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「Google 日本語入力 Cloud API」公開、ウェブアプリから利用可能に


グーグル株式会社シニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏

 グーグル株式会社は、同社が開発・公開中の日本語入力システム「Google 日本語入力」の機能をクラウド上で提供し、ウェブアプリケーションから利用できるようにする「Google 日本語入力 Cloud API(正式名称:Transliteration API 日本語サポート)」を公開した。28日に開催された開発者向けイベント「Google Developer Day 2010」の基調講演で、同社シニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏が明らかにした。

 講演ではこのほか、すでにオープンソースとして公開している「Google 日本語入力」のChrome OS版に加えて、Mac OS版もオープンソース化したと発表。さらに、「Google 日本語入力」開発の背景や秘話などをまとめたコミックも公開した。

常駐するIME不要、ブラウザーだけで日本語入力が可能に

 「Google 日本語入力 Cloud API」は、Transliteration APIに対してHTTPのGETリクエストを出すと、変換結果や変換候補をJSON形式で返してくるというもの。それをウェブアプリケーション側でJavaScriptにより変換候補として表示するといった使い方ができる。これにより、高い変換効率と豊富な語いの辞書を持つ「Google 日本語入力」の機能を、サードパーティが開発したウェブアプリケーションに組み込んで利用できるようになるとしている。

 基調講演では、ブラウザー上で利用できるテキストエディターのウェブアプリケーションで、「歴女」「森ガール」「工場萌え」「痛車」などと変換する様子を披露した。及川氏は、IMEのデモなので驚きは何もないと語る一方で、クラウド上で変換し、JavaScriptを用いてブラウザーだけで実現している点をアピールした。


「Google 日本語入力 Cloud API」のデモ 「Google 日本語入力 Cloud API」のフロー

 なお、「Google 日本語入力 Cloud API」で現在提供しているのはバックエンド部分だけであり、今回のデモで使われたフロントエンドはあくまでもモックとして作り込んだものだという。後日、ユーザーインタラクションを伴うフロントエンド部分のJavaScriptライブラリーや、すぐに試せるウェブUIを公開する予定だ。

 HTML5の実用化などで今後ますます普及するだろうウェブアプリケーションでは、文字入力を伴うユーザーインタラクションが多く発生する。しかし、現在はIMEを常に起ち上げ、そこで変換した結果がブラウザーを通じてウェブアプリケーションに渡される流れだとし、及川氏は、これらのコンポーネント間でタイトな連携が実現されていないことに疑問を投げかけた。「Google 日本語入力 Cloud API」は、こうした問題に対してGoogleが提示した解決法の1つと言える。


現在のウェブアプリケーションの日本語入力のフロー 「Google 日本語入力」のコードリーディングなども含む技術イベントを開催予定

よりよい日本語入力システムに向け、オープンソース拡大

 「Google 日本語入力」は2009年12月にWindows版とMac OS版がベータ公開された後、2010年5月には、Chrome OS用に「Mozc」という名称でオープンソースとして公開されている。「Mozc」は、有志らによってLinuxやFreeBSD用にもコーディングが進んでおり、それらのパッケージでも利用できるようになりつつあるという。

 Googleでは今回、このオープンソースの対象を拡大し、Mac OS版もオープンソース化。Google Code内にある「Mozc」プロジェクトページにおいて、Mac OS版のビルドインストラクションとともに公開している。

 及川氏は「Google 日本語入力」の開発背景について、「日本語入力、IMEは非常に重要な技術であるにもかかわらず、しばらく技術革新が起きていなかったのではないか。ならば我々が、競争やヘルシーな競合を生み出すことによって、新たなイノベーションを起こすことができるのではないかと考えた」と説明。それも「十分成功したのではないか」とし、「さらにオープンソースを進めることにより、多くの方にいろいろな貢献をしていただき、よりよい日本語入力システムを作っていきたい」とコメントした。

 基調講演の聴講者には、「Google 日本語入力」の開発の背景を説明したコミックが配布された。「Chromeのベータ版を開発した時から、漫画を作ることに目覚めてしまった」という。同コミックは、「Google 日本語入力」のウェブサイトでも公開されているが、紙媒体で配布するのは「Google Developer Day 2010」が初めてだとしている。


「Google 日本語入力」のオープンソース化状況 Google 日本語入力コミック

 基調講演では、「Chrome&HTML5」「Android」「Cloud Platform」という3つのテーマで、オープンなイノベーションプラットフォームとしてGoogleが取り組む技術について言及。HTML5を活用したウェブアプリケーションのデモをはじめ、ウェブアプリケーションを有償・無償で提供する「Chrome Web Store」、Android端末やアプリ、開発者の現況、「Google App Engine」の新機能などについて紹介した。基調講演後には各分野で専門セッションが行われ、グーグルによると、東京国際フォーラムおよびサテライト会場の京都リサーチパーク合わせて1500人が参加したという。


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(永沢 茂)

2010/9/28 17:38