禁煙やダイエットも社会貢献に、ソーシャル寄付サイト「JustGiving」とは


JustGiving Japanのサイト。元プロ野球選手の古田敦也氏がホノルルトライアスロンに挑み、86万円の寄付を集めた

 世界最大級のソーシャル寄付サイト「JustGiving」の日本版が3月にスタートし、着実に実績を伸ばしている。「JustGiving Japan」を運営する一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパンの理事を務める佐藤大悟氏に現状を聞いた。

 JustGivingは、誰でも自分なりのチャリティプログラムを立ち上げ、共感した人から寄付を集められるサイト。寄付金は、自らが選んだNPO団体に届く仕組み。英国で2001年に設立され、2009年までに約1200万人から1000億円以上の寄付を集めた。

 寄付を募るユーザーは「チャレンジャー」と呼ばれ、サイト上で寄付先のNPO団体、寄付を集めるために実行する「チャレンジ」、目標金額などを登録する。これらの内容をTwitterやFacebookなどに投稿することで、知人に寄付を呼びかけられる。

 チャレンジの内容は各自が自由に決められる。これまでには、「大長なわ跳びを20人で100回連続にチャレンジする」「自分をつらぬいた就職活動を成功させる」「歌舞伎町のホストクラブがソムリエ試験に20人の合格者を出す」といったチャレンジもある。

 寄付をする人は「サポーター」と呼ばれ、応援コメントとともに、クレジットカードもしくはネットバンキング経由で最低500円(手数料除く)以上を寄付できる。寄付金は10%をJustGivingが運営費・手数料として受け取り、残りの90%がNPO団体に届く。

 寄付先のNPO団体は「子どもをささえる」「食を考える」「途上国を応援する」などの17カテゴリー、281団体(12月1日時点)から選べる。いずれもJustGivingの審査を通過した団体だ。寄付先の団体を追加したい場合は、JustGivingに審査を申請する仕組みもある。

JustGivingのサービスイメージ寄付金がNPO団体に届くまでのイメージ

「自分のためのチャレンジ」が「社会をよくするためのチャレンジ」に

ジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤大悟氏

 12月1日時点でJustGiving Japanへの寄付金総額は約2000万円。英国の2009年度の実績である2400万ポンド(約38億円、1ポンド=160円として計算)とは差があるが、佐藤氏は「1年目の実績だけを見れば、英国の1400万円を上回った」と手応えを感じている。

 今後の課題は、個人がNPO団体のために寄付を集める行為「ファンドレイジング」への理解を深めることだという。こうした取り組みは日本ではなじみがないが、国民の大半が知っている事例があると佐藤氏は指摘する。「24時間テレビ」のチャリティマラソンだ。

 「今年の24時間テレビに例えると、はるな愛さんが『ファンドレイザー』といえます」。実際にJustGivingは、走ることを通じて寄付を集めるプロジェクト「Run for Charity」を掲げ、これまでに多くの著名人や一般人がマラソンやトライアスロンに挑戦してきた。

 5月には元プロ野球選手の古田敦也氏がチャレンジャーとしてホノルルトライアスロンに挑み、86万円の寄付を集めた。古田氏は2回目のチャレンジとして、2011年2月の東京マラソンにも挑戦することが決まっている。

 もちろん、チャレンジの内容はマラソンやトライアスロンに限らない。「どのようなチャレンジをすればよいのかわからない」という人も少なくないが、佐藤氏は「もとからやろうとしていたことをチャレンジにすればよい」とアドバイスする。

 「例えば、そろそろ禁煙やダイエットをしようと思っていた人がJustGivingでチャレンジを始めることで、もともとは『自分のためのチャレンジ』だったものが、『社会をよくするためのチャレンジ』に変わるのです。」


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(増田 覚)

2010/12/2 06:00