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鎌倉学園中学校・高等学校で活用される「Google Apps for Education」

 「Google Apps for work」などの活用方法を紹介するイベント「Google Atmosphere Tokyo 2016」で14日、学校教育でのICT活用を支援する「Google for Education」「Google Classroom」のサービスと導入例について記者説明会を実施。米Google製品責任担当者のジョナサン・ロッシェル氏と鎌倉学園中学校・高等学校(神奈川県鎌倉市)の小林勇輔氏が登壇した。

 「Google Apps for Educatoin」は、教育機関を対象とした無料のクラウドサービス。ウェブメールサービス「Gmail」やカレンダー機能を利用できるほか、スプレッドシートやドキュメントなどのファイルの共有・共同作業が行える。教員向けの授業サポートツール「Google Classroom」も提供する。

 「教育現場でこれらのツールを活用することで、学生間のコラボレーションを推進できる。ワークフローの効率化で、教師はより良い学習方法を生徒達に提供できる。」(ロッシェル氏)

宿題の提出状況や添付ファイルを確認できる
学生名簿や提出されたファイルの中身をサムネイル表示
クラスごとのフォルダーが自動生成される
「Google for Education」製品責任担当者のジョナサン・ロッシェル氏

 鎌倉学園中学校・高等学校では、2015年4月からGoogle Apps for Educationを一部の教科に導入。教職員全員にメールアドレスのアカウント持たせることがきっかけになったという。また、同校では3年計画で進めている校舎のリニューアルに伴い、全教室にWi-Fiやプロジェクターを設置するなど、ICT環境の整備を進めている。

 PCは教員に支給されておらず、私物の端末を持ち込んでいる。そのため、デバイスにとらわれない形でサービスを利用できるのが魅力的だという。小林氏の担当する中学1年生のクラスでは、学年ミーティングでの議題や検討事項をまとめたドキュメントなどを共有している。また、中学校では画像や動画の利用も多いため、各クラスの担任が撮影した写真などを一括で共有する使い方もしているそうだ。

 Google Classroomは2016年1月に導入。アプリには単元に関連する教科書のページ数、問題番号などを掲載。YouTubeの解説動画のリンクや、授業で配布するプリントのPDFファイルも添付している。

 授業ではあえて号令をかけず、各生徒がClassroomを活用して自主的に課題に取りかかるようにしている。分からない箇所があればその都度、教員に質問。生徒は成果物として、解いた問題などについてまとめたノートを写真に写してアップロードしている。

授業中は学校が所有する共用のデバイスを使用
ノートの写真を撮影して「Google Classroom」にアップロード

 Google Apps for Educatoin/Classroom導入後、ファイルの共有や提出物の確認作業の効率が上がったものの、物理など図や計算が必要な教科において、ドキュメント/スプレッドシート形式は生徒にとって提出しにくいことを小林氏は課題として挙げていた。

 「子供たちにとって、スマートフォンは遊び道具でしかないが、Classroomのアプリを入れることで、少しでも勉強に活用できるきっかけになってくれれば良い」と展望を語った。

物理選択者131人のうち、119人(約91%)がスマートフォンを所持。ここ2、3年でスマートフォンを持つ生徒が増えたという
物理の授業で実際に使われている「Google Classroom」のページ
各生徒の提出物状況一覧
鎌倉学園中学校・高等学校の小林勇輔氏
「Google Atmosphere Tokyo 2016」では企業向けの製品説明会のほか、「Google Maps API」「Google Cloud Vision API」を使ったゲームの体験ブースなどが設けられていた
Google Cloud Vision APIで表情を分析して“スマイル度”を測定する「スマイルコンテスト」
KinectとGoogle Map APIを使ったスカイダイビングゲーム