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無料ではじめるクラウド生活!~大容量・モバイル対応でもっと快適に
近年のインターネット界を代表するキーワードになりつつある「クラウド(Cloud)・コンピューティング」。ネットワーク模式図で、インターネットを不定形の「雲」として表現することが多いことから生まれた新語だ。それゆえに、定義は人によっても変わる実情がある。今回は筆者の独断と偏見を交え、「大容量」「多端末対応」という切り口から、比較的身近なクラウド型サービスをご紹介しよう。
●これぞクラウド!? 無料・大容量の新興サービス
クラウドの本来的な定義は「インターネット上のサービスや機能を必要な分だけ利用できる(SaaS)」「ローカルPCに保存することが当たり前だったデータをインターネットに置くことの利便性」「どのサーバーにデータを保存しているか意識しなくてすむ」などと考えられる。これらにインターネット本来の特性が加味され、たった1つの言葉にさまざまな概念を内包するようになった。
一般ユーザーにとってのクラウドは「専用ソフトウェアをインストールせずにブラウザーだけで使える」「PC・モバイル両対応」「従来よりも圧倒的に大容量」といった点に集約されるだろう。まずは、個人でも手軽に利用できる無料のクラウドサービスを中心にみていこう。
Evernote http://www.evernote.com/about/intl/jp/ |
◆Evernote
http://www.evernote.com/about/intl/jp/
ノート(メモ)、ウェブページのスクリーンショット、音声メモなどをインターネット上に保存。複数のPCやスマートフォンから自由に閲覧できるというサービスだ。WindowsやMac、iPhoneなどに対応した専用アプリを用意しているが、基本機能のほとんどをウェブブラウザーだけで利用できる。無料コースは毎月40MBまでデータをアップロード可能。
◆Gmail
https://mail.google.com/
かつて容量50MB程度だったウェブメールの世界に、GB単位の使い勝手を持ち込んだGmail。ローカルPCに保存することが当たり前だったメールデータを、すべてネット上へ保存しようという考えは、まさにクラウド的といえるだろう。保存容量は現在7GB超にまで達している。
◆Google ドキュメント
https://docs.google.com/
専用ソフトウェアをインストールすることなく、ブラウザーだけでワープロ・表計算・プレゼンテーション文書を無料で作成できる。ファイルをオンライン保存し、複数のユーザーで共有する機能も充実。
◆Windows Live
http://www.live.com/
マイクロソフトが提供中のオンラインサービス群。ウェブメール「Hotmail」を軸に、フォトアルバム、複数PCの同期サービスなどが無料で利用できる。オンラインストレージ「SkyDrive」の最大容量は25GBにおよぶ。
◆Windows Live Hotmail
http://windowslive.jp.msn.com/mail.htm
マイクロソフトのポータルサイト「MSN」による、ウェブメール「Hotmail」の解説記事。保存容量は標準5GBだが、利用状況に応じて自動的に増強されるため、実質的な容量は「無制限」という。
◆Office Web App
http://www.microsoft.com/japan/office/2010/webapps/
統合ビジネスソフトとして根強い人気を誇るWord、Excel、PowerPointが、ウェブブラウザーから利用できるサービス。オンライン上に直接データ保存することも可能だ。同ソフトの最新版を購入していればすぐ利用できるが、Windows Liveサービスの1つとして、ソフト未購入者向けにも9月中に本格提供される見通し。
◆MobileMe
http://www.apple.com/jp/mobileme/
MacやiPhoneなどのアップル製品だけでなく、Windows PCにも対応したデータ同期サービス。あらかじめ設定しておくことで、どの端末でもメールや画像、カレンダーなどを最新の更新状態で利用できる。ストレージ容量は20GB(月間転送量200GBまで)。年額9800円の有料サービスだが、60日間の無料試用期間が設けられている。
◆SugarSync
https://www.sugarsync.com/locale/jp/
WindowsおよびMacにソフトウェアを常駐させ、指定したフォルダー内のファイルをクラウドへ自動的にアップロード。その後は、他のPCやスマートフォンから気軽にデータを閲覧、ダウンロードできる。無料プランの容量は2GB。
◆ZumoDrive
http://www.zumodrive.com/?locale=ja
SugarSyncと同様のデータ同期サービス。Windows、Mac、iPhone、Androidからデータを一度アップロードしておけば、端末を問わずにデータへアクセスできる。無料プランの保存容量は1GBだが、チュートリアルをすませれば1GB分さらに追加される。
◆Remember The Milk
http://www.rememberthemilk.com/?hl=ja
仕事内容や用事をオンライン上にリストアップしておけるタスク管理サービス。例えば「牛乳を買う」とPCから書き込んでおき、外出先でスマートフォンから確認できる。iPhone向け高機能版、Android版などを利用するには年額25ドルのProプラン契約が必要。
◆Dropbox
http://www.dropbox.com/
日本語非対応ながら、国内でも高い知名度を誇るPC同期サービス。PC内データのクラウドへのアップロード、他のPCとの同期(ダウンロード)が自動で行える。利用には専用ソフトのインストールが必要。無料プランの容量は2GB。
