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米国政府がルートDNSや、IPアドレス管理などの“IANA機能”監督権限を手放す
今後はグローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管
2016年10月3日 12:20
米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration:NTIA)は1日、米国政府がこれまで有していたルートDNSの管理と、IPアドレスやAS番号資源の管理・分配、技術的プロトコル番号の割り当て調整などを行ういわゆるIANA(Internet Assigned Numbers Authority)機能の監督権限を手放すことを発表した。
米国政府が保有していたIANA機能の監督権限に関する契約は、2016年9月30日までとなっており、今回これが更新されなかった。米国政府はインターネットの出自に基づく歴史的な経緯から、IANA機能の監督権限を担っていたが、NTIAでは2014年3月14日に、IANA機能に関する監督権限をグローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管する意向を明らかにしていた。
これを受け2014年7月には、「IANA Stewardship Transition Coordination Group(ICG)」が設立され、グローバルインターネットコミュニティによる提案策定に向けた検討を開始。2016年3月には、ドメイン名やIPアドレスの割り当て管理を担う組織である「Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)」が、IANA機能監督権限移管に関する提案を米国政府に提出。8月にはNTIAが移管実施に向けた現IANA契約終了の意向を発表していた。
契約切れ直前には、共和党のテッド・クルーズ議員を中心とした一部議員が反対を表明。9月29日には、4州の司法長官が連名で、NTIAによるIANA契約終了の暫定差し止め命令を求める訴えをテキサス州の連邦裁判所に提出するなど、監督権限移管に抵抗する動きが相次いたが、結局は退けられていた。
これにより今後は、インターネットは新たに、関係団体や技術専門家、ユーザーらの「マルチステークホルダー」と呼ばれる国際的な“インターネットコミュニティ”の監督下に置かれることになる。
ICANNの日本での連絡役であり、IPアドレスなどのインターネット資源管理やインターネット技術の調査研究・情報提供などを行っている般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)でも1日、これについてのアナウンスを出している。米国政府によるIANA機能の監督権限委譲について、「インターネットの方針策定や管理は、黎明以来、誰もが参加できるというオープンなプロセスの下、利用者・関係者が直接関与するという運営精神が貫かれてきました。この精神に基づき発展し、特定の国・組織に属さない今日のグローバルなインターネットというものの性質を鑑みた場合、完全に民間主導のグローバルコミュニティによって重要資源の監督がされることになったことは、象徴的で歴史的な第一歩と言えます。」としている。