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「確信犯があぶり出される」Winny違法利用者への警告メールが本格始動

ACCS久保田氏に聞く


 ISP団体や権利者団体などで構成される「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF)」は、「Winny」を使って著作権侵害ファイルを共有しているユーザーを特定し、警告メールを送る取り組みを6月1日から本格的に始動した。

著作権侵害ファイル保有者に警告メールを送信

CCIFの活動の流れ

 CCIFは、警察庁の総合セキュリティ対策会議の提言をもとに、日本インターネットプロバイダー協会などのISP団体と、日本音楽著作権協会(JASRAC)などの権利者団体が参加し、2008年5月に設立された。ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害が社会問題化していることを踏まえ、関係者が被害防止対策を検討することを目的としている。

 協議会では2010年2月、ファイル共有ソフトを使って著作権侵害ファイルを共有しているユーザーに対して、ファイルの削除を呼びかける警告メールを送信する取り組みを行うためのガイドラインを策定。このガイドラインに沿って、警告メールを送信すると発表していた。

 取り組みの流れとしてはまず、権利者団体が専用ツールを用いてWinnyネットワーク上に流通する「キーファイル」(ファイルの要約情報)を入手し、ユーザーが保持するファイルの名称やIPアドレス、接続時刻などを収集する。

 権利者団体は、加盟会員が保有する著作物であるかを確認し、権利侵害が認められた場合は、当該ファイルを共有するユーザーのIPアドレスをISPに知らせる。ISPは、ファイルの削除を求める警告メールを当該IPアドレスのユーザーへ送付する仕組み。

CCIFが用いる専用ツールのイメージ図

 権利侵害の確認を行う権利者団体は、日本国際映画著作権協会(JIMCA)、JASRAC、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、日本映像ソフト協会(JVA)、ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)、日本映画製作者連盟(映連)、日本レコード協会(RIAJ)の7団体。

 これまでに送付した警告メールの件数は非公表。協議会としてはまず、約3カ月にわたって運用状況を確認した上で、効果測定して検証結果を発表する。今後は、Shareを使って著作権侵害ファイルを共有するユーザーに対しても、警告メールを送信したい考えだ。

権利者団体がISPに啓発文書送付を依頼する文書の例 ISPがユーザーに送るメールの例

確信犯とは戦わざるを得ない

ACCSの久保田裕専務理事

 今回の取り組みについてACCSの久保田裕専務理事は、「違法であることを知らずに他人の著作物をダウンロードしているユーザーも少なくない。警告メールが届くことで『まずいことなんだ』とわかってもらえるなど、一定の効果が期待できる。ネットユーザーの多くはWinnyを理解していると思うが、まだまだ啓発は大事」と話す。

 一方、ファイル削除の呼びかけに応じない“確信犯”には、刑事告訴や民事上の損害賠償請求などの対応も視野に入れている。「警告メールによってファイルの削除が進むと、Winny上で著作権侵害を行う確信犯があぶり出されてくる。我々としても『啓発ですよ』と言い続けるのは難しく、確信犯とは戦わざるをえない」。

 「ファイル共有ソフトの利用に関しては、著作権が切れていたり、著作物以外のファイルをやりとりしているという意見もある。しかし、これらのファイルはブログなど別の流通のさせ方がある。コンテンツに適切な対価が支払われるフェアなビジネスのためにも、ファイル共有ソフトの著作権侵害には対応していかなければならない。」

 なお、協議会設立のきっかけとなった警察庁の総合セキュリティ対策会議では、ファイル共有ソフトを通じた著作権侵害への対処として、ISPからの警告メールによる注意喚起に加えて、ISPによるアカウント停止、著作権者からの損害賠償請求、警察による捜査および検挙を挙げている。

 違法行為を繰り返すユーザーの通信回線をISPが遮断する「ISPによるアカウント停止」について久保田氏は、「我々がそういう状況を望んでいるわけではない」としながらも、「このへん(警告メール)でやめておかないと、3ストライク法ではないが、法律が重たくならざるを得ない」とも話す。

 「これまで、学生を対象に著作権に関する講演を数多く行ってきたが、まともに聞いてくれる人が年々増えている。最近では、『デッドコピー(複製品)はダメ』という話も通じるようになった。Winnyがやっていることがわかれば、誰でも『まずい』と思うはず。ネットユーザーの良心に期待したい。」


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(増田 覚)

2010/6/10 06:00