新聞協会などがフェアユースに反対「Webページ印刷は被害甚大」


 日本新聞協会など6団体は20日、公正な目的であれば権利者の許可を得ずに音楽や出版物などの著作物の二次利用を認める「権利制限の一般規定」(日本版フェアユース規定)導入に反対する意見書を公表した。ニュースサイトなどのWebページが私的使用の範囲を超えて無断印刷されることで、新聞社や出版社は大きな影響を被るとしている。

 6団体は、新聞社や一部の出版社が「広告モデル」などにより無償公開しているWebページが無断印刷されることで、広告媒体としての価値が失われ、印刷媒体を購入する必要もなくなると指摘。また、「企業内での著作物の複製利用」の許諾システムで権利者が得ている収益も著しく損なわれると主張した。同許諾システムは、日本複写権センターなど主要3団体だけでも、年間使用料収入は10億円を超えるという。

 さらに、「質の高いコンテンツを創るコストを賄うための事業に損害が生じれば、コンテンツを創る意欲は衰えていく」と指摘した上で、こうした現状で日本版フェアユース規定が導入され、Webページに掲載された情報を私的使用の範囲を超えて無断印刷できるようになると、「著作権者は利用されても構わない情報に絞り込んで提供するようになり」、貴重な情報が無料のWebページから消えていく恐れもあるとした。

 このほか、何が「フェア」であるのか明確な線引きがない状態で日本版フェアユース規定を導入することにより、あいまいな解釈をもとに、本来は「フェア」ではない複製が広まり、いたずらに権利者と利用者間の争いを増大させると指摘。裁判にかかる時間や費用、手間も計り知れないとした。6団体では、日本版フェアユース規定を導入する前提で議論が進められていることに大きな懸念を覚えるとして、慎重な議論を求めている。

 なお、意見書は日本版フェアユース規定の導入について検討する著作権分科会法制問題小委員会に参加する委員に提出された。意見書を出したのは日本新聞協会のほか、日本文藝家協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、学術著作権協会の6団体。


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(増田 覚)

2010/1/21 13:24