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「Amazon Launchpadストア」オープン、スタートアップ企業のガジェットをラインアップ

 アマゾンジャパン合同会社(Amazon.co.jp)は18日、スタートアップ企業向けの支援プログラム「Amazon Launchpad」の国内提供を開始し、スタートアップ企業の商品をラインアップする「Amazon Launchpadストア」をオープンした。

 Amazon Launchpadストアでの取り扱い商品は、デジタルガジェットが中心となるが、食品や調理器具、家庭用品なども対象。販売製品一覧ページから「動画を見る」をクリックできるのも特徴だ。各商品の説明ページでは、ユースケースや利用シーンを紹介するものなど、企業が登録した動画をすべて掲載するという。現時点では、Cerevo、DMM.make ROBOTS、MAMORIO、BONX、VIE STYLE、KAMARQなど15社が参加し、以下の製品群など250以上がすでに販売されている(価格はいずれも税込)。

専用アプリでグループ通話できるBluetoothヘッドセット「BONX Grip」(1万5800円)
バッテリー駆動型のポータブルDJ機器「Monster GODJ」(3万7584円)
戸締まりをスマートフォンから一括チェックできるスマート窓センサー「leafee mag」(2138円)
スマートフォンで撮影した動画・写真を遠隔地のテレビに出力できる「まごチャンネル」(3万9800円)
スマートフォンから色や音をデザインできるスマートフットウェア「Orphe」(4万4800円)
外出先からやりとりできるコミュニケーションロボット「ユカイ工学 BOCCO」(3万1320円)
スマートフォンから鍵を操作できる「Qrio Smart Lock」(1万9440円)
子ども見守りシステム「COCOKID 親子セット(3万9000円)
耳が痛くならないワイヤレスヘッドホン「VIE SHAIR」(3万9900円)
プロジェクター搭載ロボット「Cerevo プロジェクター Tipron」(24万8184円)
スマートフォンと連携してモノの紛失を防ぐIoTデバイス「MAMORIO」(3780円)
音声アシストでスマートフォンの通知を聞けるBluetoothイヤホン「APlay」(6480円)
ブレスレット型のスマートおもちゃ「Moff Band」(5616円)
Bluetoothロボットラジコン「Sphero BB-8」(1万3080円)

 記者発表会では、3社のスタートアップ企業の製品が紹介された。「MAMORIO」は、タグを付けたモノを紛失したときにスマートフォンへ通知してくれるタグ。スマートフォンアプリから、ほかの人の紛失したMANORIO付きの落とし物を探す「クラウドトラッキング」の機能も利用できる。

 VIE SHAIRは、クラウドファンディング「KickStarter」の資金を元に開発された耳に触れないヘッドホン。柔軟な特殊樹脂を人体に合わせて3Dデザインしたエアフレームを採用し、長時間装着時も耳に痛みなどが発生しない。

MAMORIO株式会社代表取締役の増木大己氏
VIE STYLE CEOの今村泰彦氏

 Amazon Launchpadストアは、米国では2015年7月より提供されており、現在は英国、ドイツ、フランス、カナダ、メキシコ、中国、インドですでに展開されている。Amazonでは、100以上のベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、アクセレレーター、インキュベーターと世界各国で協力しており、国内でもクラウドファンディングのMakuake、アクセレレーターのABBALabと協力している。

 スタートアップ企業向けのプログラムとしては、企業が「Amazon Launchpadベンダー」としてウェブサイトから申請を行えば、数週間の審査を経て、製品をAmazonで販売できる資格が得られる。30日以内に購入者へ製品を発送できることが条件となる。

 製品の写真や動画など、必要な情報を登録し、Amazonのフルフィルメントセンターに商品を発送すれば、配送や在庫管理なども委託できる。また、マーケティングや世界展開までをAmazon.co.jpが支援する。このほか、カスタマーレビューを通じて、顧客のニーズなども把握できるようになる。

 Amazon Launchpadプログラムの利用には、標準の手数料に加えて一律で5%の販売手数料が製品の販売ごとに必要となる。

 Amazon.co.jp社長のジャスパー・チャン氏は、「スタートアップがAmazonの提供するサービスを活用し、事業を拡大した事例はすでに多数あるが、日本のスタートアップ企業の発展のためには、さらなるサポートが必要で、Amazon Launchpadはその一環」と語った。

アマゾンジャパン合同会社社長のジャスパー・チャン氏

 Amazon.co.jpディレクターセラーサービス事業本部事業本部長の星健一氏は、Amazon Launchpadの特徴として、販売、ブランド構築、露出拡大、海外進出の4点を挙げた。Amazon Launchpadでは、Amazonマーケットプレイスの出品の仕組みである「フルフィルメント by Amazon」を利用することで、商品の配送や在庫管理をAmazonに委託できる。このためスタートアップ企業では、製品開発以外の煩雑な業務から解放される。フルフィルメント by Amazonを利用すれば、商品にはPrimeマークが適用されるという。

 また、通常のAmazon販売製品とは違い、専用の商品詳細ページには動画やスタートアップ企業のストーリーなども掲載可能となり、商品の利用シーンなども詳しく伝えることができる。さらに、日本でAmazon Launchpadに登録すると、すでに展開されている8カ国で同様のプログラムに参加可能になり、海外販売も容易に行えるようになる、

 このほか、スタートアップ企業に対しては、売り上げや在庫、価格の管理などが行える出品管理ツールや、「Amazon出品大学」で提供している60以上の販売ノウハウに関する講座の受講も可能となる。このほか、ブランド構築や性人の認知度向上が可能な「Amazonセラー広告」、海外販売を支援する「Amazon Global Selling」、運転資金を融資する「Amazonlending」、Amazonアカウントで決済可能な自社サイトの運営を支援する「Amazon Payment」といったソリューションも提供する。

 これら施策により、「販売やマーケティング、配送など、スタートアップに求められている多くのソリューションを提供することで、成長を後押しし、ビジネスの第一線に導くことを目指す」(星氏)とした。

アマゾンジャパン合同会社ディレクターセラーサービス事業本部事業本部長の星健一氏

 記者発表会に参加したQrio株式会社代表取締役の西條晋一氏は「Launchpadは米国では数倍の流入になっているので期待している」と述べた。また、株式会社Cerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は、「これまで世の中になく、店頭で一目見ても何か分からない製品のストーリーと商品説明がECには求められる」とし、「これまでそうした内容を伝えられる動画や静止画を含む情報の掲載場所がAmazonになかったが、(Amazon Launchpadは)新規商品には大きなメリットになる」と述べた。

Qrio株式会社代表取締役の西條晋一氏
株式会社Cerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏

 また、Amazon.co.jpでは、クラウドを利用するIoTやAIを活用したソリューションをAWSで提供するスタートアップ支援プログラム「AWS Activate」をすでに提供している。AWS Activateでは、数千ドルの無料クーポンが提供され、AWSの利用料やAWSエンジニアによる技術支援に充当できる。もちろんAmazon Launchpad参加企業でも利用できるもので、ハードウェアと連携するスマートフォンアプリにおけるデバイスやユーザーの認証・管理などの機能を提供する。

アマゾンウェブサービスジャパン株式会社代表取締役社長の長崎忠雄氏