同一ページ内で拡大表示するLightBoxなど、そういう効果・演出も「BiND」に入っていますが、開発を始めたその当時は先鋭的な機能でした。もう一度“先鋭的なものを”という原点に帰って、動きのある機能を入れていっていいんじゃないかと考え、基本機能を見直しました。

サイトシアター画面。作りたいサイトの種類を選択
収録テンプレートの例。豊富なテンプレートから選択して文字や画像を入れ替えるだけでデザイン性の高いページが作成できる
サイトシアターのPC用テンプレート選択画面
スマートフォン用テンプレート選択画面。スマホに最適化しながら、PC用サイトと同じイメージのスマホサイトが作成できる

――具体的には以前のバージョンとどういった違いがありますか?

四家氏:
 以前からある“SHiFT”というスライドショー機能が、より精錬されたダイナミックな動きができるように進化しました。横方向に次々に画像をスクロールさせる見せ方など、全部で30パターンほどの動きを設定できるようになっています。

 Macユーザーだと「iPhoto」でおなじみの、ゆっくり動きつつじわじわ拡大・縮小させながら画像表示するような「Ken Burns」という演出も可能です。アニメーションスピードはミリ秒単位で設定できるようになっています。画像をWebページの背景全体にも設定でき、単に写真を見せるだけでなく、いろんな用途に使えるよう突き詰めていきました。

SHiFTのテンプレート選択画面。テンプレートを選んで使う画像を決めるだけで、さまざまな見せ方ができる
アニメーションするデザインでは、画面を切り替える間隔やアニメーションのスピードなどもミリ秒単位で設定ができる

――その他に強化された点は。

四家氏:
 Webサイトの情報設計は最も重要で難しい点でもあることから、そこに着目しました。ナビゲーションメニューが滑らかに動く“モーションメニュー”という機能を追加したのと、ヘッダー・フッターを固定できる機能があります。ページをスクロールさせても上下にメニューなどを固定できるうえに、ヘッダー・フッターの背景部分を透過させることもできて、メニューであれば文字やロゴ部分だけをスタイリッシュに表現できるようになっています。

 また、「BiND 6.5」までは開発者が時代を先読み、提案する形で開発を進めていたのですが、「BiND7」からは、よりWeb制作現場の意見を重視するため、ユーザー目線を持った弊社のデザイナーや広報担当らが意見を出し合って改善すべき点をまとめ、それを参考に開発を行っています。そういう意味では、より現場の声が反映された製品になっていると言えます。

 リアルなユーザーの意見ももちろん参考にしているところがあります。一方で、弊社のデザイナーは日々「BiND」を使っているヘビーユーザーでもありますし(笑)、その意見をベースにすることで、即戦力的な機能を入れられたのではないかなと。

モーションメニュー機能を使ったページの例。ページ上部にメニューがあり、メニューをクリックするとプルダウンメニューが表示される。メニューの機能性を損なうことなく、見栄えのするすっきりしたサイトが作れる
ヘッダー・フッターを固定できる機能を使ったページの例。ヘッダー固定により、どのページにいても同じメニューにアクセスできる。ヘッダー部分を透過させることも可能

――ご紹介いただいたような機能が今のWebのトレンドに沿って強化された機能だと思うのですが、現在の実際のトレンドはどういった感じなのでしょうか。

四家氏:
 大胆にWebブラウザーの幅いっぱいを使って視点を大きく取ったりとか、その一方で特に見てほしいところを強調したりとか、意外性を見せつつシンプルな構造にしているWebサイトが多いように感じます。

弓削氏:
 Webサイトを運営する側としては、情報の取捨選択みたいなものがあると思うんですよね。どの情報を一番見てもらうべきか、という。導線をいかにシンプルに見せられるか、シンプルに伝えられるかどうかでコンバージョン率が変わったりします。そういう考え方が、Web業界全体として“伝えたいことをダイレクトに表現しましょう”というような動きになっているのかなと思っています。

