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乳幼児のスマホデビュー、学術的な根拠に裏付けられた指針を~ヤフーらによる任意団体が検討

 子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)は、乳幼児~小学生の子供がスマートフォンやタブレット端末などを利用する際の指針などについて、2017年3月に報告書をとりまとめると発表した。“スマホデビュー”の低年齢化を受け、検討に入るもの。

 子どもネット研は、ヤフー株式会社やネットスター株式会社などが運営事務局を務める任意団体。子供のインターネット利用に伴うトラブルを減らすための情報を保護者などに向けて提供することを目的とし、2008年より活動している。子供にインターネットを使用させる/させない、あるいは携帯電話を持たせる/持たせないの二択ではなく、インターネットや端末、各種サービス、コミュニケーション手段の利用を認める範囲を、子供の発達段階に応じて段階的に拡大していく“段階的なネットデビュー”といった考え方などを提唱してきた。

 今期は、乳幼児~小学生という低年齢の子供を主な対象として、メディア接触に関する学術的知見の整理を含めた文献調査や現況把握のための実態調査を行う。「子育ての中でスマートフォンが果たす役割をいたずらに否定することのないバランスのとれた利用のあり方や、本当に注意しなければならない点、よくある場面ごとの保護者に望まれる対処などを、保護者が実践しやすい形に具体化する」としている。

 総務省情報通信政策研究所の調査によると、0~3歳児の7割近くがスマートフォンを、4割近くがタブレット端末を利用しており、乳幼児の情報通信端末利用が当たり前になってきている。しかし、乳幼児に情報通信端末を利用させることについては、視力低下など心身への影響、情緒発達の面、脳への影響を心配する保護者が多く見られるほか、共働き世帯数の増加など保護者を取り巻く子育て環境が厳しくなる一方で“スマホ子守り”の弊害が指摘されており、「情報通信端末を与えておもりをさせることに罪悪感がある」保護者が少なくないという。

 その一方で、小学校でのプログラミング教育必修化が決まるなど、子供と情報通信端末とのかかわりはどの家庭にとっても避けて通れない状況もあると説明。「低年齢の子供が情報通信端末を利用する際に想定されるリスクと、家庭での望ましい対処については、学術的な根拠に裏付けられた指針や具体的な判断材料が少なく、保護者はもちろん、小学校・幼稚園・保育園など教育関係者から整理された情報の提供が強く求められている」としている。

子どもネット研のウェブサイトで公開している「段階的利用」モデル。インターネットデビューの過程を、能力の発達段階に応じて「体験期」「初歩的利用期」「利用開始期」「習熟期」の4ステップに区分し、利用できる範囲や求められる能力を具体的に整理している
「オンラインコミュニケーション能力のモデル化」では、端末/サービス種別ではなく、コミュニケーション相手によって求められる力が異なる点に着目。オンラインコミュニケーション能力を支える要素を「能力(スキル)」「知識」「倫理」に区分し、コミュニケーションを取る相手別に「求められる力」を整理・具体化している