オール光化住宅を作るには~NTT東日本がショールーム「光HOUSE」オープン
ONU、配線設備や部材なども一堂に展示
東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は26日、FTTHサービス「フレッツ光」の住宅における利用シーンを体験できるショールーム「光HOUSE」を、東京・西新宿にオープンする。開館時間は平日が11時から18時30分まで、土・日・祝日が10時から17時30分まで。なお、毎週水曜日と年末年始は休館となる。
「光HOUSE」は新宿駅西口・南口から徒歩5分 | 「光HOUSE」のあるNTT西新宿ビル |
「光HOUSE」エントランス | 「光HOUSE」受付 |
●リビングでもお年寄りの部屋でも、フレッツ光の活用サービスをアピール
「光HOUSE」は、NTT西新宿ビル(東京都新宿区西新宿1-22-14)の1階にあり、広さは約200平方メートル。住宅の内部を再現した「光の体感コーナー」では、リビングダイニングを再現した「ファミリールーム」において、大画面デジタルテレビで視聴できる「フレッツ・テレビ」「ひかりTV」「スカパー!光」などの映像配信サービスはじめ、エアコンの遠隔操作、緊急地震速報、煙探知機、ドアホンなどの住宅セキュリティサービス「ホームICT」を実機で紹介している。
住宅の内部を再現した「光の体感コーナー」 |
NTT東日本東京支店営業企画部長の神谷直応氏 |
このほか、ゲーム機のWiiやニンテンドーDSi、デジタルテレビによるインターネット利用シーンを紹介する「キッズルーム」と「シニアルーム」もある。さらにワンルームマンションを再現した「一人暮らしルーム」では、モバイルWi-Fiルーター「光ポータブル」を使って、部屋の中でも外出先でも同じ無線LAN環境でインターネット接続できることをアピールする。
NTT東日本東京支店営業企画部長の神谷直応氏によると、「フレッツ光」経由で利用できるサービスは現在、インターネット接続にとどまらず、IP電話やビデオオンデマンド、地デジ再配信などへ広がり、ゲーム機やテレビなどからも利用できるようになっているが、どうしてもPCから利用するものというイメージが強く、特にPCを敬遠するシニア層では敬遠されがちだという。
そこで、実際にテレビやゲーム機、さらにはタブレット端末やデジタルフォトフレーム、テレビ電話機など、PC以外の機器から活用できる多用なサービスがすでに提供されていることを説明し、実際に体験してもらう場としてこのショールームを開設することにした。
例えば「シニアルーム」では、簡単に使いこなせるインターネット機器があることを説明するために、ネットPCをベースにした「光BOX」とテレビをHDMIケービルで接続してインターネットの地域情報を閲覧したり、デジタルフォトフレーム「光フォトフレーム」で孫の写真などを受信・表示できる様子を紹介している。
秋ごろ発売予定のタブレット型端末「光iフレーム(仮称)」は無線LANで接続されている | テレビ電話機「フレッツフォン VP2000」は、ドアホンとも連携する |
エアコンも遠隔操作に対応 | 壁面の向かって右側の上にあるのが緊急地震速報受信端末、いちばん左が煙探知機 |
PCやゲーム機でインターネットを利用することを想定した「キッズルーム」 | 写真下部のラックに入っているのは、「ひかりTV」や「スカパー!光」、地上デジタル放送のチューナー機能とHDD録画機能を備えたセットトップボックス「PM-1000R」 |
「シニアルーム」では、「光BOX」とテレビを使ったインターネット利用のほか、NGNサービス「フレッツ光ネクスト」向けのIP電話機「ひかりクリアフォン」なども展示 | フォトフレームにメールアドレスが設定されており、受信した写真を表示できる「光フォトフレーム」 |
「シニアルーム」では、通常のLAN接続のほか、PLCモデムによる接続方法も紹介 | PLCモデムの親機は、収納スペースの中に設置することを想定している |
ワンルームマンションを再現した「一人暮らしルーム」 | モバイルWi-Fiルーター「光ポータブル」 |
●光回線の引き込み方法から、コンセントの細かい位置まで提案
NTT東日本によると、「フレッツ光」向け各種サービスの展示スペースは同社の各支店などが設けている例があるが、「光HOUSE」の特徴は、表面的なサービスの紹介にとどまらず、これらサービスに対応するのに必要となる住宅内のネットワーク設備にまで踏み込み、細かく紹介・コンサルティングすることにあるという。
「光の設備コーナー」では、光ファイバーを電柱から戸建て住宅や集合住宅に引き込み、各部屋や各世帯に分配するための設備や機器も展示。ケーブルや配管、光ファイバーを分岐させるスプリッター、ONU、情報コンセントなど、集合住宅のMDFなどを模した展示もあり、実際にどのような機器が必要で、どのように配線されるかがわかる。
光ファイバーをモチーフにしたというトンネルの先に「光の設備コーナー」がある | フレッツ光の引き込み配線例。集合住宅(正面)と戸建て住宅(右) |
戸建て住宅への引き込み配線 | 情報分電盤には光ファイバーの終端装置(ONU)などが収納されている |
