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インフォテリアがIoTソフトウェア事業参入、コーディング不要でアプリ開発可能なIoTプラットフォーム「Platio」を1月下旬に提供
2016年10月28日 16:54
インフォテリア株式会社は、IoT向けのソフトウェア事業参入の第1弾として、IoTプラットフォーム「Platio(プラティオ)」を1月下旬より提供開始すると発表した。無償の評価版は10月27日から利用可能。対応言語は日本語・英語で対応OSはiOS 9以上。Windows 10、Android版も今後対応する予定。
Platioは、プログラミングの知識がなくてもIoT機器を活用したアプリ開発や、サーバー側プログラムの開発、アプリの配布、システムの運用を行えるプラットフォーム。カスタマイズ可能なテンプレートを元にアプリを作成でき、クラウドと連携することでアプリの配布や更新を素早く行えるのを特徴としている。また、ユーザーは個別にアプリをインストールする必要なく、各機能を1つのアプリ上で切り替えて使用することができる。主に、農業、流通、製造、土木建設、ヘルスケアなど、機器のIoT化が進みつつある現場での利用を想定している。
IoTデバイスとの通信にはBLE(Bluetooth Low Energy)を使用。機器ごとの通信仕様(GATT)を独自に組み込んでおり、対応デバイスにワンタッチで接続することが可能。現在、株式会社エー・アンド・デイの血圧計・体温計や気温・湿度を計測するIoT機器などとの接続に対応しており、今後も対応機器は追加する予定。
また、企業が自社専用のIoT機器を開発するための開発環境を2016年度第4四半期より提供する。CerevoのIoT開発モジュール「BlueNinja」とPlatioを連携させることで、ハードウェアとソフトウェア双方を自由に開発できるとしている。
既存の業務用機器をIoT化する傾向が農業、流通などで見られるが、センサーで取得できない情報は人間が補足したり、選別する必要がある。Platioは「M2P(Machine to Person)」を実現するためのIoTシステムとして提供し、このような人の手による情報の獲得・精査・共有の業務を支援する。IoT機器とバックエンドを繋ぐデータ連携、アプリ開発を扱いやすくすることで、結果的にフィールド業務の効率化を実現できる。
インフォテリアネットサービス事業本部マーケティング部部長の松村宗和氏は「業務の現場では実際にアプリケーションを使う。まずは、小さく始めて機敏に改善するプロセスを繰り返すことで、実用的なアプリを開発できる」としている。
これまでIoTアプリの開発にはクラウド開発者、アプリ開発者、機器メーカーなど、異なるスキル保持者による密接な協力・調整が必要だった。そこで、近距離通信、現場用アプリ、クラウドデータストアをインフォテリアが提供することで、自社の強みを活かしたIoTシステムの構築が可能になるとしている。
元々、インフォテリアではビジネス用途向けにモバイルコンテンツ管理基盤の「Handbook」、ファイル・データ連携ツール「asteria warp」などを提供していることから、ソフトウェアの開発力、サービス展開を強みとしている。これにより、Platioをはじめとした同社の製品同士と密接な連携を実現できるとしている。
将来的にはIoT機器のデータ収集・制御を行う「M2M(Machine to Machine)」のソフトウェア「Gravity」も開発する予定。松村氏は「ユーザー企業、ソフトウェア開発会社、機器メーカーなど業種を問わない協業や、情報発信、施設・機器の提供に取り組んでいく。これらをセットにしてPlatioを広げていきたい」と述べた。
インフォテリア社内の1フロアにIoT機器展示スペースを開設
なお、11月1日よりインフォテリアの1階(530平方メートル)を使ったIoT機器の展示スペース「IoT Future Lab.」も開設すると発表した。所長には東京R&Dセンター長も務める田村健氏が就任する。
国内からはエー・アンド・デイやCerevo、オムロン、海外からはTexas Instruments、Parrot、Senicなど、複数の企業から提供されるIoT機器やIoT対応プラットフォームのデモを試すことができる。また、IoT Future Lab.内のオープンスペースとセミナールームでは、レクチャーや情報交換会を定期的に開催する。
インフォテリア代表取締役社長の平野洋一郎氏は「ここに来ればIoTを新しい形で使える。システム、人、モノを繋ぎ、さらに未来へと繋いでいきたい」と開設への意気込みを語った。