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「Photoshop CC」に、画像認識でフォントの種類を教えてくれる新機能、顔立ちを自然に変えられるゆがみフィルターも

「Adobe Creative Cloud」がメジャー級のアップデート

 アドビシステムズ株式会社は22日、「Adobe Creative Cloud(CC)」で提供している「Photoshop CC」「Illustrator CC」「InDesign CC」などのクリエイティブ系ソフト/アプリの最新版をリリースしたと発表した。バージョンとしては、メジャーアップデートとなる「CC 2016」ではなく、現行の「CC 2015」をアップデートするかたちだが、内容としてはメジャー級のアップデートだとしている。

 画像編集ソフト「Photoshop CC」には、新機能「マッチフォント」を搭載した。これは、画像形式のファイル上に描かれている文字と同じようなフォントを使いたい際、それが何というフォントなのか、人間が探す作業を省いてくれるものだ。文字を範囲選択すると、画像認識でフォントの種類を判別し、システム内にインストールしてあるフォントおよびAdobeのフォントライブラリサービス「Typekit」の中から似たフォントを提示してくれる。フォントパネルやウェブでユーザーが検索する必要がなくなり、これまで手間のかかっていた作業が解消されるとしている。

「マッチフォント」パネル

 筆記体のフォントも認識可能。1文字からでも機能するが、複数文字を選択した方が、提示されるフォントが絞り込まれるという。ただし、マッチフォントはあくまでも似たようなフォントを検出するという機能になる。例えば、手持ちのフォントを使って変形などをかけていない状態で描いた文字に対してマッチフォントで検索した場合でも、その同一フォントだけでなく、似ているフォントもあわせて提示されるという。また、現在は欧文フォントのみに対応しており、日本語フォントへの対応は未定だ。

フォントメニューでも、似たようなフォントを提示してくれる「類似フォントを追加」ボタンを追加

 Photoshop CCの新機能としてはこのほか、傾いている写真を回転補正した場合などで画像を切り取った部分にできる余白を自動で埋めてくれる「コンテンツに応じた切り抜き」、選択範囲とマスク作成を行える独自のワークスペース「選択とマスクのワークスペース」、顔立ちを調整するための「顔ツール」がある。

構図がきちんと水平になるよう回転補正した写真を、余白ができないようトリミングすると、元の写真よりも画角がかなり狭くなってしまう
画角を大きめにトリミングすると、余白が生じてしまうが……
「コンテンツに応じた切り抜き」では、余白を自動で埋めてくれる

 顔ツールは、ゆがみフィルターの1つとして搭載した機能。選択した顔の形状、目、鼻、口を認識し、それぞれのパーツに設けられた複数のパラメータをスライドバーで調整することで顔立ちを変えられる。例えば、顔を全体的にをほっそりさせたり、目の大きさや細さ、長さ、傾き、目と目の間隔を変えたり、口角を上げたり下げたりするといった加工が非常に自然に、簡単に行える。

顔ツール

 写真編集・現像・管理ソフト「Lightroom CC」では、6月上旬に一足早くアップデートしている。写真の水平や歪みを補正する「Upright」機能に、「ガイド付きUpright」を追加。より正確にパースを修正できるとしている。

「ガイド付きUpright」機能

 ドローソフト「Illustrator CC」では、素材の書き出しを効率化する「アセットの書き出し」パネルを追加。書き出すファイルフォーマットやスケールなどの組み合わせを設定しておくことで、例えばアイコン素材のPCウェブ用、高精細ディスプレイのスマートフォン用など、複数のフォーマット・解像度で自動的に書き出せる。

 フォーマットごとのカラーモードやPNG形式の際の背景色など、ユーザーが細かく設定することも可能だが、iOS用・Android用のプリセット設定もある。iOSであれば、スケールが1倍、2倍、3倍のPNGと、SVGの4種類が書き出される。Androidではさらに多く、0.75倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍のPNGと、SVGの7種類となる。

 この機能は、Photoshop CCではすでに少し前から実装されていたという。昨今の高精細ディスプレイ対応のUI/UXを作る上で非常に重要な機能だとして、今回、Illustrator CCにも実装された。

 書き出しはアセット単位のほか、アートボード単位でも行える。例えばIllustrator CCだけで画面設計まで行っているデザイナーが画面単位で書き出すことで、クライアントに提出する資料やカンプ用などに活用できるという。

Android用のプリセット
iOS用のプリセット
詳細設定画面

 ページレイアウトソフト「InDesign CC」では、MacでのGPUパフォーマンスの向上、ダークグレー系の目に優しいUI、スウォッチのソート機能、インタラクティブPDFの書き出し強化などが行われた。

 モバイルアプリでは、カンプ作成アプリ「Comp CC」において、単位がピクセルに加えて、メートル/インチに対応。カンプの時点で、より正確な判型で作成できるとしている。Comp CCからダイレクトにPhotosohp CCやInDesign CCに送信して作業を進められるため、判型の調整作業も不要になるという。さらに、ウェブ制作ソフト「Muse CC」にもComp CCからダイレクトに送信する機能を間もなく追加予定だとしている。

 ペイントアプリ「Photoshop Sketch」、ドローアプリ「Illustrator Draw」では、マルチレイヤーをサポートしたほか、日本発の機能として、LINEに直接送信するLINEボタンを追加。自分の描いた絵でソーシャルでコミュニケーションできるとしている。