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弥生、クラウド/マイナンバー対応を強化した「弥生 17シリーズ」

クラウド会計と会計事務所向け製品のデータ連携にも対応

 弥生株式会社は6日、業務ソフトウェア製品群「弥生 17シリーズ」を10月21日に一斉発売すると発表した。給与・会計製品において、いよいよ本格利用が始まるマイナンバー関連の機能を強化しているほか、クラウド連携についてもさまざまな強化を行った。

 10月21日に発売されるのは、「弥生会計 17」「弥生給与 17」「弥生販売 17」「やよいの青色申告 17」「やよいの給与計算 17」「やよいの見積・納品・請求書 17」「やよいの顧客管理 17」の各製品。

 このうち弥生給与 17、やよいの給与計算 17といった給与製品では、2016年の年末調整からマイナンバーの本格利用が開始されることを受け、業務手順・安全管理措置に対応。マイナンバー対応の初動を支援する「マイナンバーナビ」機能も引き続き搭載している。

 また、弥生会計 17、やよいの青色申告 17といった会計製品では、法人・個人事業主の消費税申告書、個人事業主の所得税確定申告書Bのマイナンバー記載に対応する。さらに、会計・販売製品では、2016年制定の消費税法改正に基づき、2019年施工予定の消費税率10%の自動計算、軽減税率8%の入力、税率別の自動集計といった機能も備えた。

 クラウド連携では、データ連携機能「YAYOI SMART CONNECT」を改善し、会計製品から直接、領収書のスキャンデータを確認できる機能を搭載したほか、電子帳簿保存法の改正に応じたスマートフォンアプリも提供される予定で、帳票類をスマートフォンのカメラで取り込めるようにする。

 弥生では、ソフトウェアの保守サポート「あんしん保守サポート」を提供しており、消費税法改正をはじめとする法令改正への対応はもちろんのこと、マイナンバー相談などにより、マイナンバー関連業務に関する支援も提供してきた。今後も、ソフトウェアの機能強化だけでなく、サービスとの二本柱で、顧客の業務を支援していく考えだ。

クラウド会計の利用促進も図る

 一方で、クラウド会計アプリケーションの普及にも取り組んでいく。クラウド会計アプリケーションは、インターネットの利用環境があればどこでも使える機動性の高さや、銀行、クレジットカードの口座、業務アプリケーションとのデータ連携の容易さなどから、個人事業主を中心に利用が広がってきたが、法人事業者での利用率は1%にも満たないのが現状という。

 弥生の岡本浩一郎社長はこの理由を「個人事業主は申告まで自己完結でき、自分でやるのはさほど難しいことではないが、法人は約8割が、少なくとも会計業務の一部を会計事務所に委託しているため」と説明する。

 法人、特に小規模な事業者では、業務ソフトウェアを導入するにあたって、会計事務所からの紹介が一番大きな割合を占めており、弥生の調査によればその割合は46.4%にものぼる。では、会計事務所は何を基準に紹介するのかといえば、「自分のところで使っているソフトとの連携ができること」(岡本社長)であり、既存のクラウド会計アプリケーションはこれを満たせていなかったことから、そもそも選択肢に入れてもらえない状況だったのではないかという。

 そこで弥生は今回、会計事務所向け会計ソフトの最新版「弥生会計 17 AE」に、弥生のクラウド会計アプリケーション「弥生会計 オンライン」とのデータ共有機能を搭載する。これにより、会計事務所は使い慣れた会計ソフトを用いて、弥生会計 オンラインのユーザーに対しても帳簿の確認や決算・申告書類の作成などを行えるようになるため、弥生会計 オンラインを選択できる可能性が広がるとした。

 「顧問先がクラウド会計でも、会計事務所は使い慣れた弥生会計AEで作業を行えるようになった。この連携によって、(弥生PAP会員である)全国7000超の会計事務所が一気にクラウド会計対応になる。大きなブレイクスルーを提供できる」(岡本社長)。

 もっとも、弥生が重要視しているのはあくまで選択肢を提供することであり、クラウド会計を決め打ちで勧めることはないとのことだ。岡本社長は、「すでに業務ソフトを利用している人と、利用していない人でニーズが異なるし、クラウド会計は割りきって機能をそぎ落としているといった違いもある」という点を指摘。

 「既存のユーザーは、操作性などデスクトップアプリケーションに慣れているので、それを生かしながら、データ連携などのクラウドの利点を製品に入れていく。一方、使っていない人は(どこでも使える利便性など)クラウド基準での使い勝手の良さを評価する場合が多い」とし、どちらのニーズにも応えられるよう、両者を並行して強化していく姿勢を示した。