――そういう動きを逐次キャッチアップしていくのは、たしかに開発者だけでは難しそうですね。

弓削氏:
 Web上で表現されるべきことは、1年ごとにすさまじいスピードで変わっています。「BiND 1」の時に実装した機能が、今の時代にはマッチしないという現象が起きているんです。ですので、デザイナーに今のトレンドを詳しくヒアリングしたり、ユーザー統計を把握している広報にユーザーが求める機能がどういうものか確認したりなど、さまざまに議論を重ねたうえで、どういった機能を実現すべきか、という思想で開発を進めていきました。

 昔は、トレンドを追うというより、機能にフォーカスする形で“Facebookとダイレクトに連携できる機能が付きました”とか、そういうのが斬新だったかもしれません。「BiND」は時代に寄り添うように改善し、“こういうことをこういうデザインで表現したい”という要望に応えられる機能をたくさん用意してきました。より使いやすく、ユーザーがほしいデザインを簡単に作れるようになっているのが「BiND7」の一番の魅力だと思います。

「新たな可能性を感じて」カート機能を無料開放

株式会社デジタルステージ プロジェクトマネージャー 弓削伸弘氏

――「BiND7」ではサーバー側のサービスも大きな変更があったということですが、具体的には。

弓削氏:
 改めて説明すると、「WebLiFE*サーバー」は、ベーシックコースが月額980円、プレミアムコースが月額2980円のWebサーバーです。「BiND」を購入して初めてサーバーを利用される方は、一定期間無料で使えるという特典があります。たとえば「BiND」のプロフェッショナル版を購入した場合は、ベーシックコースが2年間無料、プレミアムコースが3カ月間無料です。このプレミアムコースの中に、ショッピングカート機能も含まれています。

 今回、このショッピングカートのサービスを「WebLiFE*サーバー」と切り離して、「BiNDカート」として単独で、かつ無料で利用できるようにしました。従来は「WebLiFE*サーバー」の1機能として「BiND」ユーザーに提供していたんですが、これは会社としてしっかりサポートできるように、という考えからでした。

 なぜ無料開放したのかというと、「STORES.jp」や「BASE」などの無料ショッピングカートのサービスの登場で、オンラインショッピングサイトの運営がより身近になってきたことがひとつあります。

 今までショッピングカートというのは、物理的な商品をもつお店が利用する前提だったんですが、フリーカートの登場によって、商品はどんなものでもよくなりました。たとえば、便利屋さんが、「軽作業60分3000円」で販売するといったように、どんなものでも商品になり得るようになったんです。

 そこに新たな可能性を感じたのと、ユーザーからの要望もあって、今回フリーカートにチャレンジしました。もちろん「WebLiFE*サーバー」のユーザーもフリーカートを使えますし、プレミアムコースであれば「WebLiFE*サーバー」が持つ従来のフル機能のカートも制限なく使えます。

――従来の「WebLiFE*サーバー」にあったカート機能と、「BiNDカート・フリーコース」とで何か機能面に違いはあるのでしょうか。

弓削氏:
 商品登録とか受注管理などの機能はほとんど以前と変わらず引き継いでいます。今回、管理画面にダッシュボードを用意して、販売している商品の今の状況がすぐわかるようにしました。売り上げをグラフ表示して、どれくらい売れているのか視覚的にわかるんですが、それもどちらのユーザーも同じ機能が使えます。

管理画面のダッシュボードでは売上がグラフ表示され、どのくらい売れているかが一目でわかる

――フリーカートということですが、機能制限はありますか?

弓削氏:
 登録できるのが5商品までという制限はあります。現在の無料ショッピングカートのサービスでは、どこも5商品で横並びと言えるかもしれません。

 ただ、BiNDカートでは、ひとつの商品あたり2つまで、オプションのプルダウンメニューが設定できます。色や形違いなどが選択可能にできるわけです。例えば、Tシャツを売る場合であれば、1つのプルダウンでサイズ、もう1つのプルダウンでTシャツの色を選択するといった設定が可能です。

 プルダウンメニューの中身は6つまで設定できるので、1つの登録商品に対して、2つのプルダウンを使えば、6×6で、最大36パターンの商品が販売できます。

 他社のショッピングカートサービスだとそういったオプション設定はできないので、25cmの黒のスニーカーで1商品、26cmの白のスニーカーで1商品、という形になり、本当に少ない数しか販売できません。BiNDカートの場合は、オプションメニューをうまく使っていただければ、5商品とはいってもかなり使いでがあると思います。

