2014年電子書籍市場は3000億円、2009年比で467.1%増


 株式会社富士キメラ総研は6日、映像や音楽、ゲームなどのデジタルコンテンツの国内市場を調査した報告書「デジタルコンテンツ/メディア市場調査総覧 2010」を発表した。報告書は、「デジタルTV」「ネットサービス」「電子書籍」など8メディアの市場を調査・分析したもの。

 それによれば、2009年における国内のデジタルコンテンツ市場は、市場規模の大きいデジタルTVとパッケージソフトの両メディア市場が縮小したため、前年比2.5%減の7兆6798億円となった。パッケージソフト市場は引き続き縮小が見込まれるため、2010年の市場規模は前年比0.2%減の7兆6676億円と予測している。

 デジタルコンテンツで伸びているのは電子書籍、ネットサービス、デジタルサイネージの3メディア。電子書籍は携帯電話/スマートフォン向けを中心に、ネットサービスはオンラインゲーム中心に拡大した。また、デジタルサイネージは広告市場が減少する中、流通/小売業で導入が進んだことが拡大につながった。

 なお、電子書籍市場は「iPad」が発売されたほか、ソニーの「Reader」やAmazon.comの「Kindle(日本語版)」の発売が予想されることから、米国と同様に新刊本やベストセラー本の電子書籍化が進む契機が訪れていると指摘。市場規模の予測は、2010年が631億円(2009年比19.3%増)、2014年が3000億円(同467.1%増)と予測している。

 今後のデジタルコンテンツ市場については、2010年から一部の企業で業績が回復し徐々に広告収入も戻ってきていることから、2011年以降はプラスに転ずると予測。しかし、パッケージソフトの縮小が続くため微増にとどまるとしており、2014年の市場予測は2009年比5.7%増の8兆1211億円とみている。

 アナログコンテンツを含めた国内のコンテンツ市場全体は、2010年に12兆7236億円、2014年には12兆6711億円と、やや縮小すると予測。パッケージソフトや書籍、雑誌、新聞など物販を伴うアナログコンテンツが、配信サービスなどのデジタルコンテンツへシフトすることによりコンテンツ単価が低下するためだという。コンテンツ市場全体に占めるデジタルコンテンツ市場の比率(=デジタル化率)は、2010年の60.3%から2014年には64.1%へ増加するとみている。


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(増田 覚)

2010/8/9 12:34