“青少年ネット規制法”見直し検討の研究会が中間報告


 総務省は7日、2009年4月に施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する法律」(青少年インターネット環境整備法、青少年ネット規制法)の見直しについて、検討を行なってきた研究会の中間報告を公表した。

 青少年インターネット環境整備法は、ネット上の有害情報から青少年を守ることを目的として、携帯電話事業者に対して18歳未満の契約者にはフィルタリングサービスの適用を義務化することなどを定めた法律。2009年4月に施行され、状況などを踏まえて施行後3年以内に内容を見直すことが定められている。

 総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」では、青少年のインターネット利用環境整備についてのワーキンググループを設置し、検討を行っているが、法律の見直しに関する部分について2011年1月までに一通りの審議を終え、中間報告をまとめた。

 中間報告では法施行後の状況の変化として、1)SNSに代表されるCGMサービスの青少年利用の拡大、2)従来型のウェブや掲示板利用に流通する青少年有害情報も引き続き増加傾向にある、3)スマートフォンなどの多様なネット接続機器の増加、4)フィルタリングの普及率鈍化、5)民間団体による自主的な取り組みの発展――の5点を挙げ、これに伴う施策についての提言を行っている。

 CGMサービスの利用拡大については、出会い系サイトに関係した事件の検挙件数が減少する一方、CGMサービスに関係した事件の検挙件数が増加傾向にあると指摘。一方、CGM運営者も携帯電話事業者と協力して確実に年齢確認を行う仕組みの導入などを進めており、引き続き民間主導での取り組みを行政が支援していくことが必要だとしている。

スマートフォンにもフィルタリング提供義務、携帯からの無線LAN接続は継続検討

 スマートフォンなどの新たな携帯電話端末については、従来の携帯電話と同様に青少年に対してフィルタリング提供を義務付けることが必要だと指摘。一方、携帯端末から無線LANで接続する場合については、無線LAN接続を提供するISPに対して、現時点ではフィルタリング提供を義務付けることはしないが、今後継続して施策を検討していくとしている。

 現行法では、携帯電話事業者に対しては、保護者からの申し出があった場合を除いて、18歳未満の契約者にはフィルタリングサービスを適用することを義務付けている。一方、ISPに対しては「利用者の求めに応じてフィルタリングを提供する義務」、PCなどネット接続機器の製造者に対しては「フィルタリングの利用を容易にする措置を講じる義務」と、比較的軽い義務となっている。また、携帯電話事業者にフィルタリング提供を義務付けているため、携帯電話の端末製造者に対してはフィルタリング提供の義務を課していない。

 スマートフォンや携帯電話端末から無線LANによるインターネット接続を行った場合、フィルタリングを提供する役目はISP(無線LANによるネット接続事業者)となり、現行法ではISPは利用者からの求めがあった場合のみフィルタリングを提供すれば良い。この点について中間報告では、現時点では無線LANの青少年への普及度合いが必ずしも高いとは言えないため、フィルタリングを義務付けることまではしないが、今後の普及を見越してさらに検討を進めるとしている。

 また、法律では掲示板やウェブサーバーの管理者に対しても、青少年が有害情報を閲覧しないようにするための措置をとることを努力義務として課している。中間報告では、この努力義務を法的義務に引き上げることについては、影響が大きすぎることなどから不適切だとしている。


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(三柳 英樹)

2011/2/7 18:21