ニュース

Amazon.co.jp、「知育・学習玩具大賞」を開催

 アマゾンジャパン株式会社(Amazon.co.jp)は20日、生活や学習が身に付く2歳~小学生以上のおもちゃの中から選定する「知育・学習玩具大賞」の記者発表会を開催した。

 Amazon.co.jpの「おもちゃ&ホビー」カテゴリーでは、400万点以上のおもちゃ、数十万点以上の知育・学習玩具を取り扱っている。「知育・学習玩具大賞」では、その中で4件以上のカスタマーレビューがついており、星の数が4点以上だった49点の知育・学習玩具から、保育、教育、脳科学3名の専門家の審査をもとに、知育・学習玩具を選定した。

 知育玩具は、想像力、達成感、生活習慣、コミュニケーション能力、情操などが育める、ブロックやつみきなどの玩具が中心となる。また、学習玩具は、小学校の学習にもつながる「かず・かたち」「もじ・ことば」「プログラミング」などを遊びを通じて身に付けられるものとなっている。

 知育玩具部門の大賞に選ばれたのは、木の板を積み上げるだけのシンプルなおもちゃ「カプラ200(KAPPA社)」。学習玩具部門の大賞は、「世界の国旗かるた(株式会社学研ステイフル)」。審査員特別賞は「アソブロックBASICシリーズスペシャルパックドラゴン(株式会社マーゼンプロダクツ)」「サボテンバランスゲーム(プラントイジャパン株式会社)」「ニューブロックたっぷりセット(株式会社学研ステイフル)」の3点が選ばれた。このほか、アイディア賞として「わごむパターンボード(株式会社くもん出版)」、Amazon特別賞として「プログラミングロボ コード・A・ピラー(マテル・インターナショナル株式会社)」「ローリーズ・ストーリー・キューブス(The Creativity Hub)」の2点が選ばれた。

 Amazon.co.jpでは、今回の「知育・学習玩具大賞」の開始にあたって、学びを楽しみながら身に付ける工夫が凝らされた良質な玩具を提供する「知育・学習玩具プロジェクト」を立ち上げた。アマゾンジャパン株式会社ライフ&レジャー事業本部おもちゃ&ホビー事業部ディレクター事業本部長の白子雅也氏によれば、「日本のおもちゃ市場は特殊で、キャラクター商品の存在感が大きい」という。しかし、国内の2016年におけるキャラクター玩具の売り上げは、2015年人気を博した「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」の反動から、前年割れの見通しとのこと。

 一方で「世界ではもっとストレートな知育、学習玩具が着実に売れている」という。知育・学習玩具の取り扱い点数は、米国の約半数で、知育・学習玩具がおもちゃ全体に占める売り上げ構成比でも日本は現在のところ最下位だ。

 Amazon.comには、STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)の4つの理系教育に特化した「STEMストア」があるが、「国内では知育・学習=STEMではなく、コミュニケーションを中心とした学びの総合力がより重視されている」とした上で、「今後、国内では知育・学習玩具に拡大の余地がある」と、大賞発案の経緯を語った。

 Amazon.co.jpが未就学児童の親や祖父母、親せきなどを対象に行った意識調査では、知育・学習玩具への関心は高く、7割以上となった一方で、500円程度からの商品があるにもかかわらず、購入頻度は半年から1年に1回程度とまだ高くないという。

 調査の結果から見えてきたのは、「効果が不明瞭だったり、種類が多すぎてどれがいいか分からない」という声だ。こうした情報不足を解消するため、Amazon.co.jp内に「知育・学習玩具ストア」を新たに設けたという。

 知育・学習玩具ストアでは、「もっと選びやすく」をコンセプトに育てたい能力や伸ばしたい教科から選べるようにストアを構成したという。「品ぞろえを広げるのはAmzonのミッションで、これまでは商品名や価格から効率よく分かっている商品を探せるようにしてきた」が、新設の「知育・学習玩具ストア」では、「わかりやすく説得力を持って提供することを目指す」とした。

 審査を務めた東京大学大学院教育学研究科教授の秋田喜代美氏は、「乳幼児期の良質な経験は生涯にわたって大きな影響があることが近年分かってきている」と述べ、「玩具自体はシンプルで、いろいろ組み合わせて遊ぶことで子供自身の創意工夫、主体性や動機を高めることにつながる」と語った。今回審査員特別賞となった「アソブロック」について、「曲線曲面で動を作る、いろんなものになりきることのできる新しい発想のブロック」とし、「だれでもいろいろな年齢層が一緒に遊べることも特徴」とした。また、「小さいので、病院や旅先へ持ち歩いて隙間時間に夢中になれるのよい点」とした。

 東京大学薬理学教授で脳科学者の池谷裕二氏は「脳は成長してなんぼの臓器」とし、「遊びによって創造性を刺激し、ルールを通じた何らかの制約との狭間で、発達が高められる」としたほか、おもちゃを通じた友達とのコミュニケーションも重要とした。選定については、「子供はあっという間に成長するので、インテリアとして優れていることも重要」と述べた。「サボテンバランスゲーム」については“立体パズル”と表現。空間の中で視点を動かす能力や、ある問題をほかの問題に応用する平面思考、物事を深く掘り下げる垂直思考を養う上で有用と述べた。

 認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏は、保育事業者であるとともに、5歳と3歳の2児の父でもある。「保育園で中心になるのは“遊び”。大人にとっては余計で余分という語感を持つが、こどもにとって成長に欠くべからぬもの」とし、おもちゃは遊びに寄り添うものとした。「ニューブロック」で組み立てた怪獣を手に、ガオーと声を発するだけでも、「それが怪獣で、怪獣が吠えることを理解していないと分からないハイコンテクストで情報量の高い営み」とし、これを自然と養えるのが遊びだと述べた。