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ストライプ、オンライン決済サービスの国内提供を開始、三井住友カードとも連携

 ストライプジャパン株式会社は4日、オンライン決済サービスの国内提供を開始した。サービスの利用登録や月額料金は無料で、オンライン決済ごとに一律3.6%の手数料を支払えば、すべての機能が利用できる。

 Stripeが提供するオンライン決済サービスは、ウェブサイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むだけで利用できるもの。130以上の通貨に対応しており、世界のどこからでも決済が行えるのが特徴。

 国内では2015年5月より招待制のベータ版サービスが提供されていたが、正式版の提供に伴い、130以上の通貨での決済に対応した。また、消費者同士など複数の売地と買い手により決済が行われる“マーケットプレイス”などを手掛ける事業者向けの機能である「Connect」、決済用のウェブサイトなどに遷移することなく、モバイルアプリで購入ボタンを選ぶことで直接決済が行える「Relay」や、サブスクリプションを含む決済ステータスや収益など、各種の管理が行える「ダッシュボード」の各機能が利用可能になった。

 また、Stripeが事業を展開している日本含む25カ国における取引情報を収集し、さまざまな不正の手法を分析する機械学習ベースの不正対策システムを備えており、安全なカード決済環境を提供していることも特徴で、TwitterやFacebook、Salesforce、Slack、Pinterestなどの大手米国企業のほか、「Connect」の機能は、Kickstarterなどにも提供されている。

 米Stripe CEO兼共同創立者のパトリック・コリソン氏はオンライン決済について、ウェブの基礎であるHTTPプロトコルのエラーコードを例に「402エラーが用意されているように、ウェブを設計した人には、オンライン決済が重要な問題とわかっていた。当時は実装には至らなかったが、この取り残された部分を改善するためにStripeが誕生した」と述べた。

 米Stripeによるオンライン決済システムについては、2015年だけでも40%の米国人がStripe上に構築されたビジネスから何らかの商品やサービスを購入していることを紹介しながら、「テクノロジーによって世の中では仕事のやり方が大きく変わっている。2001年から2011年までのGDP成長の43%はインターネットが創出したが、この成長をさらに加速し、インターネット企業がさらに成長するための一助を担いたい」と述べた。

 「ビジネスをスタートさせるには国境がかせになる」と述べ、日本の市場について、Eコマースの売り上げは世界4位で、米国と中国はもちろん、人口が2分の1しかない英国の後塵を拝していることを挙げた。米国消費者のEコマース売り上げは、前年比10.5%増の5381億円で、2019年までにはさらに1.5%以上増加する見通しだ。また人口の多い中国では、消費者によるEコマース売り上げが、前年比31.2%増の7956億円で、2019年までにはさらに2.9%以上増加する見通しだ。

 ソニーやニンテンドー、パナソニックなどの企業の名を挙げつつ、「日本は歴史的に商業をリードしてきたことを考えると、Eコマースにおける販売機会を失っている。いち早くモバイルを本格採用した国だが、インターネットの経済インフラはまだ不完全」と語り、多通貨決済を提供する同社のオンライン決済サービスにより「日本企業と世界の需要をつなぐ架け橋として、日本の企業が新しいサービスや製品を世界に届ける手伝いをしたい」と語った。

 発表会には、ストライプジャパンとの提携を発表した三井住友カード株式会社(SMCC)取締役会長の島田秀男氏も出席。SMCCは、海外企業として初めて米Stripeに出資を行い、戦略的パートナーとして新たな決済サービスを国内で取り扱う。SMCCとの提携について米Stripeのコリソン氏は、「我々には、機械学習やテクノロジー企業のニーズはわかっているが、決済サービスを提供するには、その地域のナレッジやコネクション、経験を持つ金融機関の協力が必要」と述べた。

 SMCCの島田氏は「EC市場は、この5年間で2倍弱の規模に成長している。インターネット普及によりリアルからネットへの移行が起きたが、スマートフォンなどのモバイルの普及や、SNSの影響によって、消費者の購買は多様化し変化している」とし、さらに「時間や場所問わず利用可能になったことで、今後さらに拡大していく」との見通しを述べた。

 また、Srtipeの多通貨決済についてはインバウンド需要にも対応できるとしたほか、「簡単に素早くクレジットカード決済に機能を導入でき、週1回精算されるので、キャッシュフロー面でもメリットがある」とした。カード情報が、コードを組み込んだ販売側のウェブサイトのサーバーを通過せずに決済が行われるため、情報漏えいが低いこともメリットに挙げた。