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「Minecraft: Education Edition」11月1日提供開始、教員あたり月額120円、児童・生徒は無償で利用可能
2016年10月25日 20:42
日本マイクロソフト株式会社は、サンドボックスゲーム「Minecraft」の教育機関向け教材として、「Minecraft:Education Edition」を11月1日に提供開始すると発表した。価格は教員あたり月額120円。所属教員分を購入することで児童・生徒は無償で利用可能としている。
従来のエディションと異なるのは、教師の授業を支援する機能を備える点。教員用授業進行コンソールのほか、学習者の活動範囲の設定、ブロックの一斉配布、カメラとポートフォリオによる学習記録機能などがある。
ゲームを通じて論理的に物事を解決する「プログラミング的思考」を養うことを目的としており、共同作業によりアクティブラーニングの素養を体得しながら、プログラミングへの興味や理数教育にも繋げる狙いがある。
「Minecraft 活用キャンペーン」も実施。教員2500名、児童生徒約3万8000名相当の1年間のライセンスを無償で提供する。申し込み期間は10月25日~12月23日。さらに、スウェーデン大使館主催のコンペティションも行う。課題は、安心・安全で住みやすい“サステナブル”な街をMinecraftで作成することで、応募資格は小学4年生~中学3年生のグループ。応募締め切りは11月24日で、最終選考および受賞記念ディナーを12月10日に行う予定。
10月25日に行われた記者発表会では、Minecraftを使った教育への期待に関して、宮城教育大学准教授の安藤明伸氏が説明。同氏はMinecraftが仮想空間の環境として利用できる点に関心を持っており、同ゲームが現実では把握しにくい概念を理解するのに適しているという。キャラクターフォルムや世界が単純化されており、“不気味の谷”現象が起きにくいことや、距離位置関係がつかみやすいことを特徴として挙げる。
例えば、STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育との接点で考えると、Scienceにおける論理回路では組み立てに細かな作業が要される。「実物で部品を繋ぐ作業も重要だが逆にそうしたリアルさが分かりにくくすることもある」という。Minecraftではゲーム内でのバーチャルな物作りが可能で、必然的に手順を考えてブロックで動きを組み合わせるため、活動自体にプログラミング的思考の要素が含まれているという。また、ゲーム内での行動を主体的に考えたり、複数の生徒との共同作業によりアクティブラーニングを行える。
安藤氏は「学習への動機付け、作ることで学ぶ経験、それらで教科の指導内容を深められるような教材、題材、指導方法を開発していければ」と述べた。
現在、宮城教育大学附属中学校、北海道教育大学附属札幌中学校、札幌市公立小学校・中学校普通学級、札幌市公立中学校通級教室、宮城教育大学安藤研究室での共同研究・実証授業を検討している。