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映画の日本語字幕を勝手に作成してアップロード、国内初の逮捕者

 京都府警察本部サイバー犯罪対策課などが5日、映画の字幕データを違法に作成してインターネットで公開したとして、東京都の54歳の男性を著作権法違反容疑で逮捕した。株式会社日本国際映画著作権協会(JIMCA)が同日、明らかにした。JIMCAによれば、こうした行為での逮捕者は日本で初めて。

 映画「ポルターガイスト」の音声部分を、著作権者である米国の映画会社から許諾を得ることなく、日本語に翻訳して字幕データを作成し、字幕データベースサイトにアップロードしていたというもの。男性は容疑を認めているという。「ポルターガイスト」は2015年公開の作品で、日本では劇場未公開。2016年4月に日本語版ブルーレイ/DVDが発売されているが、男性が字幕をアップロードしたとされる2015年5~6月時点では日本語版は提供されていなかった。

 こうした字幕データベースサイトでは、各国語の翻訳版が提供されていない作品などの字幕データが大量に公開されているが、JIMCAによると、たとえ“善意”で作成・公開しているつもりであっても、著作権侵害にあたると説明。具体的には、映画の音声部分を、インターネットのサーバー上にアップロードする目的で無断で翻訳する行為は、著作権法27条の翻訳権の侵害、それらを映画会社に無断でインターネット上にアップロードする行為は、同法23条1項の送信可能化権の侵害だとしている。

 JIMCAによると、正規の字幕を作成するにあたっては、作者からの詳細な指示書があり、それに基づいて翻訳家が各国語に翻訳しているという。指示書を見ずに作成される非公式の字幕は、作者の意図が明確に伝わらない問題もあるとしている。

 なお、海外では、無許諾の字幕作成・アップロード者を米国の映画会社が告訴し、摘発に至った事例がすでにアジア太平洋地域のいくつかの国であるという。

 このほか、京都府警察本部サイバー犯罪対策課などは5日、違法に作成・アップロードされた映画字幕を悪用して映画ファイルを作成し、著作権者に無断でファイル共有ソフト「Perfect Dark」上にアップロードしていた東京都の58歳の男性も逮捕している。