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IT活用で、障害があっても大学へ〜「DO-IT Japan」3年目


 マイクロソフトは30日、東京大学と協働して運営している障害をもつ高校生・高卒生の進学を支援するプロジェクト「DO-IT Japan」の記者説明会を開催した。

「DO-IT Japan」の目的

先天性盲聾者としては初めて、大学進学を目指す高校3年生男子。ふだんは指文字でコミュニケーションを取っている。インスタントメッセンジャーなどが使えるようになれば、指文字を知らない多くの人とコミュニケーションを取ることが可能になる

 「DO-IT Japan」は2007年に開始した、東京大学 先端科学技術研究センター 人間支援工学 巖淵 守准教授が主催する、東京大学とマイクロソフトが中心となって協働するプロジェクト。大学進学を希望する、障害をもつ高校生および高卒生の進学支援プロジェクトを通じ、障害者自身がITスキルを身につけ、自分や仲間の障害を理解し、何に困っているのかを伝えるコミュニュケーション技術を身につけることを目的とする。

 また、「DO-IT Japan」に参加した生徒たちが大学受験や大学で学ぶ上で、どのようなことに困ったのか、どのようなIT技術が実際の支援に役に立ったかなどのデータを蓄積して発信し、大学の受け入れ体制などを変えていく一助にすることを目指している。

 「DO-IT Japan」では毎年、選抜した10人の障害をもつ進学希望者を対象に4泊5日の大学体験プログラムを実施。大学の講義に参加したり、ITスキルの習得を通じ、コミュニケーション技術を身につけるなどの活動を行っている。

 プログラム終了後は「オンライン・メンタリング(インターネットを通じた先輩や専門家からの助言)」として、Windows Liveサービスのコミュニティ機能「グループ」を使って、2007年、2008年のメンバーも含め、「DO-IT Japan」参加生徒や関係者間でコミュニケーションをとりながら、ノウハウの蓄積を図っている。

MS加治佐氏「機能向上とともに、支援機能の認知度を高めたい」

マイクロソフト最高技術責任者の加治佐 俊一氏

 マイクロソフト最高技術責任者の加治佐 俊一氏は、「マイクロソフトでは障害者支援の機能に取り組み始めてからもう20年になる。今年リリースするWindows 7でも、[Windowsキー]+[+キー]で拡大、[Windowsキー]+[-キー]で縮小、という機能を新たに搭載した」と述べ、OSレベルで、障害者支援機能に取り組み続けていることを紹介した。

 Windows 7については現在、読み上げソフトウェアなど、障害者支援のためのソフトウェア・ハードウェアがWindows 7で問題なく動作するかどうか、各ベンダー企業と協力してチェックしているところだという。

 機能強化だけでなく、「4月に発表した徳島県との地域活性化の取り組みをはじめ、実社会でもIT技術を使って高齢者や障害者を支援するための活動を自治体などと協力して行っている」。ただし、支援機能が搭載されたのはWindows 95からですでに10年以上になるが、「残念ながら、まだそういった機能があることも知られない方が多い」という。

 今後は支援機能の向上と同時に、こうした活動を通じて、必要な人にもっと知っていただけるように認知度を高めたいと述べた。

マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組み DO-IT Japanにおけるマイクロソフトの取り組み

巖淵准教授「蓄積し、発信することで世の中を変えていきたい」

東京大学 先端科学技術研究センター 人間支援工学 巖淵 守准教授

 プロジェクトを主催する巖淵准教授は、「米国では障害のある大学生は200万人を超え、全学生の11%を占める。一方、日本では約5000人でわずか0.17%というのが現状」として日米の状況の違いに言及。この背景としては、アメリカでは1990年にADA(アメリカ障害者法、障害者の差別を禁じる連邦法)が制定され、それに先だって1975年に全障害児教育法が制定されているなど、関連法が整備されていることが大きいと指摘した。

 巖淵准教授は、米国では17年前から始まっている「DO-IT」プロジェクトに1年間関わり、こうした試みは日本でも必要と考えて2007年から「DO-IT Japan」を開始したという。「毎年10人を進学希望者から選抜し、10年で100人、この100人を核として、障害者自身が自分の障害を伝えるコミュニケーションスキルを身につける必要性や、障害者が学ぶために必要な現場のノウハウを蓄積し発信することにより、社会を変えていきたい」と述べた。

DO-ITは2007年から開始、のべ24名の高校生が参加。2007年、2008年の参加者もWindows Liveの「グループ」サービスを使って、コミュニケーションに参加する DO-IT Japan 2009の概要
Windows Liveメッセンジャーやブログを通じて、参加者間で情報を共有し、自分のことを伝えるコミュニケーションの力も養う 「DO-IT」メンバーのLiveサービスでのやりとりやブログは基本的に公開されていないが、動画共有サービスSoapboxで動画を公開することにより、広く一般にメッセージを発信するメンバーも出てきた

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(工藤 ひろえ)

2009/7/30 18:25

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