インターネット衛星「きずな」、平安遷都1300年祭を4K映像でライブ中継


太極殿全景

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、NICTの施設と平城遷都1300年祭会場を超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)で接続し、復元された大極殿などを4K超高精細映像(ハイビジョンの4倍の高精細映像)でライブ伝送中継する実証実験を実施する。

 「きずな」は最大1.2Gbpsのデータ通信が可能な通信衛星で、2008年2月23日に打ち上げられた。アンテナ直径45cm程度の地球局では、衛星から地球局へ最大155Mbpsの通信が行える。

 NICTではこれまで、超高精細映像および3D映像を高速伝送する技術「マルチチャンネル映像伝送技術」を開発し、「きずな」と組み合わせて、4K超高精細映像を伝送することに成功している。

 また、衛星通信を指向した「UDPパケット最適制御方式」を開発したことで、低遅延伝送を実現するとともに、パケット損失を抑える実証実験にも成功。遅延が大きく、再送制御に適さない衛星環境の下での超高精細映像伝送に有効であることを確認したという。

 NICTは過去の実験の成果を踏まえ、7月24日にNICT本部(小金井)の施設、31日に鹿島宇宙技術センターの施設を一般公開するにあたり、奈良県平城宮跡から復元された大極殿などを4K超高精細映像でライブ伝送中継し、来訪者向けに実証実験を行う。

 NICTは今後、今回の成果をさらに発展させ、フルハイビジョンを超える超高精細画像を用いたシステムの衛星回線での利用として、非常時通信や遠隔医療も含めたアジア・太平洋域のデジタルディバイド(情報格差)の解消に貢献することを目指すという。


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(増田 覚)

2010/7/20 19:53