TSUTAYAが書籍の電子化サービスを実験、店頭で“自炊”が1冊300円


 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が、DVD/CDレンタル「TSUTAYA」の枚方市駅前店GAME館(大阪府)と横浜みなとみらい店(神奈川県)において、書籍の電子化サービスの実験を行っている。

 書籍を持参した利用者に対して、店頭で裁断機とスキャナー、PCを貸し出し、1冊300円で書籍の電子化を行えるようにしている。店頭で購入した書籍の電子化も可能だ。枚方市駅前店GAME館は2010年10月、横浜みなとみらい店は2011年2月10日からスタートした。

コンビニのコピー機のようなもの

 書籍を裁断機で切断し、スキャナーを使って電子化する、いわゆる“自炊をめぐっては、“自炊代行サービス”が著作権法に違反するという声がある。私的使用のための複製を認める「私的複製」の範囲として許容されない可能性があるためだ。

 著作権法第30条1項が規定する「私的複製」は、「使用する者が複製することができる」と書かれている。そのため、書籍の自炊に限らずビデオの複製代行サービスなどは、使用者ではなく業者が複製を行うことから、私的複製として許容されないとみられている。

 さらに、著作権法第30条1項1号では、私的複製として許容されない行為として、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」を挙げている。

 これに対してTSUTAYAのサービスは、「複製する主体がお客様であるため適法」(CCC広報部)という見解だ。「自動複製機器」に関しても、著作権法附則第5条の2に「文書又は図画の複製に供するもの」は対象外と書かれているため、違法ではないとしている。

 「非常に近いサービスとしては、コンビニのコピー機が挙げられます。お客様が文書をコピーする行為が認められているように、店頭で書籍のスキャンを行うことも適法だと考えています。」

 CCCによれば、今回のサービスは「書籍の電子化へのニーズがあるかどうかの実験」と説明しており、現時点では他店舗で導入する予定はないとしている。


関連情報

(増田 覚)

2011/2/17 14:33