◆Picasa ウェブアルバム
http://picasaweb.google.com/
標準保存容量1GBの無料フォトアルバムサービス。写真整理ソフト「Picasa」経由、もしくはブラウザーからも写真をアップロードできる。写真にコメントを付けたり、被写体を判別して人物別に画像を整理することが可能だ。
◆NAVER Nドライブ
http://ndrive.naver.jp/
ネット勃興期から定番的な人気を誇るオンラインストレージも、近年はクラウドの1形態と捉えられることが多い。NAVERが1月に開始した「Nドライブ」は容量5GB。iPhoneからも利用できる。
◆quanp(クオンプ)
http://www.quanp.com/
オフィス機器やデジタルカメラで知られるリコーのオンラインストレージサービス。無料の「トライアルコース」は保存容量1GB。ファイルのアップロードや、モバイルからの閲覧をサポートする各種アクセサリーソフトも公開中だ。
◆Google Apps
http://www.google.com/apps/intl/ja/business/
Google ドキュメントやGmail、Googleカレンダーなどのサービスを、より信頼性を高めて法人向けに提供するプラン。ウェブブラウザーがあればほとんどの機能を利用できるので、専用ソフトウェアをインストールしたり、旧端末からデータを移行する手間などが省ける。1アカウントあたり年額6000円。
●“クラウド”なサービス、集めてみました
名称としての“クラウド”は、すでにさまざまな製品・サービスに使われている。従来のシリーズ製品を改称したもの、まったくの新機軸製品、クラウドを実現するためのサーバー群など、ジャンルも多種多様だ。無料・有料問わずご紹介していこう。
◆ウイルスバスター2011 クラウド
http://www.trendmicro.co.jp/vb2011/
トレンドマイクロのウイルス対策製品。2011年版はクラウドの名称がズバリ付加された。危機検知情報をすべてローカルPCに保存するのではなく、従来比80%分のデータをクラウド(オンライン)で処理するため、より軽快なPC動作が実現したという。
◆マカフィー インターネットセキュリティ2011
http://www.mcafee.com/japan/home/pd/internet_security/
http://www.mcafee.com/japan/home/pd/features/
「クラウド・セキュリティ」を標榜する最新版ソフトウェア。ウイルス定義ファイルによる検知に加え、マルウェア情報を収蔵するオンライン上のデータベースとも瞬時に照合を行い、安全性を高めた。
◆Panda Cloud Antivirus
http://www.cloudantivirus.com/ja/
無料版も用意されているセキュリティ対策ソフト。マルウェアの検知を、ローカルPCではなくクラウド側で実施。メモリー常駐量などを抑えて、軽快性を追究したという。ちなみに、開発元であるPanda Security, S.Lはスペインに本社を構えている。
◆ソニー “Qriocity”によるプレミアムビデオ配信サービス
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201009/10-115/
ソニーがこのほど発表した新サービス。上記URLはプレスリリースのものだ。ビデオ配信を皮切りにスタートし、第2弾として、クラウドベースの音楽配信「Music Unlimited powered by Qriocity」を提供すると予告している。具体的なサービス形態の発表が待たれる。
◆ServersMan
http://serversman.com/
Windows PC用のサーバー構築アプリ「ServersMan@Desktop」を公開中。自宅のPCにインストールしてネットに常時接続させておけば“パーソナルクラウド”に早変わり。外出先からiPhoneやAndroidで手軽にアクセスできる、という仕組みだ。
◆ScanBit S45(EXEMODE)
http://www.exemode.com/product-exe/scan/s45.html
名刺~A4用紙を読み込めるスキャナーだが、“クラウドストレージ”としての機能を備えているのが特徴。PCと接続した上で「ServersMan mini」の機能を利用すると、スキャナー内に保存した読み取りデータをインターネットへ公開できる。
◆Pogoplug
http://www.pogoplug.com/
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/20100518_367667.html
その名もズバリCloudEngines社が販売中の英語版製品。ネットワークとUSBハードディスクを接続、ブラウザーから簡単な設定を行えば、自宅、外出先問わずPogoplugへアクセスできる。本誌連載「清水理史の『イニシャルB』」でも詳しく解説されている。
◆salesforce.com
http://www.salesforce.com/jp/platform/
クラウド・コンピューティングの名称を国内に広めるきっかけともなったサービス。営業、販売、人事、財務などの法人向けアプリケーションをネットワーク経由で利用できるため、サーバーなどを自前で調達・運用する必要がない。開発者用の無料版「Force.com Free Edition」も提供されている。
◆Microsoft Online Services
http://www.microsoft.com/japan/online/
マイクロソフトの月額制法人向けグループウェアサービス。「サーバーやシステムの管理運用を専門家(マイクロソフト)に任せる」というスタンスのクラウド。利用する機能によって料金がきめ細かく設定されているのも特徴だ。メールと予定表が利用できる「Exchange Online」は1人あたり月額522円。
