村上龍の最新小説がiPad向けに先行発売、坂本龍一が楽曲提供


 株式会社グリオは16日、作家の村上龍氏が講談社の文芸誌「群像」に連載した長編小説「歌うクジラ」を電子書籍化し、iPad向けアプリケーションとして提供を開始した。価格は1500円。App Storeからダウンロードできる。

 「歌うクジラ」は22世紀を舞台にした冒険小説。紙の書籍に先行し、iPad向けに発売された。電子書籍ならではの仕組みとして、音楽家の坂本龍一氏が新たに書き下ろした楽曲や、アートワークが追加されている。今後は他のデバイス向けにも販売する予定。

 電子書籍化にあたって村上龍氏は、「昨年あたりからリーダー機能を持つ新しいデバイスが次々と発売され、今年が『電子書籍元年』となるだろうという予感があり、友人の坂本龍一と、そういったことをメールでやりとりしていた」とコメント。

 小説の内容については「100年後の世界を描いた未来小説であり、具体的な未来のアイテムやモチーフがちりばめられている」と説明し、脱稿後には「わたしにとっての最初の電子書籍にふさわしい作品だと確信した」という。

 電子書籍市場の将来は「予測できない」というが、「音楽や映画のパッケージ商品とは違って、紙書籍は残っていく」「作家と読者との距離が縮まる」と述べ、電子書籍元年では「今後どうなるのか」ではなく「自分はどう対応するのか」が求められると語っている。


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(増田 覚)

2010/7/21 17:53