BiNDカート設定画面

――カートサービスでは商品の売り上げに応じた手数料を徴収するところもありますが、BiNDカートは手数料も無料なんですね。

弓削氏:
 そこはすごく悩みました(笑)。

 ただ結論として、手数料が発生しないのは、ユーザーにとってはおトクではないかと。何をもってマネタイズしているのか謎なサービスですが(笑)、そう決めました。ただ、今までは「BiND」のパッケージが全てのユーザーの入り口だったわけですけども、別の玄関を作って、フリーカートってなんだろう、「BiND」ってなんだろう、といったところから新たなユーザーを見つけていきたい、というのが今回フリーにした理由の1つでもありますね。

――近い将来「BiNDカート」に追加する予定の機能はありますか?

弓削氏:
 4月からデジタルコンテンツを販売できるようにする予定です。動画、画像、PDFといったファイルを想定していて、商品の枠が広がることで、デザイナーが遊び心で作ったロゴを1個いくらで売るなど、物理的なモノじゃなくても売れるようになるのはすごく面白いと思います。

 また、今はクレジットカードカードと銀行振込の2種類の決済方法を用意していますが、4月のデジタルコンテンツ販売の対応と同時にPayPalを使った決済方法にも対応します。

より“手になじむツール”に進化

――「BiND」と「WebLiFE*サーバー」それぞれで、今後力を入れていきたいところは。

弓削氏:
 「WebLiFE*サーバー」や「BiND」にとって、その核となるものは何であるかを考えないといけません。「BiND」をどういう風にしていくか、それによってサーバーの展開の仕方も変わっていくと思います。「BiND」に何が必要なのかを検討していくのが大切ですね。

四家氏:
 「BiND」については、他社と共同で「BiND」の技術を使ったCMSを作っているのですが、そういった他のWebサービスともっとシームレスにつなげるような方向性もアリだと思います。Twitterなどに拡散した時に直接購入ページへアクセスできるランディングページのURLを貼れるようにとか、いろいろ考えています。

弓削氏:
 デジタルステージとしては、最先端技術をどんどん受け入れて、どうデザインして形にし、製品として提供していくのかが重要だと思っています。時代はどんどんシームレスになっていくので、この形でないといけないというような先入観はどんどん取り払われていくべきなのかなと。

――最後に、「BiND7」や「WebLiFE*サーバー」のおすすめの機能、使い方があれば教えてください。

弓削氏:
 スマートフォン用のカート画面を用意するなど、スマートフォンのテンプレートも強化しています。あと、Webサイト全体とまではいかずとも、トップページだけを作り替えることはよくあると思うんですね。そういう時にヘッダ・フッターを固定できる機能を活かして入り口ページにダイナミックさを出すという使い方もできます。

 常にユーザーの希望や期待に添えるようにと考えているのですが、一番難しいのがその期待とのギャップをどう埋めるのか。ギャップを埋めたいと思いながら開発した結果、今回は会社としてもユーザーとしても今後の道筋を立てられるような製品になったと思うので、ぜひお使いいただければと思います。

四家氏:
 「BiND7」は、関わったデザイナーの数が前回の「BiND6」に比べ3倍になっています。テンプレート制作のスピードを上げ、質を高めたかったからなのですが、お互いが意識し合ってデザインのクオリティがさらに上がるという、予想しなかった効果もありました。

 今回は開発の初期段階からデザインスタッフに入ってもらって、使いやすさについて最初から検討できているんですね。「BiND 1」の時から“手になじむツールであるように”というのを肝に銘じて作っているんですけども、“手になじむツール”という部分が「BiND7」ではさらに進められました。そういうところを見ていただければうれしいですね。

――本日はありがとうございました。

新しい機能についてお話いただいた四家さん(写真左)と弓削さん(写真右)。動きのある、機能とデザイン性を兼ね備えたサイトを作りたいという方は、一度「BiND7」を触ってみてください

(日沼 諭史)