ニュース

活版印刷の文字のにじみを再現した「にじみフォント」、大日本印刷が開発

従来の明朝文字(上)と「にじみ」を表現した書体(下)
従来の丸ゴシック(上)と試作版の「にじみ丸ゴシック」(下)

 大日本印刷株式会社(DNP)は18日、活版印刷の風合いをデジタルフォントで再現した「にじみフォント」を開発したと発表した。第1弾として、「秀英にじみ明朝L」をソフトバンク・テクノロジー株式会社のウェブフォントサービス「FONTPLUS」で発売する。

 DNPの1876年の創業当初から2003年まで続いた活版印刷で使用されたオリジナル書体「秀英体」が、印刷された紙面上にどのように表現されているかを細かく分析し、長年培ってきた書体制作技術と画像処理技術を活かして開発したもの。

 印刷時の圧力(印圧)によってにじむインクの風合いを再現するため、活版印刷物の印影を分析。活版で印刷された文字は、インクが活字に付着していくことで、徐々に“ハライ”の先端や“ウロコ”の角が丸くなったり太くなったりする傾向があるという。こういった印影の分析結果を「にじみ効果」として付与する専用プログラムを開発。秀英体フォントデータにプログラムで画像処理を行い、「秀英にじみ明朝」フォントを作成した。

 プログラムの設定によって、にじみの太らせ量やゆらぎ量などの強弱を段階的にシミュレーションし、書籍の本文やポスターの見出しなどにほどよくなじむように調整したという。また、スマートフォンやタブレット端末などのデジタル機器に表示した際も、従来より太く柔らかい印象を与え、ちらつきを抑えることで、眼にやさしく読みやすいフォントに仕上げたとしている。

 今後も、にじみフォントシリーズの開発を進め、「にじみゴシック」「にじみアンチック」などのラインアップを追加する予定。また、書籍、雑誌のほか、商業印刷物や広告・POP、電子書籍やフォトブックなど、秀英体の利用範囲を広げるためのライセンス提供を推進するとしている。