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宇宙天気予報の精度向上へ、機械学習とビッグデータによる太陽フレアの発生予測モデルで
2017年1月26日 17:11
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は26日、機械学習とビッグデータを用いた統計的な太陽フレアの予測モデルによって、宇宙天気予報の精度を上げることに成功したと発表した。
宇宙天気とは「太陽活動が源になって、しばしば地球周辺環境が激しく影響を受ける現象」を示す。太陽活動が活発なときにはオーロラが発生しやすく、電力網や短波通信、GPS測位などにも影響があるため、航空機や人工衛星の運用ではあらかじめ対策をする必要があるという。NICTでは、毎日14時半に宇宙天気予報会議を行い、15時に予報情報を配信している。
予報精度の向上が長年の課題になっていたが、今回、複数の機械学習の手法を太陽観測データ解析に応用。NASAのSDO衛星観測による高分解能データ30万枚を用いて学習データを作成し、約60個の黒点の特徴に注目して、過去のどの黒点からどのクラスの太陽フレアが発生したかをリスト化。大きなフレアが起こったときの黒点の特徴を機械学習で見つけ出す作業を行ったという。
これにより、太陽フレアの統計的な予測を可能とし、従来の人の手による予測精度が5割程だったのに対し、8割を超えるレベルにまで予測精度を上げることができたとしている。NICTでは今後、予測モデルの検証および実用化を進めていく。