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LINEと渋谷区がパートナー協定締結、子育て世代向け行政サービスなど「LINE」を通じて展開、人的交流や区役所職員の改革も

3日、渋谷区内にあるLINE本社にて協定締結式が行われた。LINE株式会社代表取締役社長の出澤剛氏(右)と、渋谷区長の長谷部健氏(左)

 LINE株式会社と東京都渋谷区が3日、「シブヤ・ソーシャル・アクションパートナー協定」を締結した。LINEを活用した行政サービスのIT化などに共同で取り組む。

 協定の範囲は、1)区民向けのソーシャルメディアコミュニケーション、2)区内の小中学校を対象としたリテラシー教育、3)電子商取引、4)シェアリングエコノミーサービスの実現、5)区役所職員のワークスタイル改革、6)両者の人材開発や研修プログラムによる人的交流――という6つの領域。

 このうち1)は、子育てや防災などの行政情報をコミュニケーションアプリ「LINE」を通じて区民へ提供していくというもの。例えば、妊婦向けには出産予定日・胎児の週数に応じた検診の案内や各種助成制度の情報を、未就学児のいる家庭には乳児検診や予防接種の案内を通知したり、保育園・一時預かりの相談や子育ての相談を自宅からLINEを通じて区に行えるようにする。

 企業などがLINEユーザー向けに情報を発信するための公開アカウントを開設する仕組みとしてはすでに「LINE@」があるが、渋谷区では、LINEアカウントによる情報発信だけでなく、ユーザーとの1対1のコミュケーションが行える「LINEビジネスコネクト」や決済サービスなど、LINEが提供するさまざまなプラットフォームを多面的に活用していく。3)の電子商取引領域では、寄付や、さまざまなサービスのオンライン予約から支払いまで行えるキャッシュレス環境の実現を目指す。

 ただし、現時点で両者は協定の領域を示した段階であり、具体体な内容については今後詰める予定。ソーシャルメディアコミュニケーションの領域などは早ければ今年度中、遅くとも来年度頭からはサービスを開始したい考えだ。

 LINEが自治体との包括的な協定を締結するのはこれが初めて。同社では、人と人、さまざまな情報、サービス、モノとの距離を近づけるための「Closing the distance」というミッションを掲げているが、今回の渋谷区との取り組みは、住民と行政を近づけるものだとしている。

 一方、渋谷区では、区内に本社を置く民間企業とのパートナーシップによって、住民はもとより、区内の就業者や海外からの観光客も対象にした行政サービスを提供し、渋谷という街の価値を高めるための「Shibuya City Social Action Partner(SSAP)」という取り組みを開始。区からオファーをして協議中の企業が数社あるが、いち早く協定締結を決めたのがLINEだったとしている。

「Shibuya Social Action Partner(SSAP)」のロゴ。SとSをつなぐ線の色は、パートナー企業のコーポレートカラーによって変わるという。今回はLINEということで緑色