「はい」を押す意味よく考えて、ワンクリック不正請求の相談急増


 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3日、11月に寄せられたウイルス・不正アクセスに関する相談件数が2315件と、過去最多だったと発表した。そのうちワンクリック不正請求に関するものは903件で、過去最悪だった10月の793件をさらに上回った。


ワンクリック不正請求に関する相談件数の推移(IPAの発表資料より)

 ワンクリック不正請求とは、アダルトサイトなどで動画を見ようとして画面をクリックしていくうちに、無料だと思っていたのがいつの間にか会員登録したことになり、料金を請求される手口。ウイルス感染させ、数分おきにPCに請求画面を表示させるものもある。

 IPAへ寄せられた相談事例としては、動画共有サイト「YotuTube」の投稿者のコメント欄にあるURLリンクからワンクリック不正請求サイトに行き着き、ひっかかってしまったというものがある。このほか、YotuTubeから誘導されたトラブルが20件弱あるとしている。

 IPAではこうした相談が急増していることを受け、すでに2008年9月に開設していたワンクリック不正請求についての注意喚起ページを大幅に刷新。一般のPC利用者向けに、ワンクリック不正請求の対策情報ページとして公開した。

 被害に遭わないためには手口を知ることが第一だとして、誘導画面とともにその手口を説明するとともに、年齢確認や利用規約の同意を求める画面では「はい」をクリックする意味をよく考え、安易にクリックしないよう呼び掛けている。


IPAが公開したワンクリック不正請求についての対策情報ページの一部。「アダルト」でGoogle検索するところから、ウイルスに感染して料金請求画面が表示されるところまで、順を追ってその手口を詳しく解説している

 こうしたワンクリック不正請求サイトへは、アダルト動画をエサに誘導する手口が代表的だ。前述の動画共有サイトのほか、検索サイトで「アダルト」「無料 動画」などで検索して行き着くかたちだ。

 しかしIPAによると、アニメやゲームなど、アダルト以外のジャンルで誘導されるケースも確認しているという。「子供から高齢者まで、年齢・性別を問わず非常に多くの相談が寄せられている」。また、11月には競馬予想情報を提供するとうたった新手のサイトも確認したとしている。

 さらに、最近のワンクリック不正請求サイトは手口が巧妙になるとともに、違法個所を見つけることが難しい場合も多く、「必ずしも不正とは言い切れず、クリックした本人の責任を問われかねない」と指摘。「インターネットは自己責任!! 『はい』をクリックしたのはあなたです。」を11月の標語として掲げ、注意を促している。


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(永沢 茂)

2009/12/3 18:59