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NTT、本社を2031年に日比谷へ移転。「『光の街』づくり powered by IOWN」発表

 NTT株式会社、NTTアーバンソリューションズ株式会社、 NTT都市開発株式会社は12月8日、次世代情報通信基盤「IOWN」が実装され、テクノロジーの進化とともに街も進化し続ける「『光の街』づくり powered by IOWN」の取り組みに着手すると発表した。

 第一弾として、内幸町一丁目街区(東京都千代田区)で開発中の「NTT 日比谷タワー」においてこの取り組みを推進し、次世代スマートシティ実現の一端を担うという。また、完成が予定されている2031年には、NTTの本社を同タワーに移転する予定。

 IOWNなどの先進技術の実装、パートナー企業との共創により、以下3点の価値提供を目指すとしている。

新しいビジネス・イノベーション

 IOWNが実装された同タワーでは、世界中のパートナー企業とリアルタイムでのコラボレーションを可能にする。同時に、NTT版LLM「tsuzumi2」や、大規模AI連携技術「AIコンステレーション」などの先進技術と組み合わせたサービスの活用により、企業とそこで働くオフィスワーカーの業務効率化および生産性向上、国境を越えた共創を実現する。

 将来的には、打ち合わせで出たアイデアがモデル化され、状況においてAIが相談相手、行動支援(コンシェルジュ)、資料を検索・提示する業務コンサルの役割を担うなど、これまで以上にクリエイティブな活動をサポートすることにより、オフィスワーカーのパフォーマンスを最大化する環境を整える。

新たなライフスタイル・エンターテイメント

 同タワー低層部には、壁面と天井が一体となった大型LEDビジョンが実装された、日比谷公園とつながる大規模なパサージュ・アトリウム(吹き抜け)空間であるCross Gate(仮称)が設置される予定。この活用方法として、企業の新商品やサービスを世界および日本各地とつないで同時発表するほか、企業価値向上のための広告展開、低層部に広がる商業施設との一体的なイベントなどが挙げられている。イベント開催時以外も、人々が働き・憩う場として機能する。

 将来的には、NTTのリアルとバーチャルが融合した音響体験を提供する「音響XR技術」などの深い没入感を生み出す技術を掛け合わせることで、世界各地の会場と連携した映像ギャラリーやアート展示、体験型のゲームやアトラクションなど、さまざまな目的に応じた体験を提供する。

超・低消費電力化によるサステナビリティ

 建物の設計を工夫することで、従来の建物で必要だったエネルギー消費量から50%以下にまで削減する「ZEB Ready」をオフィス部分で実現する。さらに、光電融合デバイスの活用による「超・低消費電力化」に加え、IOWNを基盤としたAIなどの活用による未来予測で建物設備を最適制御し、省エネと快適性を両立する「Just Enough Energy」により運用効率を最大化し、二酸化炭素の排出量を10%から20%削減する。加えて、クリーンエナジーなどを活用することにより、カーボンニュートラルを実現する。

 将来的には、光量子コンピュータなどの新たな技術による、さらなる運用効率化や、水素などの次世代のクリーンエナジーの活用にも取り組んでいく。

 日比谷は、1961年に当時の日本電信電話公社本社(電電公社、現NTT)が置かれた「大変思い入れの深い場所」であるという。これまで培ってきたNTTグループの技術力とノウハウを結集し、これまでにない価値の創造と、圧倒的な超・低消費電力化を実現するとしている。

 今後は、同タワーが位置する内幸町一丁目街区を、官民連携や企業・研究機関との共創が可能な次世代のスマートシティに生まれ変わらせるとともに、実証・実装フィールドとして活用し、得た知見を、周辺エリアや全国・世界各地へと展開していくとしている。