児童ポルノ「国内外問わず遮断」は現状無理! ISP業界団体が意見表明


 社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は4日、内閣府の「児童ポルノ排除総合対策(案)」に対して意見書を提出したと発表した。児童ポルノについてはもちろん許されざる犯罪としながらも、Web上の児童ポルノをISPが強制的に遮断する「ブロッキング」の導入については、通信の秘密などとの兼ね合いから、ISPが現状で取り組める範囲は限られていることを説明。その枠を大きく超える方向性を示した対策案に対して、修正などを求めている。

 JAIPAがまず指摘しているのは、対策案において「サーバーの国内外を問わず、画像発見後、速やかに児童ポルノ掲載アドレスリストを作成し、ISPによる閲覧防止措置(ブロッキング)を講ずる必要がある。」としている点。

 ブロッキングの対象範囲および手順については、インターネット業界や有識者らが「安心ネットづくり促進協議会」や「児童ポルノ流通防止協議会」において検討。児童ポルノを確認しだい遮断対象とするのではなく、サーバーからの削除やアップロード者の検挙といった他にとりうる手段がない海外サーバーの場合などに限定すべきとする報告書やガイドラインをとりまとめていた。

 今回の意見書では、「(ISP)各社が現状で取り組める範囲は、報告書やガイドラインで許容される範囲」と説明し、対策案でもこれらを踏まえた記述にするよう求めている。

 なお、「サーバーの国内外を問わず」という点については、今後の可能性として検討することは否定しないとしているが、あくまでも2010年度中をめどとしている今回の対策案の枠外だと説明している。

 このほか、ブロッキングを実施するISPにおける初期投資や運用の負担の軽減策などの支援も求めている。また、本格実施の前に実証実験を行い、問題点の洗い出しや効果測定も必要と指摘している。


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(永沢 茂)

2010/6/7 18:00