神谷氏は、NTT東日本の営業エリア内で年間18万戸の新築戸建て住宅が供給されているほか、賃貸集合住宅への入居も年間175万戸で発生していると説明。こうしたタイミングでFTTHサービスの導入や住宅内のネットワーク化を検討する機会が発生するが、映像配信なども含めて対応するには、住宅内の配線や機器に相応の設備が必要になるという。
例えば、電柱から住宅内に光ファイバーを引き込む経路をあらかじめ用意しておかなければ、後々、外壁に穴を空けて引き込まなければならなくなる可能性もある。さらに建物内でも、従来のようにテレビ用のアンテナ~同軸コンセント、電話用の引き込み線~モジュラーコンセント、インターネット用のLANというような別々の配線として設置するという概念も変わってくる。
それらすべてのサービスを光ファイバー経由に集約するのであれば、引き込み起点の情報分電盤から各部屋に対して各サービスの配線を分配するという設計になる。「光HOUSE」の「ファミリールーム」では、ONUやハブなどを収めた情報分電盤が、玄関脇の下駄箱の中に設置されている状態も見られる。また、あらかじめ各部屋まで配管を通しておいたとしても、その配管の太さを考慮しなければ、LANや電話、同軸ケーブルなど複数のケーブルを通すことが難しくなるとしている。
外壁に配線が露出した場合の施工例(写真提供:NTT東日本) | 配管を考慮しなかった場合の施工例(写真提供:NTT東日本) |
情報分電盤を玄関脇の下駄箱の中に設置した施工例 | 情報分電盤の内部。通常はカバーがかけられている |
さらには、各種サービスを利用する部屋や端末を設置する場所も踏まえて電源コンセントやLANコンセント、同軸コンセントなどの位置を設計しなければ、ケーブルが外壁に露出することになる。
例えば、電源コンセントなどは通常、床に近い高さに付けられる。しかし、最近では大画面テレビを壁掛け設置する場合も多く、それではコンセントとテレビの位置が離れてしまう。しかも電源ケーブルだけでなく、同軸ケーブルやLANケーブル、各種レコーダーやセットトップボックスなどと接続するHDMIケーブルなど複数のケーブルが接続されると、せっかく壁掛けにしても配線が垂れ下がる見栄えの悪いものとなってしまう。
「ファミリールーム」では、各種レコーダーやチューナー用の各種コンセントは、AVラックの裏側の低い位置の壁面に取り付ける一方、壁掛け大画面テレビ用の各種コンセントはそのちょうど裏側に来る高い位置に設置。それらをつなぐHDMIケーブルも、そのコンセント間で壁面内を通すことで、見た目にすっきりした配線を実現している。
テレビのちょうど裏側に来る高さに各種コンセントを設置している | 正面からは、テレビにつないでいるケーブルが見えない。通常のコンセントの高さ(照明の電源をとっている位置)との違いに注目。AVラックの裏側にも各種コンセントがある |
●マンション各戸までの配線は「光配線方式」を主流に
神谷氏によると、こうしたポイントもきちんと考慮し、住宅内配線まで含めてコンサルティングする場は今までなかったという。「光HOUSE」では施工例もあわせて紹介することで、住宅の新築やリフォームを検討しているエンドユーザーのほか、住宅事業を手がける住宅メーカーやデベロッパー向けにも、将来にわたって活用できる“オール光化”住宅のポイントなどを説明し、メリットをアピールしていく。
特に集合住宅については従来、光ファイバーで接続されているのは集合住宅のMDFまでであり、そこから各世帯まではVDSLやLANで分配する方式が多かったが、現在は各世帯まで光ファイバーで通じる「光配線方式」が増えているという。MDFに設置する分配機の電力が不要であるほか、各戸までの距離による信号低減もなく、将来性も含めてメリットがあるという。電気を使用しないため、雷にも強いとしている。NTT東日本のエリアでは集合住宅が約80万棟あり、フレッツ光がカバーする集合住宅が年間10万棟のペースで増加しているが、2009年はそのうち約9割が光配線方式を採用したという。
集合住宅における「光配線方式」による配線例 | 電気信号に変換せずに光ファイバーのまま各戸に分岐するため、共用部分(MDF)での電源は不要だという |
各戸までの既存配管に光ファイバーを通せない場合は、外壁沿いに配線し、各住戸の前に写真のようなボックスを設置して分配する | 住戸間をつなぐ配管を設ける場合は、火災の延焼を防ぐために法律で定められた要件があるという。それに適合する配管手法も紹介している |
引き込み配線は、クロージャも含めて電柱部分から再現してある | 既存のMDFに設備を収納できない場合に、新たにMDFを設置して光ケーブルを引き込む際の施工例 |
情報分電盤やONUなど、屋内配線に使う設備や部材も展示 | こちらは、MDFに設置するスプリッターなど集合住宅向けの設備 |
レンタル提供しているONUなどのコーナー。いちばん手前が、インターネット、ひかり電話、フレッツ・テレビを利用できるONU一体型の「ひかり電話ルータ」 | コンセントの部材も展示 |
「光HOUSE」では、マンションデベロッパーや住宅関連事業者の社員向けの勉強会や、マンションの理事会などを対象とした講習会の依頼も受け付ける。
なお、個人の見学は開館時間内であれば自由に行えるが、予約すれば係員による詳しい説明も受けられる。
関連情報
(永沢 茂)
2010/8/26 06:00
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