第1回Itojun賞はGoogleのLorenzo Colitti氏とErik Kline氏へ


授賞式では、Itojunこと萩野氏の遺族から記念の楯が授与された。右から、Erik Kline氏とLorenzo Colitti氏

 2009年11月11日、広島で開催されている第76回IETFの全体会議において、第1回目のItojun賞(Itojun Service Award)は、GoogleのLorenzo Colitti氏とErik Kline氏に授与されることが発表された。

 GoogleのLorenzo Colitti氏とErik Kline氏は、Googleという地球上で広く利用されている商用サービスをIPv6に対応させ、世界の人々に広くIPv6を利用できる機会を提供したことが高く評価された。

 Itojun賞は、Itojunの愛称で親しまれ、IPv6の開発と普及に尽力していた中、2007年に37歳で急逝した萩野純一郎博士にちなんで、インターネットソサエティで新設された。萩野氏の遺志を継ぎ、IPv6の開発・普及・発展に尽力した者へ授与することを目的とし、萩野氏の遺族および友人の寄付が賞の運営資金にあてられている。

 授賞式では、今回のIETFが広島会場という国内における開催であったことと、Itojun賞の第1回目にあたることから萩野氏の遺族もゲストとして迎えられ、受賞者への楯の授与を担当した。母の荻野さんは「息子のやってきたことがこうして多くの人に引き継がれていることを見て、息子は幸せだったのだと感じた」とコメント、会場からは大きな拍手がまきおこった。

 受賞したGoogleのネットワークエンジニアのLorenzo Colitti氏は「この賞の受賞は非常に大きな名誉です。ItojunはIPv6コミュニティにおいて伝説的な人物であり、すべてのIPv6に関わる成果は彼の基本的な業績の上になりたっています。この成果を彼に見せることができないことは非常に残念ですが、今後もIPv6を普及させるという彼のビジョンを共有したいと思います」と受賞の弁を述べた。

 GoogleのIPv6ソフトウェアエンジニアのErik Kline氏は「Itojunの成してきたことに比べたら私のやってきたことはほんの一部にすぎません。GoogleのIPv6に対する努力はインターネットとその未来だけのものでなく、彼のビジョンと情熱を讃えるためのものでもあります」と語っている。


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(溝内 公紘)

2009/11/12 14:37