◆Amazon Web Services
http://aws.amazon.com/jp/
ネット通販最大手である米Amazonのグループ企業が運営するサーバーホスティングサービス。「Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)」という名称でクラウド用のインフラを販売している。サーバー容量を数分単位で増減させられるほか、実際に使用したリソース量に応じて従量課金するのが特徴。
◆ホワイトクラウド
http://tm.softbank.jp/business/white_cloud/
ソフトバンクグループが提供しているクラウドサービス。「ホワイトクラウド」というのは総称で、仮想サーバーをレンタルする「シェアードHaaSスタンダード」などのメニューが個別に用意されている。
◆ニフティクラウド
http://cloud.nifty.com/
プロバイダーでおなじみのニフティによるサービス。1時間単位での従量課金、月単位での定額課金をサポート。また、会員IDを事前に取得しておけば、申し込みからサーバー使用開始まで5分程度というオンデマンド性もアピールしている。
◆GMOアプリクラウド
http://cloud.gmo.jp/
mixiやモバゲー、GREEなどのSNSで提供されている各種アプリの運用に最適というサービス。もっとも安価な「タイプXS」プランは、メモリー4GB、HDD 70GBで月額換算1万1970円。
◆BizCITY
http://www.ntt.com/bizcity/
NTTコミュニケーションズのサービスブランド。「日本品質のクラウド・コンピューティング」をアピールしている。「Bizホスティング」「Bizメール」などのメニューを展開中。
◆IIJ GIO ストレージサービス
http://www.iij.ad.jp/GIO/service/platform/storage/
クラウド上に分散配置しているストレージを提供。最低ディスク容量は1TBで、この場合の料金は初期費用2万円、月額費用8万円。バックアップのサービスも別途契約可能。
◆フィードパス クラウド(SaaS)サービス
http://www.feedpath.co.jp/online/
サイボウズグループのフィードパスでは、SaaSサービス各種をクラウドと位置づけて提供中。企業間のプロジェクト共有ツール「feedpath Rooms」、メールホスティング「feedpath Mail」など6種類のメニューがある。
◆セイコープレシジョン かんたん時刻認証
http://www.seiko-cybertime.jp/product/easy_time_stamp/
コンテンツやファイルがいつ作られたかを証明するためのタイムスタンプサービス。対象ファイルのハッシュ値をアップロードすると、クラウドでの処理を経て、PDF形式の証明書を発行してもらえる。
●実際のところ、クラウドってどんなもの?
ここまで見てきたように、クラウドの利用例は実に多岐に渡る。利用者の数だけ、クラウドの定義があるといっても過言ではないだろう。そんなときは、複数の情報源を探すに限る。クラウドを推進する企業、PC初心者向けサイト、自治体などそれぞれの立場の“クラウド評”を読み比べて、理解の助けにしよう。
◆SHARP Users Net PCスタジオ 「クラウド・コンピューティング」ってなに?
http://sharp-usersnet.jp/pcstudio/disp.asp?cno=5&tbno=0&dno=169
シャープ製PCのサポート情報サイト。キャラクター同士の対話という形でわかりやすくクラウドを解説する。ハードウェアや通信回線の進化が、クラウドという概念の誕生に寄与したと分析。ウェブメールの長期的な発展などを代表例として挙げている。
◆IBM クラウド・コンピューティングとは
http://www-06.ibm.com/ibm/jp/cloud/
IBMでは、仮想化、標準化、自動化をクラウド・コンピューティングで実現することにより、利便性の向上とコスト削減が同時に期待できると説明。ウェブサイトでは、採用事例も豊富に掲載中だ。
◆マイクロソフト クラウド We're all in.
http://www.microsoft.com/japan/business/cloud/
法人を対象としたクラウド製品解説ページ。1998年スタートの「Windows Live Hotmail」をクラウドの代表例と位置付け、長年の運用実績をアピール。コスト削減や業務効率改善効果がクラウドには期待できるという。
◆総務省 自治体クラウドポータルサイト
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/lg-cloud/
政府や地方自治体でもクラウドの導入に向けて取り組んでいる。各地方自治体の情報システムをデータセンターに集約し、遠隔地から共同利用するための実験を実施中だ。6道府県66市町村が参加している。
◆クラウドサービス完全ガイド すぐわかるクラウド ~クラウドとは何を実現するのか?~
http://cloud.impressbm.co.jp/article/578
インプレスビジネスメディアによる解説記事。経済産業省や米・連邦標準技術局(NIST)による定義を紹介しながら、クラウドのメリット、デメリットを解説する。
◆クラウド Watch
http://cloud.watch.impress.co.jp/
本誌同様、Impress Watchの運営するニュースサイトの1つ。6月に「Enterprise Watch」から改称。法人向けIT製品の話題を中心に、クラウド関連の最新ニュースを掲載する。
(2010/9/10)
[森田